レース映像から!不利馬の正しい見つけ方
※2021年8月12日 外回しで不利にならないパターンを一つ追加しました。
前回の記事で「レース中に不利をうけた馬」を集計したところ、前走で不利があった馬を重視することは有効であることがわかりました。
前回の記事はコチラ↓
そこでこの記事では、実際に私が行った「レース映像から不利馬を見つける方法」について説明していきます。

1, 【詰】詰まりとは

ひとつ目の不利は“詰まり”です。
ここでは“詰まり”を「他馬に囲まれ追い出せないこと」と定義します。
有名な詰まりといえば「ビッグアーサー前が壁」の2016年スプリンターズSですね。
このように“詰まり”は勝負所で起きやすく、特に最後の直線においてよく起こります。
では、そのように詰まった馬はすべて“不利”としていいのでしょうか。
答えはNoです。
まずは“詰まる”という事象をいくつかに分類しましょう。
→1-1, 詰まることが不利になるパターン
まずは詰まることで不利になる事象を紹介します。
①勝負所で詰まる
一番わかりやすい例なので最初に紹介します。
4角での加速地点や最後の直線で明らかに伸びていたのに詰まってしまうパターンです。
ゴール前で物理的に邪魔されるわけですから力を出し切れないのは言うまでもありません。

また競走馬は加速に時間がかかる生き物です。
そのため詰まった後に前が空いたとしても、再度トップスピードになるまでには助走距離が必要になり、伸びきれずにレースは終わってしまいます。
以上より「勝負所で減速すること」は大きな不利になると覚えてください。
(例)2020年3月15日 中山9R ダイワダグラス(4角の勝負所で詰まり減速)
(例)2020年3月1日 中京11R ニシノキントウン(直線詰まり、参考外)
②詰まることで道中、必要以上に緩急のあるレース運びになる
ここで重要なことは「緩急のあるラップは必要以上に疲労する」ということです。
緩急のあるラップというのは言い換えると「加速、減速を繰り返すこと」になります。
これは馬だけではなく「車のガソリン消費」や「フルマラソンの大会」においても同じです。
例えば車は、高速道路よりも一般道のほうがガソリンの消費量が多くなります。
これは一般道では信号や右左折により何度も減速、加速を繰り返すことが原因です。
このように、物体は加速することでよりエネルギーを消費するため、同じ速度で走り続けられる高速道路よりも一般道のほうがガソリンを多く消費します。
また、人も常に一定ペースで走るほうがよりよいタイムを出すことができます。そのため世界大会において、体力に自信があるケニア勢はレース中に加速、減速を繰り返すことで付いてきた人の体力を奪うレース展開に持ち込みます。
これは馬も同様で、向こう正面で詰まり位置取りを下げることはレース中に無駄な加速、減速を行うになるので余計な体力を使うのです。

“詰まる”以外にも騎手が折り合いに気をつけようと無理に引っ張ることでも同じような不利が起きます。このように向こう正面での不利は気づきにくいことも多く、次走のオッズに反映されないこともあるため、よりいい馬券につながります。
(例)2020年4月25日 福島11R レッドアネモス(2角詰まり減速)
(例)2020年4月4日 中山6R フルデプスリーダー(向正面折り合い欠き減速)
→1-2, 詰まることが有利になるパターン
①Hペースもしくは早仕掛けでのバテ合い戦
ここでは詰まることが有利になるパターンを紹介します。
よく「Hペースは差し有利」という言葉を聞きますね。これは先行馬が前半から飛ばしていくことでバテバテになり、後方で追い出しを待った差し馬が有利に働くためです。
すなわち、Hペースのレースでは早くから追い出すほど早くバテてしまい、逆に追い出しを待てば相対的にバテずにゴールまで走り切れるため有利になります。
そのためHペース時に3~4角で前が壁になり詰まることは、追い出しをまつことになり、結果として直線でよりいい末脚を発揮することがあるのです。
これが「詰まったけど、早仕掛けせずに済んだことで結果として直線ではバテずに末脚を発揮できた」という例になります。

例えば3月7日に行われた中山6Rでは前半3F→33.4秒、後半3F→38.3秒と超Hペースのバテ合い戦になりました。
ここで3着になったヴァルゴスピカは4角で前が壁になる不利がありましたが、結果として追い出しを待つことで直線ではバテずに進出することができました。イン有利の馬場もあってかなり恵まれた3着だったため、次走では11着に敗れています。
(例)2020年3月7日 中山6R ヴァルゴスピカ(4角やや詰まりも前後半5秒の超Hペース減速戦)
2, 【外】コーナー外とは

競馬は陸上競技のようにセパレートコースではなく、オープンコースで行われる競技です。
そのためコーナー部分では外を回った馬ほど長い距離を走ることになります。
このように外をまわった分の距離ロスのことが「コーナー外不利」です。
実際に、コーナー2つを内から一頭分外をまわることは、距離にして約3m多く走ることになります。

(コーナー直径+A)×π×(コーナー角度 / 360) ∵A=内からの頭数
これはどこの競馬場でもほぼ同じ値になり、内から一頭分外をまわることは着差にして1.5馬身ほど変わると覚えてください。
しかしながら、実際にはこの距離ロスを考慮しても外を通るほうが有利に働く場合もあります。
そこで、コーナーで外をまわった際のレースをいくつかのパターンに分けて考えましょう。
→2-1, コーナー外が不利にならないパターン
ほとんどの場合、外をまわしたほうが距離ロスの分不利になりますので、まずは外をまわしても不利にならないパターンを例外として覚えてしまいましょう。
これは、大きくわけて4つあります。
①砂を被らなくて済む (※ダート)
②内側の芝が荒れている場合 (※芝)
③コーナーでラップが遅く、直線で急加速の場合。
④加速→減速→加速ラップで、加減速の大きいレース
①、②に関しては、外を回ることで砂を被る不利、もしくは荒れた内側を通る不利を回避することができます。そのため、距離をロスしてでも外をまわすメリットがある、ということです。
ただしこれらは第6章の【砂】、第7章の【場】において詳細にお話しますので今は覚えなくても大丈夫です。
ここでは③コーナーでラップが遅く、直線で急加速の場合および④加減速の大きいレースについてお話します。
まず③コーナーでラップが遅く、直線で急加速の場合についてお話します。
これは例をだして説明したほうがわかりやすいかと思いますので2020年3月22日に行われたスプリングSを例に説明します。
スプリングSは全体的にスローな流れになり、直線だけ脚を使う瞬発力戦でした。
前の章で述べたように、競走馬はすぐにトップスピードになることはできず、少しずつスピードを上げていく助走距離が必要でした。
しかしながら、スプリングSでは直線の短い中山コースでの瞬発力戦になったため助走している区間がありません。
そのためコーナー部分で外から加速できる馬のほうが直線でトップスピードで走れるため、外を回した馬が有利でした。

ここで大事なことはコーナー部分でのラップが遅いことです。
例えば最後の800mのラップが11.2-11.2-11.6-12.5だったとします。この場合3~4コーナーでは11.2 - 11.2のラップで走っています。これを外から走る場合にはそのラップよりさらに速いラップ、すなわち10.9-10.9のようなスピードでなければついていけません。
人間の競走でもそうですが、前の人が全速力で走っているところを外から抜くためには、その全力よりも速いスピードを維持しなければいけません。
これでは外をまわすことによりコーナーからトップスピードで走り、直線でスタミナが残らなくなってしまうので助走にはなりません。
あくまでも「コーナーのラップが遅く、直線で急加速したレース」で覚えてください。
(例)2020年3月22日 中山11R ガロアクリーク(コーナ遅く外から加速)
続いて④加速→減速→加速と加減速が大きいレースです。
こちらも例を用いて紹介していきます。2021年5月22日に行われた東京3R ダート1,600m(勝ち馬:ネオヒューズ)です。
レースラップを見てみると12.4-11.0-11.7-12.6-13.1-12.8-12.0-13.1となっています。特徴としては前半が速く、中間に緩んで、直線で再加速するレースです。
この場合、インを通る逃げ~先行勢は「スタート→急加速→減速→加速」と加減速の多いレースになっています。
一方で外を回した差し馬からすれば、スタートから焦ることなく走った上に、レース中間では先行勢が勝手に減速してくるため、特に加速せずとも馬群に取り付くことが可能です。つまり、加減速がすくない上で、直線に向いたときは先行勢と差のない位置で競馬ができるのです。
動物は加速する際に最もエネルギーを消費します。そのため、速く走るためには一定のペースで走り続けることが理想です。車も同じ距離を走るのであれば下道よりも高速道路のほうがガソリンの消費量が少なくて済みます。これは信号がなく加減速の少ない高速道路のほうがエネルギーを必要としないからです。そのため、上記のようなレースでは外を回して加減速の少ないレースをした差し馬のほうが有利になります。
→2-2,コーナー外が不利なパターン
ほとんどの場合、コーナーで外をまわした馬は距離ロスの分、不利になります。
ここではもう少し追加してさらに不利になるパターンを教えます。
とはいえ、実は前の章で教えてしまいました。
それは「コーナーでのラップが速い場合」です。
2-1で述べたように、コーナーで速いラップを刻んでいる場合、外をまわる馬はさらに速いスピードで走らなければいけません。
特に多いのが内回りの芝レース。直線が短いためどうしても3~4角で速いラップを刻まなければいけません。
大阪杯は毎年のようにコーナーが速くなるレースであり、今年も外を回した馬が全く馬券になりませんでした。
(例)2020年4月5日 阪神11R ブラストワンピース (コーナー速いラップで外)
3, 【H】Hペースとは

一般的にHペースとは「レースラップを前半と後半で分けた際に前半のほうが速いレース」のことを言います。
例えば1,600m戦では前半800m(=4ハロン)、後半800mのタイムを比べて判定します。
前半が早ければH(ハイ)ペース、ほとんど同じであればM(ミドル)ペース、前半が遅ければS(スロー)ペースです。
では「Hペースによる不利」とはなんでしょうか?ここでは時計面ではなく、違った言葉で定義します。
Hペースによる不利、それは「能力以上のペースで追走すること」です。
これを理解するためにまずは以下の2つを学んでください。
①前半でスタミナを失った馬は能力以上に大敗する。
「そりゃそうだろ」って感じですね。
人間も1,500m走らなきゃいけないとき、最初の200mを全力で走ったら、残りの1,300mは一気に失速します。
このように、ゴール前に能力以上で走ってしまい、余力がなくなってしまうことを「Hペースによる不利」と考えます。
②時計での判断は各馬の能力や風の影響を無視していることになり、判別することが困難。
ここではHペースによる不利を「能力以上のペースで追走すること」と定義しました。
そこで「Hペースというのだから、前半3ハロンが後半3ハロンより2秒以上早ければ不利」とすればいいじゃないか、と思った方もいるかもしれません。
たしかに、Hペースの不利があったか判断する際、前後半のラップをみることはひとつの目安になります。
しかしながらJRAで発表されているラップタイムは馬場状態や風向きの影響を大きくうけるため、時計をベースに考えると誤った判断をしかねません。
例)2020年3月20日 中山3R (超Hペースだが直線向かい風で先行馬有利)
そこで次の章からは脚質別に不利馬の選定方法を説明していきます。
→3-1, 逃げ馬のHペース不利
逃げ馬は基本的に前半から飛ばしていくため、他馬よりも追走スピードが速い馬が多いです。
そのためHペースのラップになっても、逃げ馬だけが残ることは多々あります。
(例)2020年3月7日 中京3R グレートバニヤン(超Hペース逃げ切り)
しかしながら逃げ馬も不利を受けることがあります。
それは道中で厳しいマークをされることです。
ここでいうマークとは、逃げ馬のとなりにピッタリとついてプレッシャーをかけることを言います。
マークされることが不利な理由は二つあります。
一つ目は「自分のペースで逃げれないこと」です。
逃げ馬の成績がいいのはご存じかと思いますが、その理由は展開に左右されず馬の好きなスピードで走ることが可能だからです。
しかしながら、番手組にぴったりとマークされることは自分の能力以上の速さで逃げることになり、逃げ馬にとっては不利になります。
二つ目は「馬群が苦手な馬が多い」こと。
逃げ馬の中には馬群に入るとひるんでしまい、能力を発揮できない馬がいます。
例えばコントラチェックは逃げたときだけ勝ちますよね。こういう馬は他馬が周りにいると集中できずに大敗します。
以上より、「他馬に必要以上に競られた逃げ馬は不利」と覚えてください。
(例)2020年1月13日 京都8R ハイクアウト(向正面早めに競られH不利)
→3-2, 逃げ馬以外のHペース不利
逃げ馬以外、ここで多くは先行馬のことを指します。
先行馬は基本的に自分でレースを作れません。そのため、逃げ馬の刻んだラップがモロに影響を受けます。
しかしながら、前述のようにラップは風や馬場の影響を受けるため一概には参考にできません。
そこで、不利馬を以下のように判断します。
「Hペースのレースにおいて先行馬が人気以上に走らなかったレース」
すなわち、レース内での比較になります。
基本的に競馬は前にいる馬ほど有利なスポーツです。
※2019年脚質別勝率 逃げ:18.2% 先行:13.4% 差し:5.0% 追込:1.8%
そのため人気の先行馬が大敗していたり、上位を差し馬が独占しているレースは先行馬に「Hペース不利」があったと考えられます。
たとえば2020年3月15日に行われた中山6Rは前半3ハロンが33.4秒、後半が37.5秒と前後半4秒のHペースでした。
このレースで5番手以内で先行していた馬はエンプティチュア→2人気3着、グランドデューク→8人気6着、トリプルシックス→5人気10着、チェスナットロール→4人気11着であり、1,2着馬は追い込み馬と先行馬にはキツイレースでした。
先行馬は道中で「能力以上のペースで追走」してしまったのですね。
そのため、先行馬の中で3着と再先着していたエンプティチュアは次走でしっかり勝ち上がりました。
(例)2020年3月15日 中山6R エンプティチュア(Hペース不利)
4, 【S】Sペースとは

Hペースの章で述べたように、Sペースは「レースラップを前半と後半で分けた際に、後半のほうが速いレース」のことを言います。
ダートレースではテンから飛ばしていくことが多いため、Sペースの多くは芝レースに見られます。
Sペースの不利も脚質ごとにみていくことでその本質が見えてきます。
→4-1, キレ負けによるS不利(逃げ~先行馬)
一般的にSペースは先行馬が有利と言われます。
これは前半から遅いペースで進むことにより、逃げ馬や先行馬も最後の直線で速い脚を使えるため、差し馬が届かなくなってしまうためです。
しかしながら、レースによっては必ずしも先行馬が有利になるとは限りません。
例えば、Sペースのため馬群が凝縮したまま直線をむかえたとします。
このレースの場合、直線に入って一気に加速する瞬発力戦になるため、単純に瞬発力のある馬が有利になります。
一般的に、先行馬のように前目で競馬する馬は瞬発力が不足している馬が多いです。(※言いかえれば、瞬発力不足のため前半から出していき先行する馬が多いということです。)
このようにスローペースの結果ヨーイドンの瞬発力戦になった際は、逆に瞬発力不足の先行馬が不利になります。
例えば、ベイビーステップは瞬発力のない先行馬のため、早めからスパートすることで押し切る競馬が得意でした。
しかし、2020年2月23日の東京10RではSペースの展開に泣かされ、先行していたにも関わらず敗戦してしまいました。
(例)2020年2月23日 東京10R ベイビーステップ(超Sペース瞬発戦。キレない先行馬)
→4-2, 不可能な位置取りによるS不利(差し~追い込み馬)
これはわかりやすい例ですね。
Sペースなのにもかかわらず馬群が縦長になり、後方にいる差し馬が届かないことです。
特に上がり最速を使っても届かないというのは、そもそも物理的に届かないほど後ろにいた可能性が高いです。
そもそも差し、追い込み馬というのは展開待ちになりやすいため過信は禁物ですが、Sペースにも関わらず物理的に届かないほど後方にいた場合は
①騎手の体内時計があまりにもズレている
②馬が追走スピードに全くついていけていない(距離が短い)
の2パターンの場合がほとんどです。
そのため、Sペース不利をうけた差し馬は、次走で騎手が変更になるか、距離が延長した際に好走することがあります。
(例)2020年3月28日 中山9R エターナルヴィテス(S戦後方上がり最速も不可能な位置)
5, 【カカ】かかるとは

かかるとは通称「折り合いをかく」ことです。
JRAのHPより「折り合い」の定義を見てみると
騎手と馬の呼吸の調和状態のこと。人馬の呼吸がうまく合致しているときには、「ピタリと折り合う」などという。またこれに対して呼吸が合わず、ちぐはぐな状態は「かかる」という。
と書いてあります。
このようにカカることはレースとは関係なく馬が暴走してしまい、余計な体力を奪われてしまうことになります。
かかっている馬の見分け方はレース前半~中盤において、①騎手が手綱を引っ張っている ②馬の口がわれている(開いている) のがかかっているの判断になります。
また、レース後のコメントで「かかってしまって・・・」と騎手が言ってる場合にもわかりますね。
では、競走馬は一般的にどういう時にかかりやすいのか、そして改善するパターンは何があるのか説明していきます。
→5-1, 馬がかかりやすい状況
最も多いのが「レース中盤の緩み」の際にかかることです。
一般的な競馬のレースは
スタート→速い→遅い→速い→ゴール
といったレース展開になります。
そのため騎手は中間でペースを緩め、息を入れて走らなければなりません。
しかしながら競走馬はそんなことはもちろん知りませんし、そもそも走る距離だってわかってません。
せっかくスタートしてスピードに乗っているにも関わらず、中盤でスピードを落とすことは馬にとって非常にストレスになります。

(例)2020年3月8日 阪神9R スワーヴドン(かかる)
→5-2, 改善するパターン
一番効果的な改善パターンは「距離を短縮すること」です。
距離が短ければ短いほど、道中のペースの緩みは少なくなります。

(例)2020年5月3日 京都8R タンタラス(近走カカり、短縮で好走)
(例)2020年3月7日 阪神6R ギルデッドミラー(近走カカり、短縮で好走)
※補足:カカらなくなるその他の方法として「騎手を変える」ことや「ブリンカーをつける」といった方法もあります。しかしながら、カカらないように制御できる騎手は基本的にリーディング上位であり、過剰人気してしまう恐れがあります。また、ブリンカーの有無もAIや指数作成に用いている人も多く、実際に回収率で集計するとブリンカーでの差はありません。あくまでも映像回顧の目的の一つとして「AIなどのデジタル予想では見抜けないところを見抜ける」というのがありますので、ここでの説明はあえて省きました。
6, 【砂】砂とは

砂による不利はダートレースのみで起こる不利です。
ダートでは馬の後ろを走ると、前を走る馬が蹴り上げた砂がモロに飛んできます。
いくら砂とはいえど、馬の力は時に人を殺してしまうほどの脚力。そんな馬が全力で蹴り上げた砂はとてつもないスピードになり、当たると非常に痛いものです。
そのため、馬によっては砂をかぶることで減速してしまい、能力を発揮できないことがあります。
これが「砂不利」です。
実際には多くの馬が砂を被ることになるので、砂を被るのがNGな馬はレース幅が狭くなり、出世しにくいのが現状です。
砂を被るのがNGな馬の見分け方は以下です。
①砂を被ると急に減速する。また、外にだした際に伸びる。
②砂をかぶると口をわったり、耳を動かす。
①、②でわかるように、とにかく砂を被るのを嫌がる行動をします。また、もう一つの特徴として内枠で大敗を繰り返している馬は砂NG馬であることが多いです。
(例)2020年2月8日 東京7R スパーダ(砂嫌がり減速)
→6-1, ダートレースにおける枠順成績(芝スタートの有無)
芝レースでは内枠ほど成績が良くなります。これは内枠のほうが距離ロスなく走れるためです。
しかしながら、後述のようにダートでは「砂を被る」リスクがあるため、まったく逆の成績になります。
すなわちダートレースでは外枠ほど好成績になります。
※2015~2019年の5年間におけるダート成績

上記のように、ダートレースでは外枠ほど勝率が高くなることから、外枠が有利になることがわかると思います。
ここでよく聞かれる質問が「外枠のほうが芝部分を長く走れるからではありませんか?」ということ。
たしかに東京ダート1600mは芝スタートのため外枠の馬のほうが芝部分を長く走れるため、有利になるのは事実です。
しかしながら、芝スタートではないレースで同じように集計しても外枠のほうが有利になります。

2, 【外】で説明したように、外を回しても不利にならないパターンの一つに「砂をかぶらなくて済む」というのがありましたね。
以上から、ダートレースでは外をまわってでも砂を被らないことがメリットになることがわかります。
→6-2, 砂NGは外枠替わりor楽逃げメンツで
砂NG馬の好走条件は以下になります。
①外枠かわり
②楽逃げメンツ
まず、外枠のほうが砂を被らないというのは皆様の想像通りでしょう。
そしてもう一つ、砂NG馬の多くは「逃げ馬」であることが多いです。これもご想像の通り、逃げれば砂をかぶらないためデビューから逃げることを目的とした騎乗をされるためです。
そのため、逃げ馬が少ないレースでは楽に先手をとることができ、砂を被らずに能力を発揮することができます。
(例)2020年2月29日 阪神6R マティアス(砂NG馬。内から4頭外追走も砂被らず好走)
(例)2020年5月3日 東京8R スパーダ(砂NG馬。逃げて砂被らず好走)
→おまけ:アメリカ競馬と砂NG馬
ヘニーヒューズやパイロなど日本で活躍するダート種牡馬の多くは、アメリカで好成績を残し日本に来た馬です。
アメリカ競馬は日本の競馬と違い、テンから全力で出していきどこまで粘れるか、といった力が試されます。
そのため、基本的には前にいったもの勝ちの競馬。勝ち上がってきた馬はテンからのダッシュ力と粘り腰が一流なのです。
ここでピンときた方もいるかもしれません。
すなわち、アメリカ競馬で勝ち上がってきた馬は砂を被らずして勝利してきている馬がほとんどです。
そういった馬が種牡馬になり子供を産むのですから、その子供もまた砂NG馬になります。
そのため、日本で活躍するダート種牡馬もまた本質的に砂NG馬が多いはず。
こういった競馬の文化的な背景から、砂を被るのが苦手な馬が多くでているのだと考えられます。
7, 【場】馬場不利とは

ラストは「馬場不利」です。
馬場不利とは通称「馬場バイアス」といった言葉でも表現されます。
例えば開幕週の芝レースではラチ沿いのインを通った馬が好走しやすくなり、雨が降って芝がはがれると外を通った馬が有利になるときがあります。
このように、走りやすいところ以外を追走し敗戦することを「馬場不利」と言います。
馬場不利は芝だけでなくダートでも起こりえます。すなわち、馬場バイアスは芝のはがれ具合だけでなく、砂厚、風など様々な要因が絡み合って起きる不利です。
→7-1, 馬場不利の客観的判断
まず最初に馬場不利を認定する上で重要なのが「他の不利で説明できない最後の手段」として考えてください。
これは大前提として、その日の馬場がどうなっていたかは実際のところ分からず、不確定な要素が大きいことに起因します。
たとえばあるレースで内を走った人気馬が軒並み敗戦したとしましょう。
もしこのレースだけ見たら「あれ?内側の馬場が悪いのかな?」と思うかもしれません。
しかし、実際のところはペースがきついことによりイン前にいた馬が敗戦しただけかもしれません。
さらにはインにいた馬がたまたま全頭体調がわるかっただけかもしれません。
このように馬場がどのような状況であったかという判断は、実際のところ確定するのは難しいものになります。
そこで判断基準として以下の順番で確認してください。
①特定脚質(コース取り)の馬に好走が集まっている。
②馬場不利以外の不利が働いていないか確認する。
③同日のレースで同様の馬場不利が起きているか確認する。
ここで、2020年1月18日の中山12Rを例にあげて説明します。
このレースでは4コーナーから直線において内を走っているヒシイグアス、ナムラムツゴロー、ダノンポピーが2、5、9着に敗れ、外を回した馬が勝利しました。
ここで「内側が悪いのではないか?」という仮説が出ます。
これが「①特定脚質(コース取り)の馬に好走が集まっている。」です。
次に②馬場不利以外の不利が働いていないか確認します。
外を通った馬が好走するパターンとして「コーナー角で緩く、直線急加速のレース」がありました。
しかし、このレースでは4角地点ですでにトップスピードに近いラップを刻んでおり、外を通った馬は距離ロスになりそうです。
そのため、外を通った馬に何か恩恵があるようにも思えません。
そこで最後に考えるのが③同日のレースで同様の馬場不利が起きているかの確認です。
するとこの日は雨の影響で終日、インを通った馬が敗戦していました。
ここでようやく、このレースで内を通った馬を馬場不利とします。
実際、このレースで馬場不利になったヒシイグアスは次走2着、次次走で1着と勝ち上がり、5着のナムラムツゴローも勝ち上がり、9着のダノンポピーも2着に巻き返しています。
(例)2020年1月18日 中山12R ヒシイグアス(イン死亡馬場追走)
8, おわりに
馬券裁判で有名な卍さんが馬券で1億5000万円稼いだことを筆頭に、今となっては機械で自動的に馬券を購入させる「デジタル予想」が増えてきました。
最近では新聞を見てもSNSを見ても「AI」の文字を見ることが多くなり、少なくともこの傾向は急速に広がっていくことでしょう。
この「デジタル競馬」の普及は人間では見抜くことのできないオッズの歪みや馬券術のうまみをなくすことを意味します。
これは競馬が「オッズ」という仕組みを採用したギャンブルであるが故しかたのないことですが、投資やその他のギャンブルにおいてもAIが活躍している時代ですから、ますます素人には稼ぐことの難しいギャンブルになるのは間違いありません。
そんなAIも画像認識や音声認識に関しては人を超えるレベルまで開発されているものの、映像分析だけはまだ未発達な領域となっています
そのため、「レース映像」をしっかりと分析することがアナログ派である私たちが競馬に勝つ最後のチャンスと言っても過言ではありません。
この記事はそういった目的をもって執筆いたしました。
少なくとも、この記事を見てからレース映像を見たあなたは「レースの見え方」が大きく変わったことがわかると思います。
レース映像分析に特化した記事というのはまだまだ未発展な領域です。この記事を読み、勉強した方の収支が少しでも良くなることを期待しています。
最後に、長文になりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。
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