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「何を練習すればいい?」の前に、考えてほしいこと――競技かるたの悩みから、本当にやるべきことを見つける方法

最近、競技かるたについてたくさん質問をいただいています。

「1・2字札が苦手です。どう練習すればいいですか?」

「終盤に逆転されます」

「相手陣を取れません」

「払い練ではできるのに、試合になると払えません」

「いろいろ教わって、自分のかるたが分からなくなりました」

もちろん、自分なりの考えはできる限り回答しています。

ただ、質問に答えながら最近改めて思うことがあります。

それは、

今見えている悩みを、そのまま「直すべき課題」にしない方がいいことも多い

ということです。

例えば、

「終盤になると取れなくなる」

という悩みがあったとします。

そこで、

「じゃあ終盤の練習をしよう」

と考える。

一見、正しそうです。

でも、本当にそうでしょうか。

終盤に取れなくなる原因が、

  • 試合中の暗記更新ができていない

  • 枚数が減ると全部の札を意識してしまう

  • 序盤より攻めが弱くなっている

  • 1・2字札の聞き分けが遅い

  • 疲れて構えや身体の動きが崩れている

では、それぞれやるべき練習は全く違います。

つまり、

「終盤に取れない」は、まだ表面に現れている事象にすぎないかもしれません。


「問題」と「課題」は違う

最近、ある機会に「問題」と「課題」を整理する考え方を学びました。

これが、競技かるたにもかなり使えるのではないかと思っています。

この記事では分かりやすく、

事象 → 問題 → 課題 → 練習

という順番で考えてみます。

例えば、

事象

終盤に相手から連取されて逆転される

問題

終盤になると、攻める札と守る札の優先順位がなくなり、全部の札を取りにいこうとしている

課題

終盤でも、攻める札・守る札を明確にして意識の強弱を維持する

練習

10枚程度の終盤を作り、毎回「この札は攻める」「これは守る」と決めて取る

ここまで落として初めて、

「次に何を練習すればいいのか」

が具体的になります。


いきなり練習方法を考えない

自分は、ここがかなり大切だと思っています。

例えば、

「相手陣が取れない」

「相手陣の払い練をたくさんしよう」

とすぐに結びつけない。

その前に、

なぜ相手陣が取れないのか?

を考えます。

暗記が薄いのか。

攻める意識が弱いのか。

構えが自陣側へ寄っているのか。

相手陣への軌道が遅いのか。

反応自体はできているけれど、そこから身体を加速できていないのか。

そもそも無意識に自陣を優先しているのか。

同じ「相手陣が取れない」という結果でも、原因は全く違います。

そして、原因が違えば練習も変わります。

だから、

事象から直接、練習方法へ飛ばない。

その間にある「問題」を探してみる。

これだけでも、練習の質はかなり変わると思います。


さらに「そもそも何のため?」まで考えてみる

もう一段階深く考えるなら、

「そもそも何のために、それをできるようになりたいのか」

まで考えてみます。

例えば、

「払いを速くしたい」

という悩みがあったとします。

でも、本当に必要なのは「払いを速くすること」なのでしょうか。

その人が本当にしたいのは、

「相手陣を取り切りたい」

ことかもしれません。

さらに言えば、

「相手より先に札へ触れて、試合を有利に進めたい」

ことかもしれない。

そう考えると、

払いそのものを速くする以外にも、

  • 反応を早くする

  • 暗記を深くする

  • 起点となる札を作る

  • 軌道を短くする

  • 反応後に身体全体で加速する

など、いろいろな方法が見えてきます。

「払いを速くする」だけを課題にしていた時より、できることが一気に増えます。


表面に出た出来事だけを直そうとしない

かるたでは、

「お手つきをした」

「暗記が飛んだ」

「終盤に負けた」

「相手陣を取れなかった」

といった、分かりやすい出来事にどうしても目が向きます。

でも、自分は、

その出来事が起こった理由の方が大切

だと思っています。

例えば、お手つきをした。

そこで、

「次はお手つきしないようにする」

だけで終わらない。

なぜお手つきをしたのか。

聞き分けようとするタイミングが早すぎたのか。

暗記が曖昧だったのか。

相手に押されて焦っていたのか。

直前に連取されていたのか。

普段なら待てる札なのに、その日はなぜ待てなかったのか。

ここまで考えてみる。

すると、同じ「お手つき」でも、次にやるべきことが変わってきます。


「何を練習するか」の前に、「何が問題なのか」

自分はこれまで、

自分のかるたについて、たくさん考えてほしい

と何度も書いてきました。

ただ、

「考えてみてください」

だけでは、

「何をどう考えればいいの?」

となる人もいると思います。

そこで、一つの方法として、

事象 → 問題 → 課題 → 練習

という順番を使ってみてほしいです。

今、何が起きているのか。

それは、なぜ起きているのか。

本当に変えるべき場所はどこなのか。

自分はどうなりたいのか。

その差を埋めるためには、何が必要なのか。

そこまで考えてから練習する。

もちろん、一度で正しい原因を見つけられるとは限りません。

むしろ、最初は外れることもたくさんあると思います。

それでも大丈夫です。

「たぶん、これが原因なんじゃないか」

という仮説を作る。

練習で試す。

変わったかを見る。

違っていたら、また考える。

考える → 試す → 振り返る → また考える。

この繰り返しでいいと思っています。


質問する時にも使える

この考え方は、人にアドバイスを求める時にも使えます。

例えば、

「終盤が苦手です。どうすればいいですか?」

と聞くより、

「終盤になると自陣が気になって、序盤より攻めが弱くなっている気がします。自分では、攻める札と守る札を先に決めてみようと思っているのですが、どう思いますか?」

と聞く。

ここまで自分で考えてから質問すると、返ってくる答えもかなり具体的になります。

そして、

自分の仮説と、相手の考えを比較できます。

「原因は暗記だと思っていたけど、相手から見ると構えだった」

「結論は同じだけれど、理由が違った」

ということもあります。

それ自体が、また自分のかるたを理解する材料になります。

自分ですべての答えを出す必要はありません。

むしろ、たくさん質問してほしいです。

ただ、

自分のかるたの問題を、自分でも探そうとする。

この力は、級が上がってもずっと必要になると思っています。


ここからは、実際の悩みでやってみます

ここまでは、

「悩みから、やるべきことをどう見つけるか」

という考え方を書いてきました。

ただ、これだけだとまだ、

「理屈は分かったけど、自分の悩みではどう使えばいいんだろう?」

となる人もいると思います。

なので、ここからは、自分の質問箱でも実際によくいただくような悩みを使って、

事象 → 問題 → 課題 → 練習

まで、具体的に一つずつ考えてみます。

普段、自分が質問箱に回答するときも、だいたいこのように「見えている悩みをそのまま答えにせず、その奥にある原因は何か」を考えています。

ここからは、その頭の中の流れを実際の質問に当てはめながら、できるだけ具体的に書いてみます。

取り上げるのは、例えばこんな悩みです。

  • 「1・2字札が苦手で、終盤に逆転される」

  • 「最初から最後まで同じ速さで、圧がないと言われた」

  • 「いろいろ教わった結果、全部の札が重要に見えて動けなくなった」

  • 「団体戦になると、声掛けが気になって普段通り取れない」

  • 「同期がみんな昇段して、自分だけ取り残されてつらい」

  • 「払い練では取れるのに、試合になると払えない」

さらに最後には、こうした分析を自分一人でもできるように、

悩みが出た時にそのまま使える、自分用の振り返りテンプレート

までまとめます。

ここから先で伝えたいのは、それぞれの悩みに対する「正解」だけではありません。

むしろ、

どうやって、その答えにたどり着くのか。

その考え方をできるだけ具体的に書いてみます。


具体例①「1・2字札が苦手で、終盤に逆転される」

これは質問箱でもかなり多い悩みです。

例えば、

「序中盤はそれなりに取れるのですが、終盤になると相手の攻めが速くなり、1・2字札を取られて逆転されます。終盤の速度を上げたいです」

という相談があったとします。

これをそのまま受け取ると、

事象

終盤の1・2字札で負ける

課題

1・2字札を速く取る

練習

1・2字札の払い練をする

となります。

これでももちろん意味はあります。

ただ、自分ならもう少し考えます。

本当に「速度」だけが問題なのか?

まず気になるのは、

では、なぜ序盤は取れているのか

ということです。

ここがかなり重要です。

序盤は、15分間の暗記をした直後です。

そのため、札の場所や決まり字がかなり鮮明なのかもしれません。

一方、試合が進み、

札が減る。

札が移動する。

送り札が来る。

決まり字が変わる。

そうした中で、試合中の暗記更新がうまくできていない。

その結果、終盤では相手より反応開始が遅れている。

そうだとすれば、

問題

1・2字札そのものへの反応が遅い

ではなく、

根本的な問題

試合中の暗記更新が弱く、終盤になるほど相手より反応の準備が遅れている

のかもしれません。

そうすると、

課題

試合中にも、短い札の位置や決まり字を高い精度で更新し続ける

になります。

練習も、

「1・2字札を100回払う」

だけではなく、

札を移動させながら暗記を更新する練習

の方が必要かもしれません。


別の原因も考えられます。

終盤になると、当然札の枚数が減ります。

すると、

「全部取れそう」

「全部大事」

と思って、すべての札を同じように意識し始めることがあります。

序盤なら、

「これは攻める」

「これは守る」

と自然に強弱をつけられていた。

しかし終盤になると、一枚一枚の存在感が大きくなり、全部に意識を配ろうとしてしまう。

結果として、どこにも強く反応できなくなる。

この場合は、

事象

終盤になると遅くなる

問題

枚数が減ることで、攻めと守りの優先順位がなくなっている

課題

終盤でも意識する札に強弱をつける

練習

10枚程度の盤面を作り、「この2枚は攻める」「この1枚は絶対守る」と決めて取る

となります。

同じ「終盤が遅い」でも、やるべきことが全く違います。

さらに、

疲労による構えの変化。

聞き分けるタイミング。

相手の終盤の加速に対する焦り。

などが原因の場合もあります。

だからこそ、

「終盤が遅い=終盤を速くする練習」

とすぐに決めないことが大切です。


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