バリウムとひげ。
なんだよ、もう1月も半分じゃねーか。
今日も今日とて、俺は朝シャンで髭剃りだ。
どいつもこいつも性懲りもなく生えてきやがるぜ。
まぁ元気なのは良い事だ。
その元気、ちょっとくらいおでこに回してくれんかね。
そういや、最近プールで泳ぐようになってから調子がいい。
泳げるのかって?
こうみえて小学校4年生くらいまではスイミングスクールに通ってたんだよ。バタフライくらいまでは泳げるようになったし、水泳は得意よ。
だが、海はダメだ。
怖い。
とにかく海はダメだ、ありゃあタダモンじゃねぇ。
砂浜でお城とか作ってるくらいにはいいが、それ以上はダメだ。
なんでこんなに怖いのか分からんけど、とにかく怖い。
だけど嫌いじゃない。
きっとそれは、俺が自然の驚異をちゃんと知覚できている証拠だと思う。
安全な環境じゃないと、こうして朝シャンだって楽しめない。
髭剃りだって命がけだったはずだ・・・
そうだよ、バリウムの話だよ。
昨日は職員健診でバリウム検査したんだよ。
バリウム。
あの白いヤツよ。
昔はマジでまずかったのよ。
最近のはちょっと飲みやすくなってんだぜ?
あ、でももうバリウム検査なんて受けてんの俺くらいだな。
胃カメラの方がいろいろ良いみたいだもんな。
だけど俺は胃カメラがだめなんよ、口のやつも鼻のやつも。
あんな拷問的苦痛を受けるくらいならバリウム飲んで変な台の上で言われるがままのポージングをしてゲップを我慢する方がマシってもんだ。
自分の鼻水と唾液で溺れるかとおもったもんな、胃カメラは。
あーしかし、今回の検査はかなりのモンだったわ。
バリウム自体は年々飲みやすくなってる。
ただ、問題は発泡剤な。
ゲップすんなって言われてもさ、胃の中で発泡してんのよ。
まぁ、出来ない事はないんだけど、慣れないとしんどいって。
まぁ、ここまでバリウム続けてる準プロの俺にとっちゃ余裕だけどさ。
バリウムもその後に数回にわけて全部飲むんだけどさ、今回は割とするっと入ったな。やっぱ飲みやすくなってんだわ。
で、台に乗ってクルクル回るわけよ。
これだけ技術が発展してんのに、この台の上での動きは変わらんのね。
中盤から後半にかけてさ、あれがあんのよ。逆さ。
あれ、結構しんどいんだけど、今回は人生最大級の逆さだったぞ。
なんかの試験なのか?プロ試験か?
これ、俺の握力と腕力なけりゃ落ちてるぞ?って思ったもんな。
検査ハードモードとかんのか?
とか思ったもんな。
で、気が付いたんだけど、台は綺麗なんだけどさ。
機械の柱の部分にさ、バリウムの飛沫が飛んだあとがついてんだよ。
あれは俺級になるとこぼしたバリウムじゃないってわかるんよ。
完全に検査中にブー!って吹いた痕だわ。
これまでこの検査台で、どれだけの死闘と、どれだけの勇者達が激戦を繰りひろげてきたか悟ったよ、俺は。
なんせ準プロだからよ。
で、それで勇気もらえるわけよ。
これまでのみんなのバリウムが俺に力をくれるんよ。
みんなのバリウムを俺にくれっ!って感じ?
いや、ちょっと違うけど、そんな感じ。
まぁ、そんなわけで今年もバリウム検査受けたわけよ。
俺はお通じは良い方だから大丈夫だけどさ、バリウム検査で一番気を付けないといけないのが、その後よ、その後。
ちゃんと下剤飲んでさ、水分しっかりいっぱいとるんだぞ。
いつもの3倍は飲め。
あと、いっぱい食え。
あとな、便器は多めに流せよ。
なんせバリウムは鉱物だからよ、油断してっと流れねぇからな。
ちゃんと流すんだぞ。
自分も見つけた人も恥ずかしいからな。
良い子のみんなも覚えておいてくれよな!
さぁ、ひげ剃ってさっぱりして、仕事だ仕事。
今日も何気ない一日の始まりだが、それがいいんだよ。
それでいい。
痛っ・・・
また顎の下をミスッた。血が出たじゃないの。
・・・・・・・・・・
つづく、かもしれない物語。
この物語はフィクションです。
実在の人物や団体、国家などとは一切関係ありません。
俺も実在していません。
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★ 前回までの髭剃物語・・・
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