小説 餓狼伝Ⅰを読んだ【ネタバレあり】
夢枕獏の小説「神々の山嶺」が面白かった。
個人の感想としては、ボルダリングジムに行きたくなってくる。以前に体験入会に行こうとしたとき、何気なく恋人に話したら、壁に上ると怪我のリスクがあるからと反対された。その時に「わかった。行かない」と答えて、せっかく忘れてたのに、登攀の描写を読んでいたら思い出してしまった。
神々の山嶺については、一つ前の記事に書いています。読んだら思考回路をどこかしら侵食される話だった。
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同じ著者の作品を探していて、電子書籍で餓狼伝の一巻を読んだ。
スマホでは一発で変換できたけど、PCでは出てこなかった。「飢えた狼」と打って平仮名を抜くと誤字になるので要注意。
以下は軽いネタバレを含みます。
風来坊の丹波文七がいろんな場所でケンカをする話。
強さに憧れた悪がきの涼二が勝手に後を追ってきたり、空手とプロレスのどっちが強いかを争ってたりする。格闘技のことは分からないので、元ネタの考察や評論は他の人に任せて雰囲気で読む。
文七は過去にプロレスラーが練習してるところに行き合い、誰が強いか尋ねて道場破りをしたら、紹介されて出てきたレスラーの梶原にしつこく関節技をかけられて潰されている。
鍛えた身体で六年ぶりに再戦を求めるものの、向こうも興行を仕事にしており、外で勝手にケンカして怪我をされたら困るから、と周りが挟まってきてひと騒動。
場所と相手が代わりながらずっとケンカしてるし、スポーツじゃないからか、真っ先に股間を蹴りに行く。チェンソーマン1巻のデンジもそんなこと言ってたな。男と喧嘩するときは股間しか狙わないとか。
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文七が朝もやの奈良公園で身体をほぐし、拳や指先で腕立て伏せをして、ベンチに座って呼吸を整えるところが印象に残ってる。付いてきた涼二の視点で進んでいて、ひりついた雰囲気を纏っていて近寄りがたい。
そんな中、文七は一人で立ち上がって樹の下に向かい、立ち小便をしてから「行くか」と呟いて章が変わる。この流れで立ち小便。何かしら凄いものを披露したり問答を始めたりしそうな文体で落差が凄い。
あと、サブキャラ同士の戦いで、鼻に指を突っ込まれて、指が喉に達して戦闘不能になって退場したのがいる。こんな死に方は嫌だ、の上位に入りそう。いや死んではないのか。突っ込んだほうは、その指を口の中に入れて舐めている。汚い。ナイフを舐める殺人鬼のほうがまだましだと思う。
さらに、指を舐めてたほうも直後に別の人間に倒される。パトカーが来る前に姿を隠さないといけないが、身体がでかすぎて運べないから自分で這ってでも遠くに行け、と無茶を言われて蹴り起こされていた。
おちおち倒れても居られない。
まとめ役の人間がタイミングよく車で迎えに来てくれたっぽい。ケンカの後始末も大変だ。
あとがきによると、SFやオカルティズムを一切抜きにして、あいつとこいつとはどちらが強いのか、という物語を書いてみたかったという。人と人が一対一で闘う話が好きで、戦闘描写に枚数を割いた、とあった。
著者が仕事のしすぎで胃潰瘍と咳で寝込み、発熱や歯茎の腫れに悩まされる様子が4ページ使って書かれていて、体調が心配になった。
このぐらい書いたら少しは痛みが楽になるかと思ったら、そうでもないのだなあ。
自分の肉体を過信してはいけません。こうなるまでわからんのだから、人間というのは困ったものなのだね。
誰がなんと言おうと、自分のペースというものはあるのである。そのペースで仕事をせにゃいけません。
餓狼伝は一冊で終わる予定だったのが、書いている最中に物語がふくらんで長くなり、最終的には三冊になる予定だ、ともあった。
一巻から三巻まで、退屈だけはさせないつもりだ。
あとがきに卑屈なことを書いてなくて、何を書きたくてどこを面白いと思っているか、を言い切るところが好き。ちなみにこのあとがきは昭和六十年のもので、現在では十五巻以上あった。
どこを読んでもバイオレンスなんで、誰彼構わず勧めはしないけど、緩急があって最悪で面白いので次巻を読みます。

