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記憶に留める[zinefest東京]

東京に来るのも随分と慣れたな。
東京駅の構内を大手町に向かいながら、観光客らしき面々を次々に追い越し思う。
ゴロゴロと躊躇なくついてくるスーツケースには、明日売る本。その重さにもすっかり慣れた。わずか数年前まで、本を運ぶことも、東京でつるちゃんと落ち合うことも、夢見心地と緊張が重なって、あの観光客たちと同じような顔をしていたに違いない。
今の私の顔はといえばだ。大好きな家族に会うため土産物を抱えて単身赴任先(海外)から戻るお父さんの佇まい。
「珍しい本をたくさん買って来たんだ。今、あっちの国ではこんな本が流行っているんだよ(※流行ってない)。ジョン、ルイス、たくさんあるから喧嘩しないんだぞ。さあハニー、じっくり顔を見せて。久しぶりに君の糠漬けが食べたいな」
乗り換えた電車の中でのんびりとそんな妄想をする。子供たちが本を取り合う愛らしい姿を、東京zine Festのお客さんに置き換えて「いやそれはねぇな」と含み笑いを浮かべながらエレベーターの箱を降りると、満面の笑顔で手を振るつるちゃんが立っていた。

はい前置き長い。
10月4日(土)zine Festに行って来ました!

前回の文フリ大阪で、スッカスカ体験をしたつるときの前日の脱力具合は「やる気がない」とは少し違って、肩の力を完全に抜いたスコンと気持ちよく眠れる夜だった。
なんだったら、つるちゃんの夫さんの部屋でダーツをしこたま楽しんだ。全然次の日のための打ち合わせなぞしていない。
「ちょっと!真ん中に当たった!ねぇ夫さん、褒めて!」
「もう寝る時間ですよー」
「わかった、このゲーム終わったらちゃんと寝るから、褒めて」
「すごいすごい、でもそれは野球投げ」
ちなみに、こんなにはしゃいでいるくせに、初めはダーツに全く興味がなかった。ダーツを強く誘ってくるつるちゃんに「じゃあダーツの面白さをプレゼンして」と言ったら、まさかの
「ダーツはエッセイ」
というパワーワードが飛び出す。この詳細は、いつかつるちゃんがエッセイにしてくれるかもしれないから、私からの説明は控える。
しかし、これが言い得て妙なのである。目から鱗であった。
そして夜の大はしゃぎへとつながってしまうのでエッセイストの夫はいい迷惑である。
私がダーツではしゃげばはしゃぐほど
「ね!?エッセイでしょ!?」
とつるちゃんが瞳を爛々と輝かせていた。まごうことなきエッセイだった。
ゲームが終わると私たちはうふふうふふと笑いながら、翌日への緊張感も皆無に、ほとんど秒で寝た。
要するにだ、万全の体調でもって会場にたどり着いた訳である。

お隣はウミネコ製作委員会さん。
私たち、つるときも寄稿させていただいた『あのころ、ひみつきちで』もラインナップに入っている。
ウミネコさんもつるときも、今回、特にラインナップが豊富である。今回は特にあちこちにエッセイを寄稿し、一緒に作り上げることができたので、広めの机には、所狭しと、エッセイ、小説、画集、イラストエッセイ、小雑誌などなど、手前味噌だがそれはもう、夢への入り口あなたの居場所立ち読みオッケー超癒し空間に仕上がった。
大阪とは比べ物にならないほどのアットホーム感(売る側の体感)に気をよくして、喋って喋って喋り倒した。
客層がとにかくフランク。
「エッセイって実話?」とか「本屋さんに売ってるやつと何が違うの?」とか「普段全然本読まないから、買っても読めないかもー」とか、文フリでは絶対に生まれない会話がどんどん出てくる。
いい。すごくいい。私には、とんでもなく居心地がいいフィールドなのである。
「寝る前に、スマホじゃなく本を読む習慣つけると、秒で寝れます!これ、すごく軽いから、顔に落ちても痛くない!」
「エッセイは基本実話です。聞いてくれます?ここに書いてあるエピソード!(ワーワー説明する)なかなか濃いでしょう?」
面白がってくれるお客さんが何人もいた。買ってくれた人にも、買ってくれなかった人にも、満遍なく笑ってもらって、「ありがとうございます」と伝えられた気がする。
「美大行かれたんですか?」
鶫さんや、KaoRuさんの本を開くお客さんには
「えーとですね、知りません!でもすごいの!!あと、寄稿してる私たちのエッセイもすごいんです!」
と答えて、めちゃくちゃ笑ってもらった。


本の売り方としては間違っているのかもしれない。こんなうるさい本屋さん嫌だ。
何度経験しても、正解はさっぱり分からない。
そのときの会場の空気感にも大きく左右される。
長いこと、浮かれたり凹んだりして来たけど、今も答えは出ていない。
ただ、やってよかったな。という、煮詰めて煮詰めて煮詰めた先に、キラキラとした結晶を取り出した気持ちになるのは、毎回ずっと変わらない。

買いにきてくださった方々に心から感謝申し上げます!ありがとうございました!


その日の打ち上げ。
もはやnoteの垣根を超えた方々とお酒を飲みまくる。すっかりお馴染みの方々なので、これまた全く緊張することなく全員が自由に喋り倒す。
「これを本にしてくれぃ!」とか「次の企画で、私はあなたに切られたい!」とか「一緒にあれをやりたい」とか「尖ったやつ書いてくれ」とか。
普段からずっと思っていても、わざわざ文章でお願いする勇気までは辿りつかない思いつきは、宴の雰囲気でいくらでも言えてしまう。無責任だけど許してほしい、本音がひとつも隠れようとしないんだ。各々が好き好きに思いついた企画を話したり「そんなのムリー!」という人を捩じ伏せてみたりする。ん?思い返したらハラハラしてきた、全部酒のせいにしてもいいですか?でも戯言だとは思われたくはないのだけれど。

こういう人たちと過ごすたびに思うのだ。
忘れたくない。こういう風に脳内のことを曝け出しても否定されることなく、創作の話に繋げてしまう人たちのこの会話を、この雰囲気を、「楽しかった」で終わらせくない。
そうして私の小説が生まれて、それは、彼らへのメッセージだったりする。もちろん、そこに居合わせていない私が大切に思う人たち全部含まれている。そんな話も聞いてもらえて、うっかり泣きそうなほどの幸せを噛み締めながら
「あれは大切すぎてまだ本に出来ない」
と言ったら、ゲラゲラとお腹を抱えて笑っていた酒の席なのに、真剣な表情で頷いてもらえたのも心底嬉しかった。
ああ。この幸せと引き換えに何か取られたりしないよな?これがあれだろ?リア充とかいうやつだろ?

つるちゃんちに戻って、べらんめぇ口調のつるちゃんとゲラゲラ笑い続ける。2分に1回ぐらい「うれし!」「おもしろ!」と叫ぶつるちゃんに「おう!」「そやな!」と餅つきみたいな返しを繰り返して、布団に入ったのが2時半だった。秒で寝る。
と思ったら、つるちゃんが寝入りばな
「はぁっ!!」と叫ぶので、何があった!?と思ったら
「明日赤城神社へ御朱印いただきに行きましょう!!」と、覚醒していた。

翌日、つるちゃんと夫さんと三人で神楽坂をブラブラと散歩。赤城神社で参拝し、御朱印をいただいたあと、サングリアで迎え酒をしながら帰る。
歩きながら思う。
つるちゃんが、今回、私のことをちょいちょい「ときちゃん」って呼ぶ。夫さんにも
「ときちゃん、御朱印集めてるんだよ、御朱印帳、ハワイで買ったやつなんだよ!」
なんて言ってて。
これがあれだろ?リア充とかいうやつだよな?(二回目の確認)
実は、ちょいちょいときちゃん呼びをされるのが嬉しくて、一人悶絶していた。
また遊ぶ約束をして新幹線に乗り込む。
新幹線の中で『あのころ、ひみつきちで』を読む。
それぞれの若く幼い日、こういう未来が待っているなんて、きっと誰も思ってないんだよな。
出会えてよかったな。もし可能ならこの頃にも会ってみたかったな。
途中眠気に誘われて、幸せな夢を見た気がする。

新大阪の駅で、ミャクミャクを抱えた人ごみを潜り抜けながら、彼らと同じぐらい充実した顔でスーツケースを転がす。
詰まっているのは、完売しなかった在庫と、感謝と愛情と本物の家族へのお土産。
本を作ってきてよかったと御堂筋線の騒音に交えてそっと呟く。


充実のラインナップ
神楽坂でサングリアの迎え酒
つるちゃんがたんぽぽハウスで買ってくれた
ゾウシャツ!
つるちゃんはつるシャツ!
大阪でもらった時は「どう着こなす!?」
って言ってたけど、
今じゃ気に入りすぎて、色々合わせてる
新幹線で読了
大人になってもみんな秘密基地を持っているかもしれない。
文フリ福岡、文フリ東京、ウミネコ製作委員会さんで購入いただけると思います!
とても読み応えがありました。
KaoRuさんに書き下ろしていただいた
F20(ファンタスティック仁王)
の宣伝イラスト!
(事前にイラストデータを頂いております)

KaoRuさんの豆氏本
日本支部では売り切れてしまいました!
お渡しできなかった皆様、申し訳ございませんでした!
こちらからご購入頂けます。

https://ko-fi.com/s/d8bd7f7ffc

たくさんの方がほええええー!というリアクションでしみじみご覧になってました。
気になる原画もございます。
鶫さんの画集はこちら!

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