成功する「諦めの悪さ」と、失敗する「往生際の悪さ」。その違いとは? 【ビジネス解体新書 / 戸田成人】
「いい会社に入れたらいいな」。就職活動や転職活動で、多くの人がそう願います。しかし、そう願う人は大抵、こうも思っています。「今日もいい日になったらいいな」「今年は、いい人と出会えたらいいな」「今年は、いい一年になりますように」。

厳しいことを言いますが、これは自分の人生を「運」という他人に丸投げしている状態に近いと言えるのではないでしょうか。言葉の揚げ足を取るつもりはありません。その発言が出る、その根本的にある思考についての指摘です。
「いい日」なんて、空から降ってくるものではありません。どうにでもなる一日を、自分の意志と行動で「いい日」にするのです。かく言う私も、初詣にいくと、、そう願っていたりもします。。。
「いい人」なんて、待っていても現れません。素晴らしい人と出会うに相応しい自分に、「今日なるしかない」という現実に直面してみるしかないのです。
会社も同じです。「いい会社」という箱がどこかにあるわけではありません。入った会社を、自分の手で「いい会社」にしていく気概があるか。そこに、私たちの人生の全てが懸かっているのではないでしょうか。今回は、そんなシンプルなようで難しい観点をコラムに綴って行きたいと思います。
選んだ道を、
「正解」にする力
多くの人が、壁にぶつかるとこう嘆きます。「この会社に入ったのは間違いだった」「あのクソ上司さえいなければ」「あっちの道を選んでおけばよかったのかも」。その思考こそが、うまくいかない最大の原因だとも言えます。
人生において、「選ぶ段階」での正解・不正解など存在しないのではないでしょうか。あるのは、「選んだ道を、正解にする胆力」があるかどうかだけ。今の環境への不満を、会社のせいにし、上司のせいにし、選択のせいにして逃げていませんか?
その「他責」の思考がある限り、どの会社に行っても、どの道を選んでも、必ず同じ壁にぶつかり、同じ後悔を繰り返すはずです。この会社に入った自分の人生を、どうやって正解にするか。この泥臭い「諦めの悪さ」だけが、あなたの市場価値を高め、成功確率を100%に近づけていくのです。

「失敗」の定義を、
書き換えろ
では、諦めずにやり続けた結果、それでもうまくいかなかったらどうするのか?「ほら見たことか、やっぱり失敗じゃないか」と言う人がいます。本当にそうでしょうか。ここには二つの視点があります。
ひとつは、「失敗」とは、うまくいかなかったことではなく、「諦めて辞めた瞬間」に確定するものであるという思考。うまくいかない現状は、ただの「過程」であり「実験結果」であり、そこで諦めずに、改善し、再一次挑戦している限り、それは「失敗」ではなく「成功に向かう途中」でしかないというものです。

エジソンが1万回の失敗を「うまくいかない方法の発見」と言ったように、足が動いている限り、あなたの人生に失敗という文字は刻まれません。
では、一度決めたら
一生辞められないのでは?
もう一つの観点は、「じゃあ、死ぬまで諦めるなと言うのか? それはブラック企業の論理じゃないか」というもの。確かにそうです。
ここで、経営者としての冷徹な視点を一つ加えます。
実は、たった一つだけ、即座に「辞めなければならない瞬間(損切り)」が存在するということです。

例えば、借金経営を想像してください。どれだけ必死に働いて利益を出しても(成長率)、借金の利息(金利)の方が高く、雪だるま式に負債が増えていく状態。この「構造的な詰み」が見えた時は、精神論で頑張ってはいけません。即座に撤退すべきです。
「え? 諦めていいの?」と矛盾を感じるかもしれません。ここに、このコラムの最重要テーマがあります。それは、「定数(Constant)」と「変数(Variable)」の見極めです。
「定数」と戦うな、
「変数」に挑め
この世には、自分の力では絶対に変えられない「定数」があります。物理法則、法律、過ぎ去った過去、他人の感情、そして数学的な金利のロジック。
これらは、どれだけ努力しても変えられません。法律や規定はそう簡単に変えられませんし、自分のことは変えられても、人の感情は自由にコントロールできません。これらよ「定数」によって未来が閉ざされているなら、それは「撤退」という正しい経営判断をすべきなのです。
しかし、私たちが直面する悩みのほとんどは、定数ではありません。自分の努力次第で変えられる「変数」なのです。この区別をはっきりさせず、思考停止で進み続けたり、逆にすぐに諦めて次に行ってしまったりすることに問題があるのです。
つまり、ここで言う「諦めの悪さ」とは、あくまでこの「変数」に対する執着心のことです。定数(変えられないもの)を嘆くのは、まったくの時間の無駄です。しかし、変数(変えられるもの)の可能性が、定数による制約を上回っている間は、絶対に諦めてはいけません。それはまだ「失敗」ではなく、「成功に向かう途中」だからです。

今日という「変数」を、
最高値にできないかを問う
もし今、あなたが「選択を間違えたかも」と後悔しているなら、一度整理をしてみてもいいかもしれません。それは、物理的に不可能な「定数」の壁なのか?それとも、自分の行動次第で変えられる「変数」の壁なのか?誰かの手を借りればできるのか、全くどん詰まりの「定数」なのか。冷静に整理すると、おそらくほとんどが「変数」のはずです。であれば、選んだ道が茨の道であっても全く問題ありません。

「正解」を探して彷徨わず、今いるその場所を、あなたの熱量で「正解」に変えること。「どうにでもなる今日という一日(変数)」。それは、私たちの人生における最大の可能性です。さぁ、この変数をどう動かしますか?
偉そうにコラムを続いていますが、まだまだ私も定数をネタに文句が出てしまったり、変数にも関わらず、今日という1日の可能性を最大限に活かせていない恥ずかしい状態です。改めて、私自身も自分に問い直し、今日という1日を見直してみようと思います。

