空室待ちLINE登録者数、200人。築40年でも、人が並ぶ物件にする空室対策。
当時24歳の私が、祖母から大家を継いで約10年。 あのころ埋まらない空室に泣いていた私に向けて、やって良かったことを書き連ねたら約20,000字のnoteになりました。
私が引き継いだのは、空室が増えた築約40年超えの古いマンション「トダビューハイツ」。
「家賃を下げるしかない」「そもそも難しい立地」「ピカピカに大規模リノベーションするしか」と不動産屋さんたちから言われた、空室率の上がったこのマンション。
埋まらない空室に泣きながら、とにかく試行錯誤して、どうにか満室にしてから、10年近く経ちました。

現在は、こんな状態で運営できています。
1部屋あたりの内覧お問い合わせ:平均20件
空室お知らせLINE登録者:約200人
空室募集時のホームページ閲覧数:週間1.5〜2万
募集後:基本的に即日〜1ヶ月以内に満室
満室運営:10年近く継続中
平均居住期間:16年

実は、満室が続く今に至っても、大きなリノベーションはおこなっていません。昭和に建てられた無骨な姿のまま運営しています。

取材や登壇などのご依頼が増え、「人気物件」と呼んでいただく機会も増えました。本当に本当に恐縮です。いまだに自分でも信じられません。たまに夢じゃないかと思う。ひとえに祖母や住人さん、ご近所さん、相談に乗ってくださるみなさんのおかげです。
↑suumoジャーナル「連載:名物賃貸におじゃまします」取材記事
私も、空室で泣いていました
いまの満室運営に辿り着くまで、色々と試行錯誤をしました。
大家を継いで初めての空室募集で、複数の部屋たちに10ヶ月間入居が決まらなかった時はとにかく辛かったです。
空室増加や住人トラブル(そして親族トラブル)で疲弊していた、私と2人暮らしの祖母を助けたくて、始めた大家業。
とはいえ私はWebデザイナーで、不動産業は未経験。
とりあえず始めたことだから失敗してもいいや、くらいに思っていたのですが、物件との時間が増えるごとに愛着が湧き、物件が選ばれないことに対して申し訳なさが募ってきました。「空室、埋まらないねえ」と長く住んでくださってる入居者さんに心配されるのも胸が痛かったです。
そして何より、「大家を継ぐよ」と言った時に喜んだ祖母の顔が忘れられず、成果を出せないことが苦しくて落ち込みました。
空室が続くと、部屋の空気も重くなる気がします。部屋は生き物なのかもと、大家を始めてから気がつきました。なのでこまめに空室の換気や掃除に行くようになりました。
※大家を継いだ経緯は↓noteに。
当時の私の悩みを羅列してみると…
人が来ない → 管理会社にお任せしているけど、なかなか決まらない
予算がない → おしゃれにリノベーションすれば早く決まるのか? でもそんな予算は無い……
専門知識がない → どこを直せば効果があるのか分からない
センスに自信がない → Webデザイナーとはいえ、不動産のセンスは別物
立地がニッチ → 都内だけど、荒川区・都電が最寄駅というニッチなエリア
スペックで勝てない → エレベーターなし、洗濯機外置き、築40年超
他の物件と差別化できない → 「この物件だからこそ」が無い、わからない
リノベにお金をかけるのは怖いけど、このままではもっと怖い……。そんな状態でした。
(ちなみにですが、空室募集はいまだに胃が痛くなります。
どれだけお問合せが来ようと、即日で満室になる実績が積まれても、募集期間は「万が一、埋まらなかったらどうしよう」と、ずっと心が落ち着きません。あまりに落ち着かないので夫からは「絶望期のえみちゃん」と毎回呼ばれるほどに、絶望しています。)
私の解決策:「リノベ」ではなく「全体企画」で満室にした
さて、空室対策の試行錯誤の末、私がたどり着いた答えは、空室対策は「リノベーション」ではなく「全体企画」 だということでした。
どこを直すか
どこを残すか
どんなデザインにするか
どんな言葉を添えるか
どんな人に届けるか
どんな関係をつくるか
この一つひとつを、入居者さんと物件を想像しながら組み立てていきました。そうしているうちに、先述した人が来ない、スペックで勝てないなどの悩みが解決しました。
結果、大きなリノベーションをしなくても、空室増加していた物件が、平均の内覧申し込み数20件・基本的に即日満室 になりました。

満室にするためにやって良かったこと、全て。
この記事1本で「私の空室対策の全体地図」が分かるようにまとめてみました。
約20,000字のボリュームで、以下の内容を書いています。
📍 第1章:修繕編
・費用×効果×入居者心理で決める修繕の優先順位
・物件の修繕箇所リスト(照明、水回り、共有部など)
・あえて古さを残す判断基準
・デザイナー大家の「盛らない物件デザイン」
📍 第2章:募集・ブランディング編
・直接募集で満室にする方法
・物件ブランディングについて
・入居者募集につなげるホームページ制作とSNS運用のポイント
・内覧20件を生む募集文章の5要素
・物件写真の撮影のコツ
📍 第3章:内覧・入居後フォロー編
・トラブル予備軍を避ける内覧対応
・更新率を上げる入居後フォロー
・実際の修繕事例(費用・期間・効果)
・入居を決めた理由(実際の声)
「跡継ぎ大家さん」に読んでほしいです
私は祖母から大家を引き継ぎました。現在は管理会社さんは入れずに、自主管理をしています。
そして私は「生まれ育った荒川区に、街への愛着を持った人が増えて欲しい」と思って大家業をしています。
なので普段相談をいただくのは、投資家さんタイプの大家さんよりも、跡を継いで大家になったタイプの方がほとんどです。
今回の記事は、どちらかと言うと後者の方向けになります。
物件運営の方針がタイプによって異なるかと思うので、意見の相違についてはご容赦ください🙇♀️
そのうえで、こんな方に読んでいただきたいです👇
・相続で物件を引き継いだけど何から始めていいのか分からない
・集客率を上げたい
・他の物件と差別化をしたい
・古い物件の効果のある改修方法を知りたい
・空室期間を短くしたい
・お金をかけずに印象を変えたい
・自分の物件でも実践できる具体策がほしい
・センスに自信がない
・住人さんにとって居心地の良い住まいづくりをしたい
正直、再現性がないともよく言われます
「東京だから/この物件だから/戸田さんだから、できていることで再現性がない」と言われることもあります。正直、その通りな部分もあると思います。
私が不動産知識のない状態で大家を継いだ24歳のとき、とにかく人気物件(カスタマイズ賃貸のパイオニア・青木純さん)の手法を真似してみることから始めました。
しかし、ただ上辺を真似をしても、空室は埋まりませんでした。
だから、自分にできることを全部試したらいまの形になりました。真似をして学んだこと、良かったことは今も続けています。
全国で人気の賃貸物件を運営している大家さんの講座や記事を読むと、目的に向かって独自の手段で取り組まれています。私は真似できないなあと思います。
リノベーションで有名な一級建築設計事務所ブルースタジオの大島さんが、こうおっしゃっています。
「あなたでなければ、ここでなければ、今でなければ」ならない理由は何でしょうか。それを端的に整理することにより、「物件」と して片付けられないオンリーワンのプロジェクトの「ビジョン」が見えてきます。
まさに私が憧れる大家さんたちは、この「あなた・ここ・今」を体現されています。きっとこのnoteを読んでくださる方にも、「あなた・ここ・今」があるのだと思います。
とはいえ、このnoteに書くのは再現性のないことばかりではありません。
大手物件ポータルサイト以外での募集方法や、具体的な修繕リストや費用、SNS運用で気をつけていることなどなど。改めて見直せること、ちょっと挑戦してみたいこと。それらが見つかり、何かの糸口になれば嬉しいです。
このnoteを有料にしたワケ
恐れ多いことに、不動産やデザインの講師や取材のご依頼が増えています。有料セミナーでお話ししていることもまとめているので、このnoteは有料にさせてもらいました。
一丁前に2万字ほど書きましたが、まだまだ半人前なため「不快に思われないかな……」とやや冷や汗をかきながら執筆しました。(だから前置きも長いという)
でも、満室を目指してもがいていた10年前の私はきっとこのnoteを読みたかっただろうなと思って、書いてみました。
それでは、本文へどうぞ!!

トダビューハイツの物件スペック
それではまず、物件のスペックを。
築年月:1978年
建物構造:RC(鉄筋コンクリート)
間取り:1LDK〜2DK
建物階数:地上4階
エレベーター:なし
洗濯機:基本外置き
場所:東京都荒川区東尾久
尾久は都内でもニッチなエリア。ど下町です。東京に唯一残る都電が通り、町工場と商店街がある、昭和のまま時間が止まっているかのような街です。
最寄り駅は、都電荒川線「東尾久三丁目」駅。ニッチエリアの中の、ニッチ電車の、ニッチ駅です。
よりメジャーな電車、地下鉄千代田線「町屋」駅からは徒歩12分です。

東京ではありますが、賃貸物件としてすごく恵まれた立地にあるとは言えない築古マンション。
私が大家を継ぐ10年前には、周りに複数の新築マンションが建ったこともあり、空室が増加。不動産屋さんからは家賃を下げる提案を受けていました。(すでに下げていたのに。)

ただ、今も昔もありがたいことに長く住んでくださっている方が多い物件です。全体の居住歴は平均して15年くらい。中には新築当初の約40年前から住んでいる方も。
そんな住人さんたちがいるのだから、相性のいい人が見つかれば満室になるのでは……と、大家を継いだ当初は心の片隅で期待もしていました。
📍 第1章:修繕編
空室対策の改修は、費用×効果×入居者心理で優先順を決める
私の大家のお手本は、祖母です。住人さんと関わる姿勢、職人さんの手配など学んだことは多くある一方で、物件の修繕点がどこかズレてるなあと思うこともありました。
例えば、空室の洗濯機が外置きなのはそのままで、建物にオートロックをつけようとしたり。オートロックの前に直す箇所、もっとあるでしょ!と、止めた日もありました。
私は修繕をする際
◎ 費用
◎ 見た目の改善度
◎ 入居者さんの“ストレス因子”の減少度
この3軸で優先順位を決めています。
「部屋を気に入って、愛着を持って住んでもらいたい」という思いをベースに、改修点に取り組んでいます。

空室対策に効果があった設備、修繕アイディア集
では、実際に私が物件を修繕して、集客に効果のあった内容を紹介します。
正直、当たり前の修繕点も含まれます!!けど当たり前のことが意外と見落とされていたりしますし、当たり前を積み重ねることが大事だと思います。
もちろん、あまり他の物件では見かけない、私が挑戦してみて効果があった修繕ポイントもご紹介します。
また冒頭にも書きましたが、うちの物件の場合効果があった空室対策は、「リノベーション」ではなく「全体企画」であると実感しています。
なので「この箇所を修繕したら満室になった!」という事例ではありません。
修繕したうえで他のソフト・ハードの調整を加えると、トータル面で選ばれる物件になると感じています。
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