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結局、どこの人も似たような悩みを抱えてる気がしてきた

「息子の自由研究のテーマ、なにか良いアイデアはない?」

ファビーナがぼくに尋ねた。あまりにも突拍子もないことだったから、それをscience projectと聞き取れず、sion (土地の名前)projectと勘違いして、またなにかイベントがあるのかと思った。

よくよく聞くと、夏休みの自由研究なにをするのか悩んでいるのだという。

たしか彼女の息子、ジェイは13歳くらい。日本でいうところの中学1年生だったはずだ。

手伝わないとジェイは何もしないのよ、と彼女は言った。

どこかで聞いたことがある言葉だ。

たしか20年ほど前、淡路島で。

なんの自慢にもならないけれど、当時小学生だったぼくは、夏休みの宿題の交通安全ポスターも、貯金箱工作も、自由研究も一切自分でやったことはなかった。

我が愛すべき母がすべてを担っていた。

あの時代、それは我が家だけではなく、15~16人くらいのクラスの半分くらいは親がやっていたように思う。毎年、授業参観だかなんだかで各々の作品を見た母が、「今回の〇〇ちゃんのやつは、おかんの手が入り過ぎてな」「〇〇くんのは気合い入っていた。あれは君らちびっこには無理な芸当や」というような会話がなされていたのを覚えている。

ちなみにいうと、中1のときの塾の数学の宿題も母がやっていた。まったく意味ねぇ。

ちなみにいうと、中2から自分でやり始めたのだが、それはぼくが改心したからではなく母が数学のレベルが上がってわからなくなったからだ。

そういうことをファビーナとの会話で一気に思い出して、思わず笑ってしまった。

先進国だろうが、途上国だろうがどこの国でも、母親の役割というのは同じなのかもしれない。

「期限はいつまで?」ぼくは尋ねた。

「9月よ」

わーお、たっぷり時間がある。

昔から計画的に夏休みの宿題を消化してきたことはなかったぼくにタイムマネジメントは無理だ。だいたいお尻に火が着いてきてようやくスイッチが入る。

わかった、ちょっと考えてみるよと答えたけれど、最近はどこの国にでもあるショッピングモールもないほんとに小さな島国のセントビンセントでどんな材料が手に入るのかはなかなか測り難い。予測できない。だいたいないから。

さて、どうする。ぼく自由研究なんてやったことないぞ。

なんてことを考えていたら、ぼくもいつか親になったら夏休みはこうやって悩み事ができるのかと思った。悪くないな。

自由研究のテーマについて意見を求められるなんて、立派な大人になったんだなぁとしみじみと思った。

当時のぼくを知ってる人からするとびっくりするかもしれないな。

いやぁ、遠いところまで来たなぁ。

いや、そんなこともないのかな、尋ねられただけだし。



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