おつくね祭はなぜ続くのか─ 福井大学ラウンドテーブル【後編】
帰ってきてよかったと思える場所
司会
少子高齢化って言うけど、おつくね祭に参加してみて、東郷は子どもが多いなと思ったんですよ。

北川
第1回の頃から、小学生は参加するもの、という空気はありますね。
岩佐
各町内が神輿を出すんです。
19町内それぞれが出して、駅前で披露する。
子どもたちがダンスをしたり、パフォーマンスをしたり。
あのときは毎年人が集まります。

司会
佐々木さんは子供のときからジュニアスタッフとして参加していたと聞きましたが
ジュニアスタッフって、どんなことをしていたんですか。
佐々木
東郷では、先輩たちが下の世代にお願いするときは『余白』を与えてくれるんです。
ここの部分はお願いしたいけど、あとは自由にしていいよ。みたいな
ジュニアスタッフの時の記憶と言えば、
何時になったら神輿の誘導をやる、とか役割は決まっているんですけど、それまでは公民館で待機なんです。
20畳くらいの和室に小学生が集まると、子供なんで、枕投げが始まったりするんです。
そこに近所のおじいちゃんが来て、お前ら何してるんや!って怒られたり(笑)
でもそれも含めて祭りの記憶なんですよね。
司会
なるほど、怒られるのも含めて。
佐々木
自分の町内以外の大人と関わることって、普段はあまりないじゃないですか。
でも祭りでは、父親世代やその上の世代と一緒に役割を持って動く。
それが自然にある。
去年までずっと東京にいたんですけど、去年東郷に帰ってきたとき、昔一緒にやっていた人たちが、『おかえり』って言ってくれたんです。
あれは嬉しかったですね。
自分の中でのハイライトというか。
帰ってきてよかったなって思えました。
岩佐
子どもの頃にどれだけ楽しかったって思ってもらえるかが大事なのかなと感じます。
その記憶があると、大学生になっても社会人になっても、ちょっとおつくね祭行ってみるかってなる。
おつくね祭は、同窓会みたいな役割もあると思っています。
酒井
今年は同窓会ブースを作りたいという話も出ています。
若い世代に来てもらうきっかけを用意する。
そこからまたつながりが生まれるかもしれない。
人が喜ぶことが好きなんじゃないか
酒井
ここに集まってきた人、歴代の人も、現スタッフも、皆さん、自分の大事な時間を削って大きなお祭りを作ってる。
みんなそこに集まって喜んでるって思って、僕もそうだなと思ったんだけど、みんな人が喜ぶことが好きなんじゃないかなと思いました。
人が喜ぶことをしたい。人が喜ぶ顔を見て、自分が楽しんでる。自己肯定感を上げてるというか。
それはすごく誇りに思いました。みんなすごい素敵やなって。
司会
では最後に。
東郷が変わりながら続いている、そのエネルギーはどこから来ていると思いますか。
酒井
この町が好きなんだという気持ちだと思います。
ここにいると、みんな楽しそうなんですよ。
だから続けたい。
でも同じことを続けているだけでは、どこかで止まる。
怖いけど、変える。
失敗するかもしれないけど、やらないよりやった方がいい。
それを支えてくれる人がいるからできる。
岩佐
誇りですね。
小さな小学校区ですけど、ここまで町おこしが盛り上がっている場所はなかなかない。
この誇りを次の世代にも感じてほしい。
北川
僕はファミリー感ですかね。
地区全体が家族みたいなんです。
自分が若い頃に与えてもらったチャンスを、次の世代に渡しているだけ。
楽しかったから、同じように楽しんでほしい。
佐々木
僕はそこまで大きなことは考えていません(笑)
自分の身の回りの人に喜んでもらいたいだけ。
でもたぶん、自分が喜ばせてもらった経験があるから、そうしているんだと思います。
司会
喜ばせてもらった経験が、次の挑戦を生む。
それが循環しているんですね。
司会
では一旦ここで区切ります。
ありがとうございました。
当日のトークセッションの内容は以上になります。

コラム
おつくね祭が続く理由。それは、今回のトークセッションで話されたことだけでなく、他にも様々な要因があると思います。
おつくね祭は、スローガンにもあるように、
ひとりひとりが米粒のように手と手を握り合い、一人一役。
この言葉は、決して飾りではないのだと思います。
今回語ってくれた4人や実行委員、企画スタッフだけでなく、模擬店の出店者、お神輿パフォーマンスに出演する各自治会の皆さん、そして遊びに来てくれる人たちまで。
誰かが主役で、誰かが脇役なのではなく、それぞれが米粒のように集まって、ひとつのかたちをつくる。
その積み重ねが、おつくね祭なのだと感じています。
変わらないものを大切にしながら、時代に合わせて少しずつ形を変えていく。
挑戦する若手を見守り、かつて挑戦してきた人たちが支え、そしてまた次の世代へと渡していく。
おつくね祭も、東郷とともに、時代とともに。
変わりながら、これからも続いていくといいなと思います。
福井大学大学教職員の皆様も本当にありがとうございました。
