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ティール組織に関するモヤモヤの備忘録

少し前に「ティール組織」という書籍が流行りました。

この書籍の感想や解釈を様々な方から聞く中で、私の中にモヤモヤするポイントが発生しました。
今回はこのモヤモヤポイントを言語化し、走り書き、備忘録として記載します。

進化という言葉が誤読されている

進化を考えるとき、ラマルクとダーウィンの名前が上がります。

彼は、進化は常に単純な生物から複雑な生物へと発展していくような、一定の方向をもつ必然的で目的論的な過程だと考えた。

ウィキペディア 「ラマルクの進化論」より

変異はランダムな物であると考えた。ここで言うランダムとは「規則性が全く無い」と言う意味ではない。ダーウィンは変異について確実なことを述べられるような知識を何も持っていなかった。変異がランダムであるとは、変異それ自体には進化の方向性を決める力が内在しないと言う意味である。
進化を進歩とは違うものだと認識し、特定の方向性がない偶然の変異による機械論的なものだとした。

ウィキペディア「ダーウィンの進化論」より

多くの人は進化と進歩を混同しがちです。

ダーウィンの『種の起源』では、進化を意味する言葉として「世代を越えて伝わる変化」(decent with modification)がよく使われていますが、この言葉には進歩という意味合いはありません。

ティール組織におけるレッドからティールへの変遷は、進化であり、進歩ではない。
このことを理解しないと、「ティール組織を目指すことが必然で、ティール組織が組織形態のゴールである」と誤解されるのではないでしょうか。

もしかしたら、私が読み込んでいないだけで、書籍において「進化=進歩」と認識されているかもしれませんが・・・

ティール組織の書籍を踏まえた様々な方の発言を聞く限りにおいて、この点を理解されて話をされている方と、この点を理解されずに、ティール組織を目指すべき組織形態だと誤解し話しをされている方に分かれているように感じます。これが私が感じるモヤモヤポイントの1つ目です。

組織は、時代背景も踏まえた様々な環境の中で適合したものが生き残るだけであり、時間の経過とともに進歩していくものではないのではないでしょうか。

組織構造を規定するものは環境では?

レッド組織のメタファーはオオカミの群れです。組織運営の特徴としては、特定の個人の力によって支配的に運営するスタイルです。
中央集権的な力がなく、法の支配が及ばない場合、組織は個人の力による支配的なスタイルになるはずです。

コハク組織のメタファーは軍隊です。組織運営の特徴としては、上意下達で厳格な社会的な階級に基づくヒエラルキーによって情報管理を行い、指示命令系統が明確な状態で運営するスタイルです。
宗教や絶対君主を統治のフォーマットとして活用する場合、社会的な位置は宗教や絶対君主によって規定されるため、指示命令系統は明確な状態となります。

オレンジ組織のメタファーは機械です。組織運営の特徴としては、コハク組織のような厳格な社会的階級ではなく、社長や従業員等のヒエラルキーを持ちながら、成果を上げた従業員が評価を受け、出世することができる運営スタイルです。
国家が信用力を背景に貨幣を発行し、市場が発達した資本主義において、生産性という概念を導入した上で組織運営を行うこととなるでしょう。

原始社会→封建制→国王による中央集権制→国民国家、と西欧が変遷する中で、組織も、レッド→コハク→オレンジと遷移してきます。

この後、グリーン組織が入っているのは、グローバル化に伴い、環境の複雑さ、不確実性が増してきているため、オレンジ組織の特徴である機械的なスループット標準型の組織から、グリーン組織の特徴であるアウトプット標準型の組織に変遷することが望まれるということでしょうか。

こう考えると、組織が自ら選んで組織形態を規定するのではなく、組織形態を規定するのはあくまで環境です。
これがモヤモヤポイントの2つ目で、ティール組織の解説に目を通すと、組織が組織形態を選択し、規定できるような錯覚を覚え、モヤモヤします。

ティール組織は作れるか?

組織は環境に規定されるものですが、その前提でティール組織は作れるかどうかを考えると、一定の条件下で作れると考えます。
ティール組織の特徴は、

  • 自主経営

  • 全体性

  • 存在目的

の3つにあると書かれています。
組織の特徴は「分業」と「調整」です。
この観点から、上記3つの特徴を踏まえた組織作りをするとすれば、

  • 組織内部でルール設定しなくともビジネスを取り巻く環境において詳細なルール設定がされているケースにおいて

  • 複合的な職能を組み合わせざるを得ないビジネスであり、

  • 社会性を持ちやすいビジネスを展開する

という特殊な場合、ティール組織は成り立つと考えます。

例えば、
・医療・介護看護業界、
・グローバルなITプラットフォーム上で構築するビジネス
・法律に関するビジネス
の場合、組織内部でルール設定しなくとも、国や業界団体、社外のプラットフォームが詳細なルールを規定するため、外部のルールに合わせることがビジネスの前提であれば、個々人の判断が、組織内でズレる可能性は僅少となります。

また、
・医師、看護師、介護士、栄養士、技師等の複合的な職能
・開発者、デザイナー、等、個々人で異なる職能が集まり1つのサービスを構築する場合
・分野が細分化されていて、業界全体においてタコつぼ化している場合
チームメンバーがフラットな関係性の中で、それぞれ専門家の立場から、自らの立場を脅かされることなく、意見の交換が可能となります。

加えて、
・人の生命や権限に関わる仕事
・個々人の趣味趣向のみが価値の主たる源泉である仕事
であれば、そこに賛同しているメンバーがチームの一員となることで、全体性を担保しやすくなります。

この3つの条件を踏まえた環境下でれば、ティール組織の3つの特徴を踏まえた組織を構築することは不可能ではないと考えます。

ティール組織に向かない組織

一方で、分業と調整の観点から

・コモディティなサービスで、社外にルールが詳細に規定されておらず、
・営業職種等同一職種に多数の社員を抱え、
・生命や権限、個々人の趣味趣向といった存在意義を規定しやすいサービスではない場合、

競争を前提とした市場経済に適合したオレンジ組織の方が、組織が継続する可能性は高まるでしょう。

また、ビジネスの作り方によっては、グリーン組織のように見せることは可能です。
例えば、ニッチな市場において、継続課金型のビジネスを構築し、一定のシェアを獲得することが出来れば、環境の変化が少ない限りにおいて、収入が時間の経過とともに積み上がるため、スタッフの多様性を許容する企業体力が作れます。

本質的な問題は、自己認識の拡張では?

ティール組織は、組織と個人という2つの関係性で議論が展開していますが、個人的には、組織と個人の2項対立が問題なのではなく、組織と個人を包括する自己認識の在り方に本質的な課題があると考えています。

私たち、という言葉に、どこまでの概念が含まれているか、それは人によって様々です。
家族、チーム、会社、地域住民、人類、・・
私たちという時、「私たち」は様々なコミュニティの範囲を想定します。

この「私たち」という概念(厳密に言えば、「私」も「私たち」という概念に包括される一種の「私たち」だと考えたとすれば)がズレることが、個人が抱える組織的な課題になります。

個々人が組織の一部の機能であるという認識で留まることが出来れば、働きづらさや世間一般的に言うところのモチベーションの問題は起こりません。
しかしながら、「私たち」だと思っているものが、同じ「私たち」だと思っている人から「私たち」と思われない言動が垣間見えることが、組織における個の阻害を引き起こし、組織活動におけるヒトの側面から見た課題を引き起こしていると考えます。

上記備忘録を参考に、自己認識の拡張については、少しずつ考えてを進めていきたいと思います。

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