店舗ビジネスのポイント
世の中には様々なビジネスがありますが、私たちが普段よく目にするビジネスとして店舗ビジネスがあります。飲食店、理美容室、小売店、等々、店舗を構えてお客様にご来店頂き、商品やサービスを購入頂くビジネスです。
今回は、この店舗ビジネスのポイントについて見ていきます。
店舗ビジネスの特徴
普段、街中を歩いていると、店舗の開店、閉店をよく目にします。
店舗ビジネスの代表格、飲食店で見れば、このような数字があります。
飲食店の廃業率は非常に高いと言われています。連日行列ができるような店がある一方で、開店して2年以内に閉店する店舗は半数、3年で7割が消えるという数字もあります。つい最近できたばかりのお店なのに、気が付けば別の店になっているということはよくあるものです。
店舗ビジネスは、商圏の環境変化、競合他社の多さ、時代の変化(ネットによる購入頻度の向上、コロナ禍、サービスの流行り廃り等々)により、商圏のニーズに合致し、利益が出るビジネスモデルでないと継続が難しくなります。
店舗ビジネスは出店段階で勝負が決まる?
店舗ビジネスの場合、売上から「材料費・商品原価」「人件費」「家賃」「諸経費(広告宣伝費、水道光熱費等)」を引いたものが利益となります。
店舗ビジネスを始める場合、
(1)業態を決める
(2)立地を決める
(3)店舗を作る
(4)店舗で商売を始める
の流れになりますので、
(1)「業態を決める」段階で、顧客1名様あたりの想定粗利額が決まり、
(2)「立地を決める」段階で、期間あたりの見込み客数が決まり、
(3)「店舗を作る」段階で、想定人件費、家賃、水道光熱費等の諸経費が決まり、
(4)「店舗で商売を始める」段階で、上記(1)(2)(3)の答え合わせをして、改善を進めることになります。
(4)「店舗で商売を始める」の後に、経営者が変更することが出来る要素は少なく、出店段階において、(1)(2)(3)の計画精度をいかに上げるかが商売を続ける上でのポイントです。
(1)(2)(3)の計画(戦略)の失敗を(4)の運営(戦術)で取り返すことが難しいビジネス、すなわち、出店した段階で勝負の大半が決まるビジネスです。
業態を決めるポイント
「業態を決める」上でのポイントで見ていくと、商圏をどのように捉えるかによって、業態の決め方に違いが出て来ます。
商圏人口が多い場合、競合他店が多いことが想定されます。
大都市圏での立地がこれに該当しますが、この場合、業態を絞り込むことが定石となります。
競合他店が多いため、他店との違い、差別化をアピールするためにも、自店でしか出来ないこと、自店でしか得られないものを提供することで、お客様に選んで来ていただく店舗となることが必要です。
一方、商圏人口が少ない場合、競合他店が少ないことが想定されます。
この場合、商圏内の見込み顧客数も少ないため、業態を広めに取り、間口の広い運用をすることが求められます。年齢層、男女、職業等、幅広い客層に対応できるサービスを提供しなければ、利益を出すに足るお客様の数を確保できないからです。
経営者の拘りが強い場合、商圏人口と業態の整合性が考慮されていないケースがあります。
商圏人口が多く競合店犇めく地域で、特長のない店舗を構えても、お客様は来ず、利益率が高い商売も出来ません。
商圏人口が少ない店舗で、こだわりのサービスを実施しても、集客に苦しむことになるでしょう。
店舗ビジネスは、経営者の拘りを横に置いて、商圏と業態の整合性を確認し、計画に落とし込むこと、もしくは、経営者の業種業態に対する拘りが強い場合は、業態特性を活かした立地を選択することが必要です。
店舗運営を開始した後での改善
店舗ビジネスを始めたけれど、赤字になってしまった。
このようなケースの場合は勿論のこと、黒字となった場合であっても、運営後の改善は必要不可欠です。
改善する箇所を4つの窓に分けて考えて見ると下図となります。

①顧客接点で、誰でも出来ること:挨拶、お出迎え・お見送りの所作、
②顧客接点前で、誰でも出来ること:店舗の清掃、清潔、整頓
③顧客接点で、出来る/出来ないがあること:商品・サービスの顧客提案
④顧客接点までで、出来る/出来ないがあること:商品・サービスメニュー開発、事前作業(見込みでの仕入れ、調理等作業、商品提供スピード)
①~④全てを改善することは重要なことですが、まずは①②の改善から取り組みましょう。すなわち、ルール化、見える化です。
①については、挨拶の仕方、お出迎え・お見送りの所作について、ルール(マニュアル)で明確にし、それが出来ているかチェックする仕組みを構築することが大切です。
②についても、清掃、清潔、整理整頓について、チェック項目をリスト化し、定期的に責任者がチェックすることが求められます。
次に④、顧客接点前の能力差があることについて、②の領域に持ち込むことが重要です。
④について属人的になっている作業、例えば、飲食店の場合、調理が属人的になっているのであれば、マニュアル化の徹底、調理のオートメーション化(機械化)を進め、誰でも一定の品質の料理が提供できる状況を作ること。
小売店の場合は、過去データを蓄積し、仕入れを過去データに基づき実施することや、商品提供スピードを上げるため、在庫からのピッキングの仕組み化、を推し進め、顧客接点前の属人的な業務を出来る限り、誰もが出来る業務に移行させていくことで、提供する商品、サービスの水準を押し上げていくことが求められます。
順番は、④を②にして、②の水準を上げる、です。
④のまま、個人の力量を上げることで、属人化を回避できない場合(すばらしい料理人を採用する、他店からスーパープレイヤーを引き抜く等)、店舗の根本的な改善は困難となります。
そして最後に③顧客接点の能力差がある点の改善を実施していきます。
社長、オーナー店長の多くは、顧客接点における能力が高い方ではないでしょうか。
特定のお客様との関係性を構築し、リピート頂く能力が高かったり、素晴らしい提案で顧客単価を上げることが出来ることができる社長・オーナー店長は、従業員にも自分が教育すればこれが出来るようになるのではないかと考えます。
また、③顧客接点の能力差がある業務は、店舗利益において、短期的に最もインパクトがあるため、この部分の能力をいかに向上させるのかに目を向け勝ちです。
しかしながら、この③の分野は属人的な能力であることが多く、コントロールすることが他の領域に比べて難しい分野です。
教育により改善は継続して頂きたい分野ですが、やはり①②④の領域を高めることで、店舗の水準を高めることにより意識を向けて頂けた方が、組織として継続的な改善が見込まれます。
③については、属人的な要素をいかに残して、競合他店との差別化を図るか、社員教育とセットで、経営の余白部分(プラスアルファのコントロール出来ずらい部分)として見て頂けますでしょうか。
そして①②④の領域の水準が高く、この部分でお客様に選ばれる店舗を作ることが出来れば、多店舗展開の難易度が一気に下がることとなります。
また、経営者にしか出来ないことですが、業態自体を見直すことも検討の視野に入ります。
商圏と業態の整合性を見ながら、業態自体を見直すことも、上記①~④をやっても効果が限定的で、大幅な改善が見込まれる場合は、選択肢の1つとして検討下さい。
最後に
店舗ビジネスは、出店した段階で勝負の大半が決まるとお伝えしました。
1店舗目、2店舗目を展開し、店舗運営の属人性を極力排除し、質の高い運営を実現できたのであれば、3店舗以降の店舗展開は、出店候補地の選定を間違えなければ、加速度的に上げることが出来ます。
また、属人化を可能な限り排した運営で、複数店で改善を横展開できれば、店舗の数だけ改善のスピードが上がることも期待されます。
店舗ビジネスで成長するためには、再現性がある仕組をいかに作るか、マニュアル化、数値化が重要です。
これを実行するためには、組織上で、ルール・マニュアル作成と管理の責任明確化、数値管理責任明確化が求められ、全社的に情報が正しく展開される仕組みが必要です。
店舗ビジネスでの成長の望む社長は、再現性のあるビジネスを構築頂き、環境に合わせて変化させながら、事業継続頂ければ何よりです。
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