葉巻とお酒で、余暇を買う。
最近はもっぱら、シェリー酒を飲んでいる。
シェリー酒とは、スペインで作られるアルコール度数の高いワインだ。普通のワインよりもアクセントが強い。
それに、葉巻を合わせて吸う。
「葉巻といえばキューバ産」と言われるのだが、ここ数年はキューバ産の味が落ちているため、もっぱらニカラグアの銘柄である、ロッキー・パテルを吸っている。これがまあ、とんでもなく美味しい。
燻製香がふんわりと繊細に、それでいて複雑に漂う。
ちょっといいことがあった日のご褒美に、あるいはどっしりと重い相談を聞きすぎて、心がどんよりしたときに。思いを煙に流すことで、心の安寧を取り戻す。それを依存というのなら、依存なのかもしれない。
それでも、葉巻が燃え尽きるまでの2時間を、私は買っている。2時間。なんとも絶妙なバカンスの時間だ。仕事から離れて、少しだけ自分を取り戻したい。何も考えず、ただ味にだけ浸っていたい。
人によっては筋トレで、あるいは推し活で、そんな時間を取り戻しているのだろう。それを私は煙とアルコールにゆだねている。なんとも贅沢な余暇だ。体にひとつもよろしくない。しかし、そのおかげで今の私は心身を調律しているのだから、不思議なものだ。
特に喫煙も飲酒も「やる意味がわからない」と言われる今だからこそ、私は全力でこの愚かな余暇を楽しみたいと思う。人間は愚かになる権利を持っている。その愚かさを許容できない社会は、どうにも退屈で窮屈だから。
