見出し画像

文法用語は覚えたのに英文が読めない、の正体

参考書は分かるのに、英文の前で手が止まる

関係代名詞の説明を読めば「ああ、そういうことか」と納得できる。仮定法の章も、受動態の章も、解説を読んでいる間は理解できている。なのに、いざ知らない英文を目の前にすると、最初の数語で止まってしまう。読み進めているうちに「あれ、さっきの主語は何だったっけ」と前に戻ってしまう。

これは英語力の問題ではありません。文法知識と、英文を読み進める力が、そもそも別のものだからです。

文法用語は「説明する道具」であって「読む道具」ではない

参考書に載っている文法用語は、すでに完成した英文を分解して説明するために作られています。関係代名詞が何を指しているか、受動態がなぜこの形になっているか。これらはすべて、文が出来上がったあとに「なぜこうなっているか」を後づけで説明するための道具です。

一方で、英文を読むという作業は、左から右へ、単語がひとつずつ現れていく中で意味を組み立てていく作業です。まだ完成していない、途中経過の文を相手にしています。

完成した建物の設計図を読める人が、建築現場でその場の判断ができるとは限りません。文法用語を知っていることと、英文を読み進める手順を持っていることは、似ているようで別の技能です。参考書で分かった気になれるのに実際の英文で止まる人には、ほぼ例外なくこの区別がついていません。文法を「もっと覚えれば読めるようになる」と思い込み、同じ参考書を何周もして、それでも読めるようにならず挫折する。これが繰り返されるパターンです。

なぜ「返り読み」が起きるのか

手が止まる人の英文を横で見ていると、共通する動きがあります。ある単語で止まり、視線が数語前に戻る。また少し進んで、また戻る。これが「返り読み」です。

返り読みが起きる理由は単純です。今読んでいる単語が、文全体のどの部分に当たるのかを、その場で判断する手順を持っていないからです。だから一度最後まで(あるいはある程度まで)読んで、それから頭に戻って「主語はこれで、動詞はこれで」と組み立て直す。日本語の語順に並べ替えてから理解しようとしている、と言ってもいいかもしれません。

この作業自体は、文法的には正しいことをしています。関係代名詞の先行詞を正しく見つけている。受動態の意味も取れている。知識としては合っている。それでも遅い。そして疲れる。長い文になるほど、行ったり来たりの回数が増えて、途中で意味を見失う。

実際の英文で、何が起きているか見てみる

次の文を見てください。

The man who lives next door gave his old bicycle to my brother yesterday.

文法的に説明しようとすると、こうなります。The man が主語、who lives next door が関係代名詞節で The man を修飾、gave が動詞、his old bicycle が目的語、to my brother が間接的な相手、yesterday が時を表す副詞。

この説明は、正しいし、参考書的にも満点です。ただしこれは「読み終わったあとの説明」です。実際に読んでいる最中の頭の中は、これとは違う動き方をしています。

試しに、頭の中で次々に浮かぶはずの疑問を並べてみます。

The man → 誰の話?
who lives next door → ああ、隣に住んでる人ね
gave → その人が、何かをあげたらしい
his old bicycle → 古い自転車を
to my brother → 私の弟に
yesterday → 昨日

上から下まで、一度も後ろに戻っていません。who lives next door の部分で「これは関係代名詞だから先行詞は……」と文法用語を思い出す必要もありません。ただ「隣に住んでる人」という情報が、直前の The man に追加されただけです。次に gave が出てきた時点で、「その人が何かをした」という予測が生まれ、his old bicycle でその予測が満たされる。

返り読みをしている人は、この一連の流れを一度止めて、後ろから前に文法的な構造を組み立て直しています。知識は正しいのに、処理の順番が逆になっている。これが、文法用語を覚えたのに英文が読めない、という現象の正体です。

知っていることと、その場で使えることは違う

文法の知識自体を疑う必要はありません。関係代名詞の仕組みも、受動態の作られ方も、知っておくべきことです。問題は、その知識を「読み終わったあとに答え合わせをするため」にしか使っていない点にあります。読んでいる最中に、次に何が来るかを予測しながら前に進む手順が、別に必要なのです。

参考書を何周しても止まらなかった人が、この「処理の順番」の話を聞いた瞬間に反応が変わることがあります。知識が足りないのではなく、知識の使い方が違っていた。ここに気づくかどうかが、最初の分かれ道になります。

次回は、この「前から読んで、戻らないための問い」を、実際にどう組み立てていくかを扱います。




本記事はAIを活用して構成し、筆者が加筆・確認しています。


いいなと思ったら応援しよう!