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湯治場で、年を越す⑤【鳴子温泉グルメ】

<前回はこちら>

 高東旅館に入ってからは朝夕は自炊となる。粗食を心掛け、野菜類を中心に肉や油物は控えるようにする。少し離れるが、「あ・ら・伊達な道の駅」は2年連続で満足度1位に輝いた道の駅。

 往路にて立ち寄り、保存の効きそうな野菜や卵などを購入。
鳴子に入ってからは街中にあるドラッグストアや、マルカという八百屋で食料を調達する(18円のもやしは毎日、、)。

 昼は買い出しついでに外で食べることも。
1日5回の入浴、大量の塩分が汗となり出て行くため、食欲は旺盛になる。東鳴子エリアにある「食堂 千両」は度々お世話になってきた名店。

 お世辞にも綺麗な店とは言えないが、味はどれも秀逸だ。
看板は外れたまま、営業時間も不明瞭。気分次第で急に休業したりと少々気分屋。老夫婦が経営しているかと思いきや、190㎝近いスラっとしたマスターが厨房に立つ。

 
 名物はカツ丼(950円)。これを食べにくる常連客は地元の方よりも首都圏からの方が多いそうだ。飛び込みで入店し注文しても、高確率で「今日は出来ない」と言って有り付くことが出来ない。
 4度目でやっと辿り着く者、県外からハガキを送って予約をする強者もいるそうだ。

 電話予約も出来ず(番号が分からない)、常連さんは来店時に次回の予約取ってから店を去るのだという。私も何度もこちらを訪ねているが、カツ丼を食したことは1度しかない。


 到着2日目の昼、千両へと向かった。
この店は軒先に「ラーメン」と書かれたのぼり旗が出ているかどうかで営業を確認できる。到着した12時過ぎ、残念ながら旗が出ていない。店のガラス戸に何やら張り紙が出ていた。

 「今日は12時から営業します」
既に12時を回っているが、、少し待ってみることに。10分するとマスターが現れた。

店主 「すいません。遅れちゃって」
   「あれっ??お客さん前にも来たことあるよね?」
私  「はい。最後は半年前」「カツ丼、出来ますかね??」
店主 「あー、ちょっと時間かかるけど」

私  「どれくらいでしょう?」
店主 「最低30分はかかるかな」
私  「うーん」
店主 「逆にチャンスなのよ。他のお客さんいると1時間半とか待ってもらうから」

私  「では待ちます。買い物に出てもいいですかね?」
店主 「いいよ、30分で帰って来てね」

 
 開店直後の店はストーブが灯ったばかりで少々寒く、待ち時間も退屈なので「薬王堂」に買い出しへ。野菜類を購入し時間を潰す。ちょうど30分、店に戻っても客は誰もいなかった。

 5分程で着丼。相変わらず上蓋に収まらない圧巻のボリューム。
ブランド豚だという分厚い肉をしっとり系の衣が包み、サクサク感はなし。他では味わえない独特な味付けと歯ごたえ、肉の美味さがダイレクトに来る。東京の常連さんが通うのも納得の一杯だ。 


私  「やっぱり旨いですね」
店主 「肉が違うからね。カツ丼屋がこれ食べに来るから」
私  「年内はいつまで?」
店主 「30までやる予定」
   「でも、あんまりカツ丼が出ちゃうとうち儲かんないのよ。手間とコストばっかりかかって」
私  「(苦笑)。じゃ、また来ます」


 数日後。

 12時過ぎに行くとまた旗が上がっていない。
ガラス戸の張り紙を見ると、「本日休業」の文字が。何度か同じ体験をしているので痛痒を感じないが、観光などで旅程に組むのは相当リスキーだと覚悟の上で。


 続いて白羽の矢が立ったのは、鳴子温泉街から江合川を越えた対岸「みさをの店」へ。住居を兼ねているのか、メイン玄関の横に店舗入口がある中華屋。こちらも再訪になる。


 母娘と思われる女性2名が切盛りしているこちらの店。元気で気さくな娘さんが接客をする。注文は「醤油ラーメン(700円)」。淡麗系スープにメンマとネギ、チャーシュー、なるとにワカメと直球勝負。どシンプルだが優しさのある味わい、昼夜発汗する湯治の合間にちょうど食べたい味だった。

 千両の代打としては十分過ぎる活躍。
因みに千両の中華そば(600円)もシンプル系でショウガが効いており美味い。両者を比較するならば、ラーメンだけで言うと私は「みさをの店」に一票。

 鳴子を語る上では外せない店がもう一軒。東鳴子の焼肉屋「八兆」だ。湯巡りをしている方からすれば釈迦に説法か。秘湯で遭遇する温泉マニアの方々、この店でボトルキープしている人に会ったのは一度や二度ではない。

 だが、実はまだ私は未訪。
何処へでも一人で旅に行くし居酒屋も入る。だがどうしても、「一人焼肉」だけは何故か抵抗があり未経験だった。

 いつか行きたいと想念していた「八兆」。本旅の途中、思わぬ形で訪れることになる。

                          令和3年12月29日

千両 看板が外れたまま
千両は炒飯も美味い 卵スープはデフォルトのセット 一品料理サイズ
みさをの店
みさをの店 ラーメン(700円) シンプル系で旨い

<次回はこちら>


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