×が消えた本当の理由から学ぶ、「誤解されない思考」の作り方
この記事は、こんな方に向けて書いています。
数学の決まりを「そういうもの」ではなく、理由から理解したい方
授業や説明で「なぜか伝わらない」と感じることがある方
思考や説明の整理軸を、もう一段深めたい教育関係者・社会人の方
この記事では、以前書いた『なぜ中学数学で「×」は消えるのか? 記号に隠された300年前の「論争」』を入り口に、数学が長い時間をかけて磨いてきた「誤解されないための思考の設計思想」を掘り下げます。
まだ見ていない方は、こちらから
単なる雑学では終わりません。
説明・指導・文章にも応用できる考え方として整理します。
なぜ「×」の話が、これほど反響を呼んだのか
「なぜ中学数学で『×』は消えるのか?」
この問いは、数学が得意かどうかに関係なく、多くの人が一度は抱いた疑問です。
そして実際、単純な答え――
「文字の x と紛らわしいから」
だけでは、どこか腑に落ちない。
なぜなら、その説明はすぐに次の疑問を生むからです。
では、なぜそんな紛らわしい状況を生む表記が、そもそも長い間使われていたのか?
この問いに向き合うと、
話は単なる記号の問題では終わらなくなります。
数学は「賢くする」ための学問ではない
意外に思われるかもしれませんが、数学の記号や表記法は、人を賢くするために進化してきたわけではありません。
むしろ一貫している目的は、こちらです。
人を、できるだけ間違えさせないこと
・どこで読み間違えるか
・どこで意味を取り違えるか
・どこで思考が止まるか
それらを減らすために、数学は「書き方」を何度も変えてきました。
「×」が消えたのも、その延長線上にあります。
問題だったのは「×」そのものではない
ここで一つ、はっきりさせておきたいことがあります。
「×」は悪者ではありません。
小学校段階では、
見た瞬間に意味が分かる
操作として直感的
計算を学び始める段階に適している
という点で、「×」は非常に優れた記号です。
では、なぜ中学以降で使われなくなるのか。
それは、「×」が悪かったからではなく、1つの記号が、2つの役割を背負う状況が生まれたからです。
文字式が導入されると、
未知数としての x
掛け算記号としての ×
が同じ紙面、同じ板書、同じ手書きの中に並びます。
このとき問題になるのは、理解力ではありません。
読み替えの負担です。
ここまでが、無料で読める導入です。
ここから先では、
なぜ「・」や省略が選ばれたのか
そこにどんな思想があったのか
その考え方を、どう日常に使えるのか
を、思考法として整理していきます。
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