【実務家ノート 第2号】 日銀当預トークン化・3つの設計シナリオと勘定系への波及
自民党PT提言は、日本銀行に対して日銀当座預金のトークン化に関する論点整理と工程の提示を年内に求めました。そして日銀側も、CBDCフォーラムの2026年5月の資料で、日銀当座預金をトークン化する場合の技術的・実務的な課題を「DLT連携サンドボックス」を用いて検討していく方針を示しています。つまりこのテーマは、もはや「やるかやらないか」ではなく「どの形でやるか」の局面に入りつつあります。
問題は、「どの形か」で民間側の対応がまったく違うことです。本号では、想定される設計を3つのシナリオに整理し、それぞれが貴社の勘定系・流動性管理・システム投資に何を波及させるかを、影響マトリクスに落とし込みます。
前提の再確認——なぜ日銀当預がTDの生命線か
無料連載で繰り返した論理を30秒で復習します。トークン化預金(TD)は各銀行の預金者に対する負債であり、銀行をまたぐ移転には銀行間の資金決済——中央銀行マネーによる最終決済——が必要です。TDが24時間365日・プログラマブルに動くなら、その基礎にある銀行間決済も同じ性質を獲得しなければならない。当預のトークン化とは、新しいお金のピラミッドの頂点をどう作るかという問いです。
もう一つ、時間軸の前提を置きます。全銀ネットは、SC・TDなどデジタル決済手段に対応した新たな決済システムの検討を開始しており、その稼働開始時期の目標は2030年度とされています。日銀の当預トークン化の検討は、この民間側の時間軸と噛み合う形で進むと考えるのが自然です。逆算すると、設計の大枠が見える時期はそう遠くありません。
3つのシナリオ——概観
各国の中央銀行の取り組みを整理すると、「中央銀行マネーとトークンの世界の接続」には大きく3つの型があります。
シナリオA: 既存高度化型 — 日銀ネット(RTGS)自体は温存し、稼働時間拡大とAPI等で外部のトークン基盤と「同期」させる
シナリオB: 並行台帳型 — 既存日銀ネットと並行して、トークン化された中央銀行マネー(ホールセールCBDC相当)を別台帳で発行する
シナリオC: 統合台帳型 — 当預・TD・国債などを同一のプログラマブル基盤に載せる(BISのいう統合台帳・Project Agoráの世界観)
以下、有料部分で各シナリオの構造・海外類例・勘定系への波及を詳説し、影響マトリクスとウォッチカレンダーをお渡しします。
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