見出し画像

【実務家ノート 第5号】 金融用ブロックチェーンの最新動向と比較軸

基盤選定を「宗教論争」から「要件定義」に変える

トークン化預金(TD)、ステーブルコイン(SC)、トークン化証券——
何を作るにせよ、最初の分岐点は「どの台帳基盤の上に作るか」です。
そしてこの議論は、しばしば宗教論争になります。パブリック派と許可型派、EVM派と独自言語派。本号の目的は、この議論を要件定義の言葉に翻訳することです。
まず、2026年時点の地形を3つの変化で押さえます。

変化1: 「許可型 vs パブリック」の二分法が崩れた。 米大手銀の預金トークンがパブリックL2上で機関投資家向けに稼働を始め、逆にパブリック系技術(EVMスタック)で許可型ネットワークを組む事例が標準化しました。問いは「どちらの陣営か」ではなく「どの機能をどの権限モデルに置くか」に変わっています。

変化2: 「単一の共通基盤」という幻想の終わり。 各行・各国・各資産クラスが別々の基盤を選ぶ現実が確定し、勝負は相互運用レイヤー(クロスチェーン検証、同期プロトコル)に移りました。国内でも、証券トークン基盤のマルチチェーン化・クロスチェーン対応が公表されています。

変化3: プライバシーが主戦場になった。 金融取引は「誰が誰といくら取引したか」自体が営業秘密です。台帳の設計思想の違いは、突き詰めればプライバシーモデルの違いであり、ここが基盤間の最大の差別化点になっています。
この地形の上で、主要基盤——Corda、Hyperledger Fabric、Besu、Canton、Avalanche(決済特化のSETTLを含む)、パブリックL2——を8つの軸で比較していきます。

比較軸①: 権限モデル——3つの選択肢に整理する

ここから先は

2,375字 / 1ファイル

¥ 980

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?