【実務家ノート 第3号】 新決済システム時代の接続戦略—仕様を待つ組織は、仕様が出た瞬間に2年遅れる
2026年3月19日、全銀ネットの専門会議が報告書を公表し、現行の全銀システムを将来的に置き換え得る新決済システムの構想が公になりました。公表情報の骨子はこうです——2030年の稼働を目指す。当面は現行の全銀システムと併存し、将来は一本化も視野に入れる。リアルタイム決済に対応し、トークン化預金やステーブルコインなど新しい決済手段との連携をしやすくする。そして、2026年度中に構築の是非を最終判断する。
半世紀ぶりの基幹インフラの作り直しです。しかし本号の主題は構想の解説ではありません。この2つの日付——「2026年度中の判断」と「2030年稼働」——から逆算したとき、貴社は今日から何をすべきかです。
なぜ「待つ」と2年遅れるのか
インフラ更改の歴史が教える鉄則があります。仕様が公表されてから動き出した組織は、対応の設計・予算化・開発・試験のリードタイムで、先行組に約2年遅れる。しかも接続試験の枠や対応人材は先着順で埋まっていきます。
逆算してみましょう。2026年度中に構築判断→その後に要件・仕様の具体化→参加者向けの接続仕様の提示→開発・試験→2030年稼働。この工程で、貴社が仕様書を手にしてから稼働までの期間は、どう楽観しても2〜3年程度。勘定系や基幹EDIに触る改修としては、まったく余裕のない時間です。
つまり戦略は一つしかありません。仕様が出る前に「仕様に依存しない準備」を終わらせ、仕様が出た日に設計から始められる状態を作ること。本号はその準備を、4つの領域とプレイヤー別のリストに落とします。
※付録のセルフアセスメント表は日本語版のみです。ご留意ください。
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