不良娘って言われたくなかった
こんにちは、住沢とこです。
高校の頃、いま思い出しても「え、あれ何だったの?」って出来事があります。
授業か何かでアンケートが配られて、自由に書く欄があったんです。
私はそこに、
「親に、不良娘みたいに言われるのが嫌だ」
って書きました。
家のことって、外に出したくない。
しかも、こういう本音ほど、誰にも見られたくない。
だから提出のとき、後ろから集めに来た男の子に見えないように、私は用紙を隠しました。
(今思うと、あの必死さがもう“私”でした。)
それでアンケートは終わった……はずでした。
でもそのあと、先生が教壇で、アンケートの一部を読み上げたんです。
しかも内容が、提出係のその男の子の悪口みたいなやつで。
名前を言ったわけでもないのに、空気が一瞬で固まりました。
私は、背中が冷たくなりました。
タイミングが悪すぎたんです。
さっき、私は隠して出した。
そして先生は、“誰かが書いた悪口”を読み上げた。
周りから見たら、
「さっき隠してた人=何かヤバいこと書いた人」
に見えてもおかしくない。
もちろん、私が書いたのは悪口じゃない。
親に言われるのが嫌だって、ただそれだけ。
でもその場で「私じゃないです」なんて言えない。
言ったら言ったで、もっと目立つ気がして。
結局私は、誤解されているかもしれない空気の中に、黙って座っていました。
あのとき一番しんどかったのは、
先生でも、その男の子でもなくて、
“誤解されても、説明できない自分”
だったのかもしれません。
本当のことを書いたのに。
誰にも見られたくないことを書いたのに。
それが、まったく違う意味にすり替わりそうになる。
——でも今なら、ひとつだけ思います。
あのとき、隠さなくてもよかったのかもしれない。
だって私は、悪口を書いたわけじゃない。
「不良娘って言われるのが嫌だ」って、ただ本音を書いただけ。
もし提出係のあの男の子に見られていたら、
逆に、そのほうが誤解されなかった気がします。
「この私が不良娘?」って。
今なら、笑って言えるから。
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