決断と虚無を、懐かしい音楽で埋めていく
「先送りでいいんじゃない?」
昨夜の奥さんの一言だ。
一理ある、というよりそうすべきと納得した。
『パンダ』に別れを告げてから1ヶ月弱経つ。パンダと奥さんの軽を元手にプラスマイナスゼロで娘念願の自動ドアつきファミリーカーに替えようと画策した。
そして連休明けの今週、候補を絞り込んで発注する段取りだった。
ところが、世の中そこまで甘くはなかった。
軽の下取り提示が思った程ではなかった。ある程度織り込み済みではいたが、買取店程ではない。
ただ、ここに車体値引きができない分の上乗せが入ってくる。駆け引きは複雑だ。
候補はコンパクトミニバンの二強と呼ばれるどちらか。確かにいい意味でミニバンっぽさがなかったし、ひと昔前の高級車のような乗り心地や装備がついている。
その分、お財布に優しくない。
差額を埋めながらどこで妥協できるか、計算を繰り返した。夫婦ともに車好きだから、簡単には妥協できないのは自明だった。
ただ、少なくとも僕にとって、初めて「僕が欲しいと思わない」車選びだったことが頭を悩ませた。同時に、以前はここまであからさまではなかった、自動車メーカー、ディーラーの闇と苦境を見せつけられる。
費用は家の中のキャッシュフローを一時的にいじれば捻出できるし、復職も近くできるはずだから車に値段のつくこのタイミングで動いたわけだ。
金銭的な無理をしているわけじゃない。
でも、無理に答えを出そうとしていた。
それで冒頭の一言だ。
確かに、手元にはまだピンピンしている軽がある。
むしろ『パンダ』より乗り味がクイックで気に入っている。
先に値動きの激しい『パンダ』は売却している。
10年乗っている軽は下取りが下がったところで知れている。
あとは多少娘のご機嫌を取り、頑張ってくれたディーラーさんに一旦ごめんなさいするだけ。
奥さんの意見に納得して同意した。のだが。
時間が経つにつれ、虚無感が襲う。
何度か経験した虚無感。
お客様に嬉しさのないはずなのに、社内もしくは得意先からの鶴の一言でプロジェクトが動き、少なくない工数を突っ込んで、結局お取り潰しになったあのときだ。
ディーラーとの交渉や車の仕様検討なんて、僕の仕事に近い面がある。おかげで「あ、普通にやれるわ」という自信はより固まった感はある。
それにしても。
過去100台近くのトミカを持ち、ガンダムよりサイバーフォーミュラで、20年も欠かさずF1雑誌を買い続けてきた車好きの僕が、好きでもなくあまりにも高い車を買う苦痛と虚無で気持ちが飛んでいるのは間違いない。
今日は特に頭痛も相まって、何のやる気も出ず1日のほとんどを寝て過ごした。娘の「遊ぼう」にもイライラしてしまい、スマホをソファに叩きつける最低限の理性で抑え込んだ。
会社は夏休みが明けた。
ディーラーは早いところで明日からだ。
お詫びの連絡を入れなきゃいけない憂鬱はあるが、それよりもっと大事な復職と今後の身の振り方を考えるという人生の分かれ道が待っている。当面はそちらに集中していきたい。
気持ちを切り替える為に開くYoutubeに候補車比較動画で埋まっている。
それを「TheFirstTake」で埋めていく。
m-floも年をとったな、と耳を傾けていく。
