夜に会えない訪問者
いまいち寝つきの悪い夜だった。
娘が風邪気味で寝苦しそうにしていて、ベポラップと背中トントンで落ち着かせた後、自分も横になる。しかし、いつものエアコンの設定温度では低すぎ、上げると高すぎる。
季節が移り変わり、新たなストライクゾーンがなかなか見つからないままで、うつらうつらし始めた時だった。
「にゃー」
あきらかに猫の鳴き声だ。
仔猫ではなく成猫に近い。
約1ヶ月前眼の前に現れた、キジトラの光景が甦る。
時計は午前3時を指している。
そのまま目を閉じていたが、5分経っても収まらない。このままじゃ眠れない。
スマホを手にして外に出た。
やはり鳴き声はそれほど遠くないところだ。
だが、うちの敷地からは気配を感じない。
念の為敷地内を1周してみても、例の仔も地域猫もいない。
ライトで裏の茂みを照らしても、姿は見えない。
どこから聞こえるんだろう?
隣の家は猫を2匹飼っているが、鳴き声を聞いたことのないくらいおとなしい仔たちだ。
裏の家のリビングの照明がつけっぱなし。
娘の同級生のいる家。
この家の中から鳴いているのだろうか?
部屋に戻り、耳を澄ますとまだ聞こえる。
ベランダの窓を開け、しばらくすると鳴き声が聞こえなくなった。
あの2匹のどっちかだったのだろうか?
それとも別の存在がいるのだろうか?
わからないのがもどかしい。
そして悪い寝つきのまま、少し寝坊してしまうのだった。
猫さんよ。
頼むから、夜中に現れるなら一瞬でも姿を見せて安心させてくれ。気になって眠れないよ。
