告白
今更したところで、何の驚きもないかもしれない。
だけど、僕にとっては大事な話であることには変わりない。
『HOME』
この言葉で連想することは何だろう?
大事な家族、帰るべき家、愛すべき故郷。
人によって、いろいろ考えは違うはずだ。
僕は、道産子だ。
24年間を北の大地で過ごし、20年前に就職に合わせて愛知にやってきた。そう、あと何年か経てば、故郷よりもこちらでの生活が長くなることになる。
そんな愛知に、今でも違和感ばかり感じるのだ。
スギ花粉の舞う空気。
夏には湯になる水道水。
声の大きさ。
いつも微妙に合わない距離感。
雪のない冬。(つまり冬じゃない)
歩く速さ。
どれひとつ慣れることのないある意味でストレスを感じるほどの差に、辟易することが減るどころか増えてきた気がする。
今のところ、帰る予定はない。
帰省ではなく、道民に戻るという意味で。
あの島はまさに『試される大地』だ。うまいことキャッチフレーズを考えたものだなと感心する。
あの島の常識が崩れてきた面もある(実家にもエアコンが付くほど暑くなったなど)が、尋常じゃない雪に閉ざされる世界で生きていくのは大変なことだ。
僕ひとりなら、喜んで還ろう。
だが、今は家族がいる。
ふたりとも、こちらの水で育ってきた人間だから『WINTER,AGAIN』の世界を知らない。
決して『白い恋人達』でも、『Winter fall』でもないのだ。
そして、僕の知る冬は『WINTER SONG』とも違う。
あの白い厳しさの中に、知らずに飛び込むには相応の覚悟がいる。
とはいえ、北海道を出なければならないときに、関東や関西に住みたいかと言えば、やっぱり違ったのだろうと思っている。
東京で見た、見渡す限りの密集した世界に身を寄せ合う人々の距離感。
大阪の温かさが、僕の存在感を溶かしてしまう危惧。
いずれも、今以上に違和感は大きい世界だ。
そういう意味で、中京圏は選ぶべくして選んだ妥協点なのかもしれない。碁盤の目の街並みに、車社会。そして聖地『SUZUKA』が近くにあること。
F1を観に行ったのは11年前が最後だ。
観に行くことができたのも、近かったからだ。
人生に完璧や100点はありはしない。
だけど、年々沸き上がる「還りたい」という気持ちに、最後まで抗うことができるのか、自信がなくなりつつある。
そして、奥さんにはこうお願いしている。
「遺灰は、(手稲山の見える)小樽の海に撒いてね」
(実際に認められている、供養のひとつだ)
(了)
(1010字)
今回もチャレがや企画に参加させていただきます。
ご査収ください。
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