よく当たる予言者
昨日の晩ごはんは娘の要望で『手巻き寿司』だった。回転寿司も好きだが、金銭事情を考えると頻繁に通うのは厳しいし、何より娘が自分でのり巻きにするのが楽しいらしい。最近は酢飯を作らずとも、のりに酢がついているものが売っている。便利なものだ。
食事といえば、さすがに『大ピンチ図鑑』に載るようなハプニングの減ってきたこともあり、娘の食器もほぼ陶器になった。食べる量も食べる器も一丁前になってきている。ついでに一丁前に野菜を食べてくれ。
皿を並べていてふと醤油皿がひとつ足りないのに気づいた。
「ママ、ひとつ足りないよ」
そう声をかけると、『予言者』はかく答えた。
「たぶんやらかすから、今日は深いプラの皿を出してある」と。
見ると、娘が赤ん坊の頃から愛用しているプーさんのプラ製深皿が鎮座していた。
なるほど、と3人分の減塩醤油を注ぐ。
いつものように娘はハイペースで食べていく。
近くの〇ライアルには刺身の盛り付けくらいしかなく、ネタは限られるもののそれなりにお安い値段で味わえるのはよきである。
サーモン、ハマチ、ヒラメ……と順当に手をつけていき、娘はマグロ(?)に箸を向けた。
マグロ(?)は他より3倍ほど肉厚で重量があり、滑る。それをさっと箸で醤油皿に運んだとき、事件は起きた。
『ビチャ!』
箸から落下したマグロは勢いよく醤油皿の上で跳ね、醤油が当たりに飛び散る。幸い深皿のおかげで被害はテーブルの上だけに留まった。
「ほらやったぁ!」
鬼の首を獲ったような、呆れたような声を張り上げた予言者とテーブルを拭く。しかし、それを特に悪びれた様子もなく食べ続ける娘はやはり大物である。
そんな「予言者」だが、最近もうひとつ別の予言をしていた。
昨シーズンボロボロになった冷感ラグに替えて、今年は『い草風ラグ』を買った。久々の畳感に少し喜んでいた僕に『予言者』がぼやく。
「さて、いつまできれいを保てるかねぇ」
そして予言通り、ラグには1ヶ月もしないうちに染みができたのである。
予言者自ら、盛大にお茶を溢したことで。
──そんな、似たもの母娘の近況であった。
