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春の香りと、郷土の味をいただきました。 美味しかった 相模原の豆餅。

先日、お客さんから手渡された2本の豆餅。
米国の新聞紙に包まれた、ずっしりとしたその姿に温もりを感じました。

「うちのお婆ちゃんが作ったんですよ」
そう言って差し出してくれたその豆餅は、相模原市の郷土の味でした。

豆餅といえば、日本の中でも地域によって形も豆も味付けも違うみたいなんです。

関西では赤えんどう豆、信州では黒豆や大豆、東北では塩気を強くしたり。
暮らしの中で保存食でもあり、お正月やハレの日の餅でもあるんっですよね。

相模原の豆餅は、大豆の香ばしさと、素朴な塩味が生きている。そして今回の豆餅には、ほんのりヨモギが練り込まれていました。

切った断面には黒ごまと、砕いた豆の表情です。
焼くと外は香ばしく、中はとろりと伸びて口から春が広がってきました。

ストーブの上でじっくり焼くと、豆が香り、ヨモギがふわりと立ち上がるんです。

砂糖醤油をほんの少しつけるだけで、ごちそうになります。
昔の日本の家庭にはよくあった、そんな愛情がたっぷりの手仕事の味です。

作ってくれたのは、お客さんのお婆ちゃん。


戦後の頃からずっと台所を守り、生きてきた世代ですよね。

塩の量も、豆の硬さも、ヨモギの加減も「目」と「勘」で決めれるほどの熟練さです。


レシピに残らない味。だけど、その土地に残る味だと感じました。

ふと思ったんです。
こういう郷土の餅は買うものではなくて、譲るものではないかと。
手渡しの重さに、作った人の時間と気持ちが入っているんですよね。

豆の香ばしさも、ヨモギの青さも、春の訪れも。
その全部を噛みしめながら、ボクはしみじみしてしまいました。

相模原の豆餅は、今も彼の家の中に生きている郷土文化だと思います。

お婆ちゃんから孫へと渡り、その縁が遠く浜松にまで届いてきました。

これだから、食べ物って面白いです。

美味しかったなぁ。

あの豆餅は、多分もう同じものは食べられないかもしれません。だけど春の香りと一緒に美味しさが、しっかりボクの中に残った、大切なお婆ちゃんの心の餅でした。

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