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映画感想 『聴く隣人のいるところ』 (★★)

「東京から一番遠いまち」を自称する島根県江津市の山中にポツンと佇む、キリスト教愛真高等学校。その全寮制の学校で暮らす生徒たちの、一年間を記録したドキュメンタリー映画。
監督は、自身も20年前の卒業生という早川嗣。

いわば、特殊な学生生活をおくる高校生たちによる『14歳の栞』。映画は、細かい説明をしない。誰が主役ということでもない。

それでも、各学年10名強、全校でも35人くらいの小さな学校であること。どうやら、日々の雑務も決め事も、すべての生徒と先生が参加する、「直接民主制」で運営されているらしいことがわかってくる。

ことあるごとに催される話し合いの場で、議論を交わす生徒たち。いかにして、自分の意思を仲間に伝え、認めさせるか。そして、「ルール」と「多様性」をめぐる葛藤。

スマホもテレビもない生活。そんな時間を持て余す日々を、若者はどうやり過ごすのか。折々に挿入される、合唱や弾き語りのシーン。そのほとんどが、オリジナル曲だという。

まさに「聴く隣人のいるところ」で、何を語り、何を歌うのか。

少し前に、一日30分だけしかスマホが使えない寮生活を追った、NHKのドキュメンタリー番組があった。先生の目を盗んで、スマホに触れる時間を増やすことに腐心する生徒たちが印象的だったが、本作の生徒にそんな様子はなさそう。

そして卒業。
そこで発せられる、生徒と先生たちの言葉。そりゃ、泣いてしまうよ。

終映後の舞台挨拶に、早川監督が登壇。
20年前は各学年30人、全体で100人規模の学校だった。生徒の変化にはいろいろ思うことがある。それが本作を撮った動機の一つ。
入学審査はとても慎重に行われる。7人ほどの先生と相対する3回の面接を経て、合否を判断しているとのこと。

教義に対する疑義も含めて、生徒の発言はとても自由だ。その一方で、入学希望者は細心の注意をもって選別される。
そんな、ある意味コントロールされた環境での経験が、後の人生にどれほどの意味を持ちうるのか。その価値は生徒が決めることだが、私には得難い貴重な経験に思えた。


(評価は、無星 / ★ / ★★ / ★★★)
Filmarks: https://filmarks.com/users/tokuos

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