フジロックでXGが躍動。デビューから1589日目にはじまる真の「新章」突入の意義
7人組グループのXGが、日本最大級の野外音楽フェスである「フジロック」に出演し、大きな反響を呼んでいます。
なにしろ今年29年目を迎える「フジロック」は、日本のロック・フェスティバルであり、いわゆるK-POPに代表されるようなダンス&ボーカルグループは出演してこなかった歴史があります。
実際にXGの出演が発表された際にも、多くのフジロックファンから、懸念や懐疑的な声が上がっていました。
しかし、実際にXGが「フジロック」のホワイトステージでパフォーマンスを披露した後には、そのパフォーマンスを目の当たりにした現地のフジロックファンからも、配信で視聴した人達からも、絶賛の声がSNS上に溢れる結果になったようです。
XGのパフォーマンスは、メインステージでの藤井風さんのパフォーマンスとも重なっていたため、筆者も含めどちらを観るかは悩んだ人も多かったようですが、藤井風さんが終わった後にXGを観ようと移動した人も多かったようで、ホワイトステージは入場規制がかかるほど人であふれかえる結果になっていたようです。

実はXGにとって、今回の「フジロック」でのパフォーマンスには、グループの活動の歴史の上で非常に大きな意味があります。
「新章」開幕直後に、グループ最大の危機に直面
XGは、今年1月にグループ名を「Xtraordinary Girls」から「Xtraordinary Genes」へと変更し、1月23日に初のフルアルバムとなる「THE CORE - 核」をリリースし、華々しく「新章」の幕を開けていました。
しかし、2月にはじまった2回目のワールドツアーの最中に、プロデューサーのJAKOPS氏など関係者4名が薬物所持で逮捕されるという、グループ発足後最大の危機に直面する結果になったのです。
ただ、XGの7人はそこで足を止めることなく、事件から3週間後の3月14日には、福井サンドームで開催されたワールドツアーのライブで、ファンの前でいつも通りのパフォーマンスを披露。
その後も歩みを止めることなく、国内ツアーを完走し、5月にはラスベガスで開催された米国3大音楽賞の1つである「American Music Awards」のレッドカーペットに日本人アーティストとして初登場。
さらに、6月にはロンドンで開催されたイギリス最大級の音楽フェスティバル『Capital’s Summertime Ball 2026』に日本人グループとして初出演も果たすなど、日本人初の快挙を立て続けに達成しています。
さらに、7月からはバンコク、マニラを皮切りにアジアでのワールドツアーも開始。
フジロック出演の3日前にはマニラ公演をおこなったばかり、というハードスケジュールだったのです。
ただ、それでもXGのファンの間でずっと不安視されてきたのが、XGを誕生するきっかけを作り、全ての楽曲やプロジェクトをリードしてきたプロデューサーのJAKOPS氏が抜けた後、XGがどのような体制で運営されていくのかがなかなか見えてこないという点でした。
「1589」という動画に込めたメッセージ
そうした状況の中、7月23日にXGのYouTubeチャンネルに公開され、ファンの間で大きな話題になったのが「1589:UNLOCKED」という動画でした。
この動画では、XGのメンバーが、これからのXGについての思いや、XGのファンであるALPHAZへの想いが綴られているだけでなく、レコーディング風景やパフォーマンスについてのメンバー同士の議論の様子が収められています。
実はこの「1589」という数値は、XGが2022年3月18日にデビューしてからの日数という考察がなされていました。
そして、その1589日目である7月24日には、来年2月にXGのワールドツアーのファイナル公演として東京ドームと京セラドーム大阪にて、コンセプトが異なる2日連続の公演がおこなわれることが発表され、並行してファンクラブ向けに「Message to ALPHAZ 1589」という動画も公開される流れになっています。

ここから読み解けることは、おそらくファイナル公演は、XGのメンバーがかなりセルフプロデュースを強化した形での公演になり、それまでに何らかの新曲も発表される可能性が高いということです。
そしてそのファイナル公演は、これまでXGのメンバーにとっての絶対的な存在だったプロデューサーのJAKOPS氏不在で全てを作り上げる公演となり、彼らの真の意味での「新章」を意味することになるわけです。
そして今回の「1589」という日付が彼らにとっての真の「新章」の宣言だとすると、実は今回の「フジロック」でのXGの公演はその「新章」突入を象徴する最初のパフォーマンスだったことになります。
フジロックでワールドツアーと全く異なるセットリストを披露
象徴的なのは、今回の「フジロック」におけるXGのパフォーマンスが、現在も実施中のワールドツアー「THE CORE」とは全く異なるセットリストであるどころか、1時間に16曲もの楽曲を詰め込んだ意欲的な構成だった点です。

しかも、楽曲の間のつなぎも今回の「フジロック」専用に新しいものを多数組み込んだだけでなく、一部楽曲では歌唱のアレンジも変えてくるという力の入れ具合でした。
なにしろXGは現在進行形でワールドツアーの最中で、「フジロック」の3日前にはフィリピンのマニラで「THE CORE」のパフォーマンスを披露したばかり。
素人的に考えれば、その内容をそのまま披露すれば楽なはずですが、あえてXGの7人は今回「フジロック」専用に全く新しいセットリストとパフォーマンスの組み合わせを考え、ワールドツアーの最中に並行して、その「フジロック」専用のセットリストの練習も実施してきたわけです。
「フジロック」の出演前のインタビューでも、メンバーが今回のステージにかなりの気合いを入れて準備してきた様子が伝わってきます。
なお、これは完全に筆者の妄想ですが、もろもろの周辺情報を考慮すると、今回の「フジロック」のパフォーマンスこそが、来年2月のファイナル公演で披露するXGのメンバーのセルフプロデュースを強化したパフォーマンスの片鱗を披露目する第一弾という位置づけだったのではないかと感じます。
もちろん「THE CORE」のセットリストとパフォーマンスも本当に素晴らしいのですが、実はこのパフォーマンスは基本的にJAKOPS氏が中心になって組み立てたものです。
JAKOPS氏不在の今後のXGについて不安視するファンに安心してもらうためには、当然JAKOPS氏がいなくてもXGの7人が引き続き素晴らしいパフォーマンスを生み出し続けることができることを証明する必要があるわけです。
今回の「フジロック」のXGのパフォーマンスからは、メンバーがそのXGのこれからの可能性を証明するつもりであることの気迫が伝わってきましたし、その気迫こそが目の肥えたフジロックファンの多くを虜にする結果につながっていたように感じます。

なにしろXGはまだデビューして5年目の若いグループですし、ある意味では今年2月のグループ最大の危機は、後から振り返るとXGの成長を加速した出来事だったとして振り返る可能性すらあるかもしれません。
いずれにしても、今回の「フジロック」におけるXGのパフォーマンスは、XGにとっても「フジロック」にとっても、非常に重要な歴史に残るステージになったことは間違いありません。
引き続き、彼らが私たちにどんな新しい世界を見せてくれるのか、楽しみにウォッチしたいと思います。
この記事は2026年7月27日Yahoo!ニュース寄稿記事の全文転載です。
なお、今日21時からの雑談部屋「エンタメのミライ」では、皆さんとこのあたりの雑談もできればと考えています。
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火曜日の雑談テーマは「フジロックの感想とか、ファンカムのデータとか」です。
— 徳力 基彦|エンタメビジネスウォッチャー (@tokuriki) July 24, 2026
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