XGは「ALPHAZがいれば何度でも立ち上がれる」。4周年を前に世界配信でファンに届けたメッセージの意味
2026年3月14日は、XGのファンにとって間違いなく忘れられない1日になる。
そんな感情を抱かせる世界配信をXGが行ったのをご存じでしょうか。
XGは、2022年にデビューし3月18日に4周年をむかえる7人組のグループで、昨年は、世界最大規模の音楽フェス「コーチェラ」で日本人アーティストとして初めてSaharaというステージのトリを任され、世界35都市で40万人を動員するワールドツアーを成功させたことでも有名です。
ただ、2月からスタートした2回目のワールドツアーの最中に、グループの誕生前から全権を担ってきたプロデューサーのJAKOPS氏など4人が薬物所持で逮捕され、グループ発足後最大の危機に直面していたのは多くの方がご存じだと思います。
3月14日は、その逮捕から3週間ぶりのワールドツアーの日だったのです。
家族のような存在だったプロデューサーの逮捕の衝撃
アーティストのプロデューサーが逮捕されるという出来事が、アーティストにとってどれぐらいの衝撃を与えるのかは、当然私たちには想像できるものでありません。
特にXGのメンバー7人にとってJAKOPS氏は、単なるプロデューサーではありません。
XGというグループが誕生するきっかけとなったX-Galaxyプロジェクトの発起人であり、XGが所属するXGALXの代表であり、2017年から2022年までの約5年間の長期にわたる練習生期間における厳しい指導者であり、その後のデビューから4年近くまでの9年近く、常にメンバーと最も長い時間を過ごしてきた存在です。
XGのメンバーのインタビューでもJAKOPS氏を父や兄のような存在と発言しており、単なるプロデューサーではなく家族のような存在でもあったことが伺えます。
そんなJAKOPS氏や関係者の逮捕は、我々には想像できないほどの大きな衝撃をXGの7人に与えたであろうことは想像に難くありません。
XGにとって、ワールドツアーの日程が逮捕の直前の2月22日の名古屋から3月14日まで3週間ほど空く予定だったことは不幸中の幸いだったと言えます。
ただ、3月14日の福井のライブが予定通り開催されるのか不安視する声もありましたし、そもそもメンバーがパフォーマンスをできる精神状態なのか多くのファンが息をのんで見守っていたわけです。
普段以上に普段通りのパフォーマンスを披露
しかし、そんなファンの不安を吹き飛ばすように、XGの7人は福井のサンドームのライブでも素晴らしいパフォーマンスを披露します。
当然ながらいつもより感情的になるシーンはありましたし、衣装などで小さなトラブルはあったようですが、観客にそれを感じさせることなく流れで対応し、誰一人泣き崩れることなく披露したパフォーマンスは、普段と変わらぬ圧倒的なものでした。
筆者は今回の福井はメディア枠で参加させて頂きましたが、今回のワールドツアーが開始した横浜の初日のパフォーマンスよりも、回を重ねていることもあって、着実にレベルアップしている印象を受けました。
特に印象的だったのは、曲間のMCを含めたファンとのコミュニケーションへの姿勢です。
JAKOPS氏の逮捕後初めてのライブということもあり、騒動について言及するかどうかが注目点と言えましたが、MCを通じて一切言及はせず、普段通りのライブやMCをファンに見せるというメンバーの意思がはっきりと伝わってくる2時間だったのです。
何があっても変わらないALPHAZとの愛
ライブのセットリストも基本的に横浜の初日と同じ形で展開されており、MCも福井弁を混ぜたり、恐竜のモノマネで盛り上げたり、とファンを心配させないように普段通りを貫くことが徹底されていたように思います。
唯一メインパートでこれまでのライブと変えてきたのは「IS THIS LOVE」の歌唱の前のメッセージパートで、「何があっても変わらないものがあります、それは私たちとALPHAZの間にある本物の愛です」と明確にファンであるALPHAZへのメッセージに変えてきた点でした。
ファンであれば、このメッセージが今回の騒動を踏まえてのものであることは明らかでしたし、メンバーが声を震わせながら伝えてきたこの言葉たちこそが、今回のライブを通じてXGの7人がファンに最も伝えたかったことなのだろうと感じる瞬間でした。
一方、それ以外のMCはとにかく7人がいつも通り明るく振る舞っており、筆者も「なるほど、このライブはいつも通りの自分達を見せることでファンに安心してもらうことに徹するのだな」と思い、最後の曲である「LEFT RIGHT」が終わった時、つい東京に帰る準備をはじめようとしたほどです。
ただ、XGからファンへの最も重要なメッセージは、その後に待っていました。
何度倒れても諦めずに立ち上がる
実は、この日18時50分からXGのYouTubeアカウントから世界配信を実施することが事前に告知されていました。

この福井のライブは17時に始まるため、18時50分からの配信はおそらく最後のアンコールのMCからの配信になることが事前に想像できたのです。
ファンの間でも、MCで今回の逮捕を受けてのメッセージを世界に配信するのか、それともワールドツアーの日程を発表するのか、様々な憶測が飛び交っていました。
筆者も時間を気にしながらライブに参加していましたが、アンコールには18時50分を過ぎていたため、てっきりMC以降のパートを配信していると思い込んでいたのです。
ただ、実はそのYouTubeでの世界配信は、ライブの最後の最後で披露した「Just Stand Up!」という楽曲のサプライズパフォーマンスでした。
この「Just Stand Up!」は2008年に、ガン研究の支援を目的としてマライア・キャリーやビヨンセなど錚々たるアーティストが参加して生み出されたチャリティーシングルです。
どんな困難があっても諦めずに立ち上がることの大事さを歌うこの歌は、XGが練習生期間から心の支えとし、過去のライブで何度もカバーしてきた、XGのファンにとっても思い入れの強い曲です。
XGがグループ最大の危機に直面したこのタイミングで、この「Just Stand Up!」を言葉の代わりに世界配信でファンに届けることこそが、今回の騒動後の初のライブにおいてXGの7人が最も重視したことだったわけです。
当然この曲の「諦めずに立ち上がろう」というメッセージは、ファンだけでなく自分達自身を鼓舞するものでもあったはずです。
XGの成長はこれから加速していくかもしれない
XGが所属するXGALXの代表を務めていたJAKOPS氏の逮捕によって、この後XGALXの体制がどうなるのか、そもそもJAKOPS氏や関係者の処罰はどうなるのか、不透明なことはまだまだたくさんあります。
ただ、XGのメンバーはこれからどんな困難があろうとも、諦めずに立ち上がり、ファンとともに旅を続けることを明確に宣言してくれたわけです。
一部報道によると、今回の警視庁による捜査は昨年3月に寄せられた匿名の内部情報からはじまったものだそうですが、これはXGの7人にとっても大きなショックを受ける報道だと思います。
ただ、逆にもし1年前の3月にJAKOPS氏が逮捕されていたら、コーチェラ出演やアルバムにも影響が出ていた可能性があるわけですから、この1年の間にXGのメンバーが着実に成長できたことは不幸中の幸いだったと言えるでしょう。
ツアーやアルバムタイトルに「THE COREー 核」という言葉を入れているように、メンバーのコアが確立したこのタイミングだからこそ、今回の騒動を7人で乗り越えることができているとも考えられるわけです。
今回の福井でのライブを通じて、XGの7人は絶対的な存在であったはずのJAKOPS氏がいなくても、ファンや周囲のサポートの元、倒れても立ち上がり、前に進み続けることを宣言してくれました。
ある意味で、真の親離れを強制的に早くすることになったことで、XGの7人の成長が、逆にこれからさらに加速していく予感すら受けるライブだったと言えます。
今年XGは、グループ名を「Xtraordinary Girls」から「Xtraordinary Genes」へと改名していますが、まさに今回の3月14日の福井でのライブが本当の意味で「Xtraordinary Genes」として自立した7人の新たなスタートになったと振り返ることになる気がするのは、私だけではないはずです。
今後のXGの躍進に、引き続き注目したいと思います。
この記事は2026年3月15日(日)Yahoo!ニュース寄稿記事の全文転載です。
なお、この話題については木曜日21時の雑談部屋「ミライカフェ」で皆さんと雑談できればと考えています。
タイミングが合う方は是非ご参加下さい。
木曜日のテーマは「XGの福井ライブの感想とかJust Stand Upとか」です。
— 徳力 基彦(tokuriki) (@tokuriki) March 16, 2026
木曜日の雑談部屋「#ミライカフェ」は、夜21時開始です。
タイミングが合う方はぜひご参加ください。https://t.co/39Xxtzqip1
いいなと思ったら応援しよう!
ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございます。
このnoteでは、日本のエンタメのミライを密かに応援すべく公開メモを綴っています。
XのスペースとYouTubeライブで雑談部屋も開いてますので、よければ是非ご参加下さい。