平成のヒット曲が18年の時を超えてMV1位に。オレンジレンジ「イケナイ太陽」の快挙
今週の音楽チャートでちょっと珍しい出来事が起こっているのをご存じでしょうか。
なんと平成にリリースされたORANGE RANGE(オレンジレンジ)の楽曲「イケナイ太陽」が、令和の今、各種音楽チャートを駆け上がっているのです。
象徴的なのは、日本のYouTubeのミュージックビデオのランキングで、「イケナイ太陽」が、LE SSERAFIMの新曲「Kawaii」やMrs. GREEN APPLEのヒット曲「ライラック」を抑えて1位になっていることでしょう。

また、7月10日発表の「オリコン週間ストリーミング急上昇ランキング」でも、「イケナイ太陽」が上昇率242.9%で1位を獲得してしまっていますし、ビルボードジャパンの「Hot Shot Songs」でも3位に入っているようです。
なにしろ「イケナイ太陽」と言えば、リリースされたのは2007年7月と18年も前のことになります。
一体何があったのか、ご紹介したいと思います。
ミュージックビデオに平成あるある72連発
平成のヒット曲が、令和の今、なぜ大ヒットしているのか。
それは7月2日に公開された、こちらの動画をご覧いただければ一目瞭然です。
これは「イケナイ太陽 (令和ver. Music Video)」と題された、ORANGE RANGEによる新しいミュージックビデオなのですが、芸人のマユリカとコラボして、ORANGE RANGE世代が共感できる「平成あるある」を、なんと72連発も詰め込んだ動画になっているのです。
ミュージックビデオの中では、平成に流行ったテレビ番組やコマーシャルをネタにしたシーンが大量に詰め込まれているのですが、見た瞬間に懐かしくなる人は少なくないはずですし、どのシーンがどのネタのパロディなのか分かって嬉しくなる人も多いでしょう。
ただ、なにしろ72連発のあるあるネタが5分弱の動画の中に詰め込まれていますから、一度見ただけで全部見つけるのは不可能です。
その結果、この動画を見た人は何度も繰り返し見ることになり、この動画が公開から10日たらずで780万回以上も再生される結果になっているわけです。
平成に流行った印象を逆手に
実はORANGE RANGEは、数年前から過去の楽曲のミュージックビデオをYouTubeにフルでアップロードしており、「イケナイ太陽」のミュージックビデオも2023年8月に公開されています。
こちらも現時点で1100万回以上再生されているのですが、今回の令和バージョンは、2年前に公開された動画の7割の再生数を10日で叩き出してしまったわけです。
いかに今回の令和バージョンのミュージックビデオのインパクトが大きかったか分かると言えるでしょう。
ORANGE RANGEと言えば、平成時代に多数のヒット曲を出したグループですが、今年の4月にリリースした「マジで世界変えちゃう5秒前」という新曲が12年ぶりのシングルになったことが象徴するように、「平成に流行ったグループ」という印象が強い方は少なくないはずです。
今回の「イケナイ太陽」の令和バージョンのミュージックビデオは、その世間の印象を逆手にとって、自分達のヒット曲をあえて「平成あるある」満載の動画にすることで、令和の今のタイミングで大きなバズを起こすことを狙って、見事に成功しているわけです。
話題はミュージックビデオ以外の音楽再生にも波及
興味深いのは、このミュージックビデオをきっかけに、「イケナイ太陽」がSpotifyでも51位にチャートインするなど、他の音楽チャートにも波及効果が出ている点です。
ミュージックビデオをきっかけに懐かしくなった人や、新しくこの曲を聴いてハマった人が、YouTubeのミュージックビデオ以外でも「イケナイ太陽」を聴くという結果に繋がっているというわけです。
類似の現象としては、今年はアニメ「ガンダム ジークアクス」の第11話において、サプライズで放送されたTM NETWORKの「BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)」が大きな話題となり、ビルボードジャパンのダウンロードソングチャートの首位を獲得するような現象もありました。
また、昨年NewJeansのハニさんが東京ドーム公演において松田聖子さんの「青い珊瑚礁」のカバーを披露した結果、日本はもちろん韓国でも「青い珊瑚礁」が大きなヒットになったことが記憶に新しい方も多いはずです。
音楽には流行り廃りはあるものの、良い音楽というのは時代を超えても良い音楽として再発見されることが増えているというわけです。
日本では昔の曲も海外では「新しい」
こうした過去の曲が、現在の曲として「発見」される現象は、これまで日本の楽曲があまり聴かれていなかった海外ではさらに発生しやすくなります。
今年開催された「MUSIC AWARDS JAPAN」においても、海外で聞かれている日本の楽曲部門である「Top Global Hit From Japan」に、1980年にリリースされた松原みきさんの「真夜中のドア〜stay with me」がノミネートされていたことが象徴と言えるでしょう。
実は、この「真夜中のドア〜stay with me」は今年の5月の段階でも、世界でヒットしている日本の楽曲のランキングにおいて週間1位を獲得しているのです。
また、こうした松原みきさんのような自然発生での広がりや、アニメやカバー起点での話題化以外にも、過去の楽曲が急にバズる現象はTikTok上では珍しくなくなっているとも言えます。
昔の曲であっても、やり方次第では今の時代にも再び聞いてもらえるというのが、サブスク時代の音楽の新しい特徴であるとも言えるわけです。
自ら仕掛けてリバイバルヒットを成功させた凄さ
そのサブスク時代に合わせて、今回のORANGE RANGEの「イケナイ太陽」のように、自分達自身の仕掛けによって、過去の楽曲に時を超えて脚光を当てることが可能なことが証明されたのは凄いことだと言えます。
さらに、ORANGE RANGEは間髪入れずに、今度は2008年リリースの楽曲で、江崎グリコ「ポッキーチョコレート」CMソングとして使用された「おしゃれ番長 feat.ソイソース」のミュージックビデオも公開。
こちらもTikTokで話題になっていることを受けての公開のようですが、「イケナイ太陽」の平成あるあるにもつながる曲ですから、まだまだORANGE RANGEの楽曲が注目される流れが続きそうです。
今回のORANGE RANGEの成功に刺激を受けて、次はどんなアーティストの楽曲がリバイバルヒットをするのか、楽しみにしたいと思います。
この記事は2025年7月12日Yahooニュース寄稿記事の全文転載です。
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