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XGの今後の育成方針の変化が、エイベックスの業績説明資料に明記されたので、あらためてこの3ヶ月の変化を振り返ってみる

エイベックス株式会社の2026年3月期の通期業績説明がおこなわれまして関連資料がオンライン上に開示されています。

こちらの資料に、今後のXGの育成方針の変化が明確に記載されていましたので、自分の整理のためにもメモしておきたいと思います。

結論から言うとXGは今後「マネタイズ重視」になるということです。
ポイントになるのが資料の20ページ。

2026年3月期 通期 業績説明資料

明確にXGが「マネタイズフェーズ」にプロットされています。
この姿勢は、プロデューサーのサイモンさんの逮捕後のXGの施策のいくつかにすでに現れていましたが、ここまで明確に資料に記載された以上、これがエイベックスの会社としての意思ということになりそうです。

一応該当の資料を順番にご紹介すると下記の通り。
まずエイベックスのビジネスモデルについては、IP創出とマネタイズのサイクルが成長のエンジンになることが説明されています。
これは去年の資料とほぼ同じ。

2026年3月期 通期 業績説明資料

その資料に続いて、グローバルを見据えたアーティストの成長としてXGとONE OR EIGHTの主要数値が紹介されています。

2026年3月期 通期 業績説明資料
2026年3月期 通期 業績説明資料

で、クリエイティヴネットワークの活用による海外展開強化というスライドがあって、冒頭に紹介したIPの位置づけのシートになっています。

2026年3月期 通期 業績説明資料

ちなみに、1年前の同じ業績説明のスライドでは、ビジネスモデルのスライドの後にアメリカの音楽市場の大きさを強調するスライドが入っていて、下記のIPの発掘・育成体制の強化のスライドが入っていました。

この時は育成のエコシステムの方が強調されていたのですが、今年は上記のマネタイズフェーズ、育成フェーズのスライドに差し替わった印象です。

2025年3月期 通期業績説明及び 経営方針説明資料

なお、この資料でも個別の資料でも昨年はXGは、XGLAX Projectであることが強調されていましたが、今年の資料には見た限りXGALXの記載はありません。

上記のスライドがXGALX Projectの*の後にfrom JAKOPSとあるように、あくまでXGALXというブランドはJAKOPSさん、つまりプロデューサーのサイモンさんのブランドであり、彼の退職によりXGの位置づけがエイベックス社内で変わったことは間違いなさそうです。

2025年3月期 通期業績説明及び 経営方針説明資料

なお、ここで気になるのは「マネタイズフェーズ」の意味ですね。

単純にXGの人気が世界的に広がったため、自然と利益が上がるようになった、ということであればそんなに心配することはないのですが。
海外のファンを中心に、今後XGの活動への投資を削減し、XGの活動で得られた収益をXG以外のグループに投資するようになるという意味ではないか、という文脈で心配する方も少なくないようです。

実際問題、サイモンさんの退職後、XGの一部プロモーションが、認知の拡大よりも、収益確保にシフトしているのは明白です。

まず象徴的なのが4月12日の国内最終公演だった東京公演が、Prime Videoで国内限定で5000円のペイパービューで販売されたこと。

チケットを購入できなかった方や、国内で近場でライブが開催されなかった方向けと考えれば、ファンサービスの一つと言えますが、1年前の東京ドームライブはYouTubeで無料で全世界配信されていたことを踏まえると、その方針転換に海外のファンが戸惑ったのは良く分かります。

さらにこのライブ配信よりも一部の海外ファンから批判の声が上がっているのが、XTRA XGのコンテンツの一部有料化。

これまでXGは「XTRA XG」というドキュメンタリーを継続的に無料でYouTubeに公開しつづけてきたんですが、今回その一部がSPECIAL扱いで1200円で販売される展開になったわけです。
特に海外のファンからすると、日本のテレビ番組出演などが見れない分、YouTubeのコンテンツをファンクラブ限定ではなく、有料販売にしたのが理解できないのは分かります。

また、ワールドツアーの日程も、アジアだけでも10都市から4都市に減ったことも、残念がる声が多数でているようです。
10都市のうち3都市は中国の都市なのでこのご時世では仕方がないと思いますが、韓国、シンガポール、マレーシアもなくなっていて、各国のファンはショックが大きいようです。

これも収益が回収しやすいアリーナ規模のライブが開催できるところを優先している可能性が想像されるわけです。

こうした方針転換が今回業績説明資料において「マネタイズフェーズ」への移行と明確に記載されたことで、サイモンさんがプロデューサーとしてリードしていた時期における「赤字でも海外のお客さんにお見せする」フェーズが終了したことが明確になったと言えるでしょう。


ただ、これらの発表を持ってXGの未来を心配するべきかというと、個人的には少し違うかなとも感じてます。

関係者の話を聞く限り、これまでエイベックスはXGに膨大な投資をし続けてきたそうですから、XGがコーチェラ出演などの成功をおさめた以上、もはや投資フェーズではなくマネタイズフェーズに移るのは、ある意味当然と言えます。

もちろん、マネタイズのやり方は、XTRA XGの課金とかではなくもっと大きなやり方をして欲しいと思いますし、このタイミングでの方針転換が多くのファンを不安にするのは分かりますが。

直近ではXGは日本人初、イギリス最大級の音楽フェスティバル「Capital's Summertime Ball 2026」でウェンブリースタジアムに立つことが決まっていますし。

夏にはフジロックやHITCへの出演も控えていて、確実にその存在感は世界の中で増しているように思います。

2回目のワールドツアーも、着実に1回目より会場の規模はスケールアップしており、今のところの開催都市数は前回より少なくなっていても、反響次第で今後追加される余地もあるはずです。

2回目のワールドツアーの最終公演にまた東京ドーム公演が実施される展開になれば、その際にこそまたYouTubeライブが実施される展開もあるかもしれません。

また、特に一悶着合って日程が変更されたとは言え、今のところ香港でのライブが開催される前提で予定されているのも注目点と言えます。

日本人アーティストのライブが立て続けに中止になっている香港で、もしXGがライブを実際に開催できるのであれば、XGがグローバルアーティストと中国に特別視されている証明になるでしょう。


なにしろ最新のXTRA XGを見る限り、今回のサイモンさんの逮捕という危機を、XGの7人はお互いにしっかりと支え合って乗り越えたことが良く分かります。

CHISAさんの言葉を引用しておきます。

「これはね正直もう怖いもんなしです。
 これ乗り越えられたら乗り越えられないものないし。(中略)
 これから絶対いろんな課題はあると思うけど
 これをうちらの自信にして踏み台にして頑張ろう。
 どんな時もみんながいると思ってさ頑張ろう」

今はサイモンさんの逮捕からまだ3ヶ月も経っていないこともありますし、XGの今後のプロデュースや作曲をサポートする新体制は試行錯誤の過程のはずで、その試行錯誤の過程で様々な批判や混乱が出てしまうのは仕方がないこととも言えます。

プロデューサーのサイモンさんがこんな形で離脱することになったのは、1ファンとしても、インタビューをさせていただいた人間としても本当に残念ですし、次の楽曲をXGがどういう体制で生み出すことになるのか、それがXGのカラーを維持した形になるのかは正直私も不安じゃないと言えばウソになります。

ただ、サイモンさんが1年以上薬物利用をしていたのは残念ながら事実だったようですし、ある意味で、彼がXGのメンバーの間近で裏切り行為を1年以上つづけていたということは、彼自身がXGALX消滅のリスクを自ら選択してしまっていたわけで、彼自身の選択でXGALXという船を下りてしまったことになります。

XGの7人にとっては、間違いなく大きなショックだったと思いますが、あえて言葉を選ばずに厳しく言えば、そんな選択をしてしまっていたサイモンさんから卒業する良いタイミングだと考えることも可能な出来事だったと言えます。

これを乗り越えられたXGの7人にはもう怖いものはないはず。

XGの7人が団結して未来を見据えているのであれば、新体制でのXGの方針も、時間がたつと共に明確に見えてくると思います。
それまでは、これまでのライブの余韻に浸りながら気長に待ちたいと思います。


ということで、今日13時からの雑談部屋「エンタメのミライ」では、皆さんとこのあたりの雑談もできればと考えています。
タイミングが合う方は是非ご参加下さい。



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徳力基彦|エンタメビジネスウォッチャー ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございます。 このnoteでは、日本のエンタメのミライを密かに応援すべく公開メモを綴っています。 XのスペースとYouTubeライブで雑談部屋も開いてますので、よければ是非ご参加下さい。