ソニーミュージックが手がける音楽フェス「CENTRAL」は、日本の音楽を世界に響かせるフェスになるか
「日本の響きを世界へ」
そんなメッセージを掲げて、横浜の街を舞台にこの週末の3日間、都市型音楽フェスが開催されていたのをご存じでしょうか?
この音楽フェスの名前は『CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL』(以下『CENTRAL』)。
横浜市の全面協力のもと、ソニーミュージックグループを中心とするCENTRAL実行委員会が主催するイベントです。
音楽フェスと言えばこれまでも日本には、フジロックやサマソニなど様々なイベントがありますので、『CENTRAL』も一見そうしたイベントの一つに見えるかもしれません。
ただ、『CENTRAL』が実施している一つ一つの施策を細かく見てみると、「日本の響きを世界へ」というメッセージが本気であることが見えてきますのでご紹介したいと思います。
YouTubeで無料でライブもアーカイブも配信
『CENTRAL』のメインコンテンツとして象徴的なのは、Kアリーナ横浜、横浜赤レンガ倉庫の特設会場、KT Zepp Yokohamaという横浜の街の3カ所で行われる音楽ライブイベントです。

当然、これらのライブはチケットが有料で販売されており、アーティストのファンは通常のフェスやライブと同様に、一つのライブだけ楽しむことも可能です。
ただ、まず『CENTRAL』ならではの取組として象徴的なのは、この有料で販売されているライブの映像自体が、当日は「THE FIRST TAKE」のYouTubeチャンネルで3カ所とも無料配信されていたことです。

なにしろ「THE FIRST TAKE」のチャンネル登録者数は1190万人と日本の音楽関係のYouTubeチャンネルとしては最大規模を誇り、海外からの視聴者も多く存在します。
世界最大規模の音楽フェスとして有名なCoachellaも、YouTubeと提携して全7ステージの配信を行っていますから、それを踏襲した取組と言えるでしょう。
『CENTRAL』はまだ2回目ということもあり、世界での知名度はそれほど高くありませんから、同時視聴者数は多くの配信で1万人前後だったようですが、「日本の響きを世界へ」というコンセプトを実現すべく最初から配信も世界を意識して実施していることが良く分かる取組と言えます。
また、さらに興味深いのは、今回の『CENTRAL』では、期間限定ではありますがアーカイブ配信も無料で実施する点。

一般的にはアーカイブ配信まで無料で実施してしまうと、有料でチケットを買う人が減ると懸念するケースが多いことを踏まえると、『CENTRAL』の「日本の響きを世界へ」というコンセプトを達成することへの本気度が伺える取組だと言えます。
Echoes Baaのステージでは参加者の動画撮影もOKに
さらに今回の『CENTRAL』の「日本の響きを世界へ」という姿勢の本気度がもう一つ明確になったのは、YOASOBIやキタニタツヤさんが所属するレーベルであるEchoesのブランドで開催されているEchoes Baaというステージにおいて、ファンによる動画撮影やSNS投稿が解禁されたことでしょう。

このようにアーティスト別に撮影ポリシーを明確に開示するのは、茨城で開催されている「Luckyfes」が2回目の2023年から取り入れていることでも有名ですが、フジロックやサマソニなどの日本の大規模フェスの多くが撮影禁止ポリシーを継続していることを踏まえると、ここまでほとんどのアーティストで撮影OKにするのは大きな挑戦と言えます。
当然、この撮影解禁は、ファンが撮影するいわゆる「ファンカム」の映像が海外に拡がる可能性を期待して実施したものと考えられるわけです。
筆者も実際に参加して撮影を行ってみましたが、YOASOBIとバンドのメンバーとライブに参加したファンが、まるで雨は予定されていた演出かのように気にせず盛り上がっている様子が分かると思います。
今回のEchoes Baaでは、こうしたファンによる動画がYouTubeなどのSNS上にたくさんアップされる流れになっています。
なにしろ、YOASOBIといえば、初の海外出演だった「Head In The Clouds Jakarta 2022」において、ファンが泣きながら歌唱する動画がSNS上に投稿され拡散した結果、インドネシアのストリーミング数が急上昇した歴史があります。
自分達がライブのファンカム動画によって海外の人気が広がった経験があるからこそ、こうしたファンによるファンカム動画の可能性を理解して今回の撮影解禁に至っていると考えられるわけです。
『CENTRAL』は初年度から海外公演にも注力
もちろん、現時点では『CENTRAL』の動員規模は3日間で8万人規模のようですから、他の音楽フェスと比べてとりたてて注目されているというわけではありません。
ただ、実行委員会を務めるソニー・ミュージックエンタテインメントの佐藤勝好さんは、田中久勝さんのインタビューに対して「フェスは6年、7年かけてやっと認知してもらえるものだと思っています。」と発言されており、このプロジェクトが長期的な視点ではじまったものであることが分かります。
さらに興味深いのがこの『CENTRAL』というプロジェクト自体は、日本だけでなく海外でのフェス開催も視野に入っている点です。
実は2025年の段階で、すでに台北とクアラルンプールでもライブを開催。新しい学校のリーダーズやキタニタツヤさんなどの日本人アーティストがパフォーマンスを行っているのです。
今回も、横浜公演終了後の4月5日に、公式サイトには「CENTRALはこれから海外公演へと向かいます。」というメッセージが掲載されており、今後海外公演の予定が発表されることになるようです。
ソニーミュージックグループと言えば、昨年は何と言っても「鬼滅の刃」や「国宝」など日本の歴史を塗りかえる大ヒットコンテンツを生み出したことでも有名ですし、YOASOBIやHANAなど日本を代表するアーティストが多数所属しているレーベルでもあります。
そんなソニーミュージックグループが本気で手がける『CENTRAL』が、これから実際に「日本の響きを世界へ」届ける存在になっていく可能性は高いはず。
引き続きソニーミュージックと『CENTRAL』の取組に注目したいと思います。
この記事は2026年4月7日Yahoo!ニュース寄稿記事の全文転載です。
いいなと思ったら応援しよう!
ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございます。
このnoteでは、日本のエンタメのミライを密かに応援すべく公開メモを綴っています。
XのスペースとYouTubeライブで雑談部屋も開いてますので、よければ是非ご参加下さい。