小児リハビリ10年から見えた、外遊びと運動発達の本当の関係
私は以前、小児リハビリに10年以上関わっていました。病院では「うちの子、外で遊ばないから運動が苦手なんです」というご相談を、よく受けたものです。現在は特別養護老人ホームで管理者として高齢者の個別機能訓練に関わっていますが、あらためて振り返ると、子どもの運動発達には単純な答えでは片付けられないなあと思います。
外遊びの減少は、本当に「原因」なのか
外遊びの時間が減っていることは、統計的にも実感としても事実だと思います。しかし、外遊びが減ったから運動発達が遅れるということをそのまま結びつけるのは、臨床現場で子どもたちと向き合ってきた経験からすると、少し違うような気がします。
実際には、外遊びの量そのものよりも「どのような動きの経験を、どれだけ多様に積んできたか」という質の問題のほうが、発達への影響は大きいというのが私の実感です。木登りやどろんこ遊びのような大きな動きの経験がなくても室内で棚に手を伸ばす、段差をまたぐ、姿勢を切り替えるといった小さな動きの積み重ねが、お子さんの運動発達を促します。小児リハビリは数年単位で子どもたちと関わるので、いろいろな運動経験が子どもたちの成長を促すことは間違いないと思います。
「運動発達の遅れ」という言葉の落とし穴
「遅れ」という言葉を使うとき、私たちはつい年齢相応の基準と比較してしまいがちです。しかし小児リハビリの現場で見てきたのは、同じ年齢でも発達のペースは思っている以上にさまざまです。
大切なのは、外遊びの有無を単独の指標として考えるのではなく、日常生活の中でどれだけ多様な姿勢や動きを経験できているかという視点だと考えています。
室内であっても、姿勢を変える、バランスを取る、道具を操作するといった経験は、運動発達を支える十分な土台になり得ます。外遊びは大切な選択肢のひとつではありますが、唯一の答えではないというのが私の臨床経験から得た実感です。
保護者の方からご相談を受けたとき、私がまずお聞きしていたのは「外で遊んでいますか」ではなく、「一日の中で、どんなことをして過ごしていますか」という質問でした。座って過ごす時間が長くても、着替えや食事、遊びの中でしゃがむ・立ち上がる・振り向くといった動作が繰り返されていれば、それは立派な運動経験になります。
特養の管理職になった今、あらためて思うこと
現在、特別養護老人ホームで高齢者の個別機能訓練に携わる中で、あらためて感じることがあります。それは、「動く機会の多様性」が生涯を通じて機能を支えるという原理は、子どもも高齢者も変わらないということです。
高齢者の個別機能訓練でも、単に運動量を増やすことより、生活の中でどれだけ多様な動作機会を確保できるかが、機能維持の鍵になります。この運動の多様性の確保からその人のADLや運動能力は変化するのだと思います。
まとめ
外遊びの減少を心配する声は、決して的外れではありません。ただ、それを単純に「運動発達の遅れ」の原因と決めつけるのではなく、子どもたちがどれだけ多様な動きの経験を積めているかという視点で環境を見直すことが、本当に必要な支援につながるのではないかと思います。
