見出し画像

光琳『紅白梅図屏風』意外にも20世紀以前にはほとんど知られていなかった国宝

日本の画家・尾形光琳(1658–1716)の作品『紅白梅図(こうはくばいず)屏風』は、左側に白梅、右側に紅梅、そして模様のある川が描かれた、シンプルで洗練されたデザインが特徴の屏風絵です。梅の花が描かれていることで、この場面が春の情景であることが伝わります。

尾形光琳『紅白梅図屏風』1714年または1715年? MOA美術館

制作年は明確には分かっていませんが、美術史家・山根有三は、署名や技法から1714年または1715年に制作された可能性が高いと推定しています。この屏風には、右隻に「青々光琳」、左隻に「法橋光琳」という異なる署名と「方祝」の印が押されており、特に「法橋光琳」は光琳が晩年に用いた名前のことから、光琳の晩年の作品とされます。

光琳の創意が光る『紅白梅図屏風』

光琳は、江戸時代の画家・俵屋宗達に深く影響を受けながらも、独自の画風を確立したことで知られています。『紅白梅図屏風』もその影響が見られる作品で、水流を伴う紅梅・白梅のテーマや二曲一双の構成は宗達の手法を取り入れたものです。

尾形光琳『紅白梅図屏風(左隻)』1714年または1715年? MOA美術館

しかし、この作品には光琳ならではの創意工夫が随所に見られます。たとえば、白梅の幹の大部分を画面外に隠し、紅梅を大胆に画面いっぱいに描いた構成は、左右の巧妙な対比を生み出しています。また、中央に描かれた水流は末広がりの曲線を描き、画面全体にリズム感と動きをもたらしています。

尾形光琳『紅白梅図屏風(右隻)』1714年または1715年? MOA美術館

さらに、「光琳梅」として知られる花弁を線で描かない梅の花の表現や、蕾の配置、幹に用いられたたらしこみ技法、そして卓越した筆運びが光る水紋など、光琳の技巧が余すところなく発揮されています。これらの要素が重なり、この屏風は光琳の画業の集大成と称されています。

ここから先は

863字 / 1画像

投稿できなかったひとりごとの記事を書いたり、みんなと一緒に展覧会巡りをできるといいなと思ってます。

スタンダードプラン

¥500 / 月
人数制限あり

ヴェルデさん、かるびさんなど美術ライターも参加していただきました。それぞれの切り口のいろいろな読み物がが楽しめます。

アートな読み物

¥100 / 月 初月無料

毎週末、アートが楽しくなる読み物を投稿していきます!

皆さまのお気持ちは、チケット代、図録代とさせていただきます。