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青春の光と影 - - 音楽の遊悠エッセイ

"Both Sides Now"
Judy Collins

 青春とは、まばゆい光に包まれた日々のように思える一方で、時に深い影が差し込むこともあります。夢や憧れに胸をときめかせたかと思えば、現実の壁にぶつかって戸惑い、傷つくこともあります。

 そんな青春の「光と影」を歌った曲が、ジュディ・コリンズの「Both Sides Now」です。

 邦題は「青春の光と影」。
 1969年2月公開のアメリカ映画『Changes』(邦題:青春の光と影)に使われていました。

 「Both Sides Now」は、カナダ出身のシンガーソングライター、ジョニ・ミッチェルが1967年に作詞・作曲した曲です。彼女は、その詩的な歌詞と繊細なメロディで知られ、後のシンガーソングライターたちに大きな影響を与えています。

 ジョニ・ミッチェル自身もこの曲を歌っていますが、広く知られているのは、ジュディ・コリンズによるカバーです。フォークを中心に活動し、その澄み切った歌声が魅力的な歌手です。

 1967年に発表されたアルバム『Wildflowers』に収録された「Both Sides Now」は、ビルボードのチャートにランクインし、ジュディ・コリンズの代表曲となりました。

 この曲の冒頭には、こんな歌詞があります。

Bows and flows of angel hair
And ice cream castles in the air
And feather canyons everywhere
I’ve looked at clouds that way

 「天使の髪のようにふんわりとした雲
 空に浮かぶアイスクリームのお城
 どこまでも広がる羽毛の渓谷
 私は雲をそんなふうに見てきた」

 まるで子どものころに描いた空想の世界のよう。青春とは、こうした「ふわふわとした夢」に包まれた時間でもありました。

 この詞は、「あの頃の自分は、何にでもなれる気がしていた。どんなに無謀な夢でも、それが実現すると信じて疑わなかった。仲間と笑い合い、未来に希望を抱いていた。」と続きます。

 曲の中頃では、

I’ve looked at love from both sides now
From give and take, and still somehow
It’s love’s illusions that I recall

 「与える側からも、受け取る側からも
 私は愛を見つめてきた
 けれど、思い出されるのは
 いつも愛の幻想ばかり」

 人を好きになるとき、私たちは理想の姿を描き、その期待に心を躍らせます。一方で、その「幻想」と現実とが食い違うことも少なくないかもしれません。

 終盤には、こんなフレーズがあります。

Well something’s lost, but something’s gained
In living every day

 「何かを失い、何かを得る
 そんな毎日を私は生きてきた」

 青春は、時間の流れとともに遠ざかっていきます。
 無邪気、勢い、無謀、無限の可能性・・・
 これらの日々は少しずつ過去のものになっていくのでしょう。

 一方で、失ったものばかりではありません。
 苦い経験から気づきを得ることもありました。
 別れが新しい出会いにつながったこともありました。
 何かを失い、何かを手にしながら、少しずつ前に進んでいくのです。

 曲の最後には、こんな言葉が歌われます

I’ve looked at life from both sides now
From up and down and still somehow
It’s life’s illusions I recall
I really don’t know life at all

 「私は人生を、上からも下からも見てきた
 それでも思い出されるのは、
 いつも人生の幻想ばかり
 私は本当に、人生のことなんて何も知らないのかもしれない」

 経験を積み、大人になったからといって、「人生の正解」が見つかるとは限りません。

 「本当に大切なものは何なのか」と考えるほど、答えがわからなくなってしまうのです。

 夢見がちな日々のきらめきと、心が痛むような現実の重み。その両方を抱えながら、青春の思い出は、雲のようにどこか遠くに流れていくのでしょうか。

 「人生のことなんて何も知らないのかもしれない」

 そんなふうに思うことがあったとしても、それはそれでよいのかもしれません。

 人生に正解なんて、ないのですから。


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