【ビジネス文章の基礎】文章作法・避けたい言葉
ビジネスの場では、正確かつ円滑なコミュニケーションが求められます。
しかし、知らず知らずのうちに使っている言葉が、誤解を招いたり、相手に不快感を与えたりすることがあります。
今回のテーマは
「避けたい言葉」
です。
ここでは、あなたの文章をワンランクアップさせるために、ビジネス文章で「避けたい言葉」と、その代わりに使える「良い表現」について解説します。
1. 「避けたい言葉」とは?
ビジネス文章における「避けたい言葉」とは、主に以下の3つの要素を持つ表現です。
(1)曖昧で意味が伝わりにくい言葉(専門用語、略語、業界用語など)
【例】
「ASAPでお願いします」「コンセンサスを取る」「これはイシューです」
【なぜ避けるべきか】
読み手の理解度に差があるため、言葉の定義が共有されておらず、結果的に「何について話しているのか分からない」という誤解や手戻りを生む原因になります。
(2)感情的、あるいは高圧的に聞こえる言葉
【例】
「絶対に」「~すべき」「常識ですが」「念のため」
【なぜ避けるべきか】
相手を追い詰めたり、不信感を与えたりする可能性があり、スムーズな協力関係を築く上で妨げになります。
特に、人文学的な観点から見ると、言葉の選び方は相手への敬意を示す重要な要素です。
(3)冗長で不要な言葉や二重表現
【例】
「すべてを網羅する」「後ほど、追ってご連絡します」
【なぜ避けるべきか】
文章が回りくどくなり、読み手の負担が増します。
IT分野で言う「シンプル・イズ・ベスト」の原則から外れてしまいます。
【避けたい言葉についてのアドバイス】
避けたい言葉をなくす第一歩は、「読み手意識」を持つことです。
・「この文章は、今、目の前にいるこの人に本当に伝わるだろうか?」
・「この表現は、誤解の余地はないだろうか?」
と自問自答することが、文章作成の質の向上に繋がります。
2. 書き方のポイント
避けたい言葉を使わずに、分かりやすい文章を作成するためのポイントは以下の通りです。
(1)明確な主語・述語
「誰が」「何をする(した)」を明確にします。
主語が省略されると、行動の責任や指示の主体が曖昧になります。
(2)具体的な表現
抽象的な名詞(例:コミット、ソリューション)は避け、具体的な行動や内容(例:責任を持つ、解決策)に置き換えます。
(3)ワンセンテンス・ワンメッセージ
一つの文に複数の情報(メッセージ)を詰め込まないようにします。
文が長くなると、伝えたいことがぼやけます。
(4)ポジティブな言葉遣い
「~できません」よりも「~することは可能ですが、~になります」といった代替案を示す表現を意識します。
3. 注意すべきこと、やってはいけないこと
【注意すべきこと】
(1)安易な略語の使用
社内でのみ通用する略語や、カタカナ語の略称(例:リスケ、マスト)は、特に外部や他部署とのやり取りでは極力避けて、正式名称を使用します。
(2)「私見」の混入
事実と意見を明確に区別します。
「~だと思います」といった個人の主観的な感想や推測は、報告や連絡の際には最小限にとどめ、客観的な事実を中心に記述します。
(3)曖昧な指示の放置
「それなりに」「良い感じに」といった抽象的な形容詞は、人によって解釈が異なります。
必ず数値や具体的な状態(例:「昨年の1.2倍の成果」「3月31日までにA案の形で」)で表現します。
【やってはいけないこと】
(1)「恐縮ですが」「すみません」の多用
謙譲語を使いすぎることで、文章全体が弱々しくなり、本来の意図が伝わりにくくなります。
本当に謝罪や依頼が必要なときのみ使用します。
(2)二重敬語の使用
敬語が過剰になり、かえって不自然になる「二重敬語」(例:ご覧になられます、おっしゃられました)は避け、「ご覧になります」「おっしゃいました」のように正しい敬語を使用します。
(3)「ですね」「~的な」といった口語(話し言葉)の使用
文章全体がカジュアルになりすぎ、ビジネス文書としての信頼性が損なわれます。
4. ビジネス分野での事例 (【悪い例】と【良い例】)
実際にビジネス文書で使われがちな「避けたい言葉」の事例を、媒体別に見てみましょう。
(1) メール
【悪い例】避けたい言葉
ASAPで、マストでコンセンサスを取っていただきたく、よろしくお願いします。
【良い例】伝わる言葉
本日中に、必ず関係者全員の合意を得ていただけますでしょうか。
(2) 報告書
【悪い例】避けたい言葉
私見ではありますが、今回のイシューはボトルネックを解消しないとペンディングになる可能性があります。
【良い例】伝わる言葉
客観的なデータに基づき、今回の主要な課題は障害となっている部分を解決しなければ、一時保留になる可能性が高いと推測されます。
(3) 議事録
【悪い例】避けたい言葉
〇〇さんがおっしゃられました件について、論点がブレないようにマージしました。
【良い例】伝わる言葉
〇〇様がおっしゃった(あるいは「ご指摘された」)件について、議論の焦点がずれないよう、統合(または「集約」)しました。
(4) 提案書
【悪い例】避けたい言葉
このソリューションはシナジーを生み、コミットした成果を創出します。
【良い例】伝わる言葉
この解決策は相乗効果を生み、確約した成果をもたらします。
(5) 社内通知
【悪い例】避けたい言葉
念のため、各自で再確認お願いします。絶対にミスは許されません。
【良い例】伝わる言葉
情報共有のため、皆様で今一度ご確認ください。正確な作業をお願いいたします。
5. まとめ
ビジネス文章の質は、そのままあなたの信頼度に繋がります。
「避けたい言葉」を使わないように意識するだけで、文章は劇的に変化します。
・曖昧な言葉は具体的な言葉に。
・高圧的な言葉は協力的な言葉に。
・冗長な言葉は簡潔な言葉に。
常に「読み手への配慮」を忘れず、簡潔で、誤解の余地のない、そして相手への敬意が伝わる文章作成を心がけていきましょう。
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