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「視点」を変えれば、世界はもっと面白くなる

 「視点」と聞いて、何を思い浮かべますか?

 「ものの見方」や「考え方」。

 どれも正解です。

 でも、少し抽象的ですよね。もっと身近な例を挙げてみましょう。

 たとえば、茶碗。
 真上から見れば丸い形に見えますが、横から見ればU字型に見えます。
 これは、見ている「視点」によって、同じ茶碗でも違う形に見えるという単純な事実です。


 人生もどの「視点」から物事を見るかによって、その姿は全く違って見えてきます。

 Aさんの場合。
 彼は新しい仕事に就きましたが、いつも「この仕事はつまらない。毎日同じことの繰り返しでうんざりだ」と愚痴ばかり言っていました。
 彼にとって、仕事はただの「お金を稼ぐための苦痛な手段」という視点だったのです。

 Bさんの場合。
 彼も同じような仕事をしているのですが、いつもキラキラと目を輝かせています。「この仕事のおかげで、いろんな人と話ができるんだ。お客様が喜んでくれる顔を見ると、一日頑張ってよかったって思うよ」と語ります。
 彼にとって仕事は「人とのつながりを生み、喜びを分かち合う場」という視点なのです。

 同じ仕事なのに、
 Aさんは不満だらけ。
 Bさんは毎日が充実している。
この違いは、彼らの能力や環境の違いではなく、物事を見る「視点」の違いからくるのです。


 ビジネスの世界では、「虫の目」「鳥の目」「魚の目」という言葉を使うことがあります。

 「虫の目」は、足元の草花をじっくりと観察する視点。
 つまり、細部まで丁寧に見て、深く掘り下げることです。
 新しいプロジェクトを立ち上げるとき、細かな市場調査や顧客のニーズを徹底的に分析するのは、まさに「虫の目」の視点ですね。

 「鳥の目」は、空高くから全体を見渡す視点。
 地球儀を眺めるように、全体のバランスや流れを把握することです。
 企業の経営戦略を考えるとき、市場全体のトレンドや競合他社の動向を把握するのは、「鳥の目」の視点が不可欠です。

 「魚の目」は、水面下を泳ぐ魚のように、物事の流れや変化を捉える視点。
 時代の変化や人々の心の動きを敏感に察知する力です。
 ヒット商品を生み出す企画者は、この「魚の目」が鋭いと言われています。

 面白いことに、これら3つの視点は、私たちの日常にも隠されています。

 たとえば、初めて行く旅行先。
 ガイドブックを隅々まで読み込んで、効率的な回り方を計画するのは「虫の目」。
 一方、目的地に着いたら、あえて地図を見ずに気の向くままに歩いてみる。すると、思いがけない路地裏のおしゃれなカフェを見つけたり、地元の人との交流が生まれたりします。これはまさに「鳥の目」と「魚の目」を組み合わせた、新しい旅の楽しみ方ですね。


 「視点」を変えることは、何も難しいことではありません。ただ、意識して立ち位置を変えてみると良いのです。

 たとえば、毎日通っている道を、いつもと逆から歩いてみる。すると、見慣れた景色の中に、今まで気づかなかった新しい店や、美しい花壇があることに気づくかもしれません。
 これは物理的な「視点」を変えたことで、新しい発見が生まれた例です。

 太陽が地球の周りを回っていると思われていた時代があることを知っていますか? これは「天動説」と言います。
 しかし、コペルニクスが「地動説」、つまり地球が太陽の周りを回っているという、真逆の「視点」を提示したことで、天文学は飛躍的に発展しました。


 私たちはつい、自分の「視点」が正しいと思い込んでしまいがちです。
 しかし、少し立ち止まって「もしも逆の立場だったら、どう見えるだろうか?」と考えてみるだけで、世界は全く違った顔を見せてくれるはずです。

 「視点」は、私たち一人ひとりが持っている、世界を映す特別なレンズなのかも知れません。

 そのレンズを、いつもピカピカに磨いておくこと。
 そして、ときには別のレンズに付け替えてみること。

 そうすれば、あなたの世界はもっと豊かに、もっと面白くなるでしょう。



書籍の紹介

視点という教養(リベラルアーツ) 世界の見方が変わる7つの対話 Kindle版
 深井龍之介 (著), 野村高文 (著)  形式: Kindle版
 イースト・プレス (2022/6/20)
 7つの学問の研究者と深井龍之介氏・野村高文氏が対談したpodcastを書籍化。様々な選択肢があるがゆえに、迷いや嫉妬が生まれる現代に、世の中をあらゆる視点から捉え、自ら選択できる能力を身につけるための、リベラルアーツの思考法を紹介する。
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)

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哲学者に学ぶ、問題解決のための視点のカタログ【BOW BOOKS 004】 Kindle版
 大竹稽 (著), スティーブ・コルベイユ (著)
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 哲学を学ぶな。哲学しろ。世界が大きく変わろうとしている今、哲学こそ、探していた最高の問題解決の技法。近代以降デカルトからデリダまで28人の哲学者たちによる50の視点。
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)

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