【四季の風景】代々木公園のバラ、やわらかな季節の匂い
東京渋谷の代々木公園。
歩いていると、ときどき東京の真ん中にいることを忘れます。
すぐ近くには車の流れがあり、駅を出れば人の波もある。それなのに、公園へ入ると、空気が変わる気がするのです。

今の季節の代々木公園には、独特の明るさがあります。
新緑の若い色が風に揺れていて、犬を連れた人も、ベンチで本を読む人も、どこか肩の力が抜けている。
その一角に、バラの花が咲きます。
時間の流れが変わるようです。立ち止まる人が増える。スマートフォンを向ける人もいますが、途中で撮るのをやめて、ただ眺めている人も少なくありません。バラには、そういう力があります。
見せびらかすように華やかなのに、近づくと案外静かなのです。

そもそもバラは、とても古い花だそうです。
原種は北半球を中心に自生していて、人が育て、交配し、長い時間をかけて今の姿になりました。
日本へ本格的に広まったのは明治時代以降といわれていますが、それ以前にも「薔薇」という言葉や植物そのものは知られていたようです。
文明開化の空気と一緒に、西洋文化の象徴のように広がったのでしょう。
見ていると、バラは案外「西洋の花」という感じがしません。
春の湿った風にも合うし、日本の曇り空にも似合う。少し意外です。
春のバラは、勢いがあります。冬を越え、ため込んでいたものを一気に咲かせるような力強さがある。花の数も多い。香りも豊かです。
一方で秋のバラは、どこか落ち着いています。色が深く、輪郭も静かで、見ている側まで慎重な気持ちになる。
代々木公園でバラを見ると、花そのものだけでなく、人の表情も気になります。
小さな子どもが「赤いのがいい」と言い、年配の夫婦が花の名前を確かめ合っている。外国から来た旅行者らしい人が、香りを確かめるように顔を近づけていることもあります。

















※ 写真は東京渋谷・代々木公園にて、以前に撮影
カメラ:OM System OM-5
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