虹の彼方に想いをのせて - - 遊悠エッセイ
雨のあと、空にかかる光の架け橋。
虹を見つけたときには、ちょっと得した気分になりませんか。
あの虹には、実はとても奥深い科学と文化の物語があるのです。
虹は、太陽の光が雨粒の中で屈折したり反射したりすることでできる現象です。
太陽の光は白く見えますが、実際には様々な色の光が混ざっています。
雨粒の中に光が入ると、色ごとに屈折率が違うため、それぞれの色に分かれて出てくるのですね。この「色の分離」が、私たちの目には虹として映るのです。
私たちがふだん見る虹は、アーチ型に見えます。
しかし虹の本当の姿は完全な円形なのだそうです。
ただ、下半分が地面に隠れて見えないだけ。そのため飛行機や高い山の上から虹を見ると、円形に見えることもあるそうですよ。
また、虹の外側にもうひとつ薄い虹が見えることがあります。
内側の虹を「主虹(しゅこう)」、外側の虹を「副虹(ふくこう)」といいます。
これは光が雨粒の中で2回反射された結果によるもので、色の順番が主虹と副虹とで逆になるのだそうです。
虹は「7色」と言われることが多いですよね。
「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫」
この順番で並んでいます。
「せき・とう・おう・りょく・せい・あい・し」と音読して覚えた人もいるかもしれません。語呂合わせもいろいろとあるらしいですね。
ところがこの「7色」、世界共通の常識かというと、そうではないのです。
たとえばアメリカやイギリス。
虹は「6色」と言われることが多く、藍色をあまり区別しません。
ドイツでは5色(赤、黄、緑、青、紫)
インドネシアでは4色(赤、黄、緑、青)
アフリカの一部の民族では3色しか認識しない地域もあるようです。
どこからどこまでを「色」と認識するかは、言語や文化、色の分類に対する感覚の違いによるのです。
日本ではなぜ7色なのでしょうか?
これには歴史的な背景があります。
虹の7色という概念を提唱したのは、かの有名なアイザック・ニュートン。彼はプリズムを使った光の研究の中で、光が色に分解される現象を説明しました。
当初は5色としていたのですが、後に「音楽の7音階と対応させるため」という理由で、藍と橙を加えて7色にしたのだとも言われています。
その影響を受けた日本では、虹は7色と言うようになったというわけです。
ところで、虹を見上げたときその色を数えるとしたら、どこからどこまでを1色とするでしょうか?
虹は外側が赤、内側が紫です。
太陽を背にして見たとき、外に向かうほど波長が長く、赤色の位置になります。
一方、内側は波長が短い紫や青の位置にあります。
つまり、虹の「外側から赤、内側へと紫に向かう」という並びが自然な順番ということになりますね。
しかし、実際の虹をじっくり見てみると、色と色との境目ははっきりとはしていません。むしろ、色同士がじんわりと混ざり合い、なめらかなグラデーションになっています。
赤と橙、橙と黄、黄と緑、・・・・。
どこからが次の色なのか、線を引くことはできません。
虹の本質は「グラデーション」。
本当は無限の色がそこにはあるのです。
私たちの目がその中から「7つの色」を切り出しているだけにすぎません。言いかえれば、「7色」とは人間の認識の都合。自然界にある虹の美しさは、はるかに豊かで境界のない連続なのです。
虹には、古今東西さまざまな物語があります。
日本神話では、「天の浮橋」として神々が移動するための道具が登場します。虹は「天と地をつなぐ橋」とされているのです。
中国では虹は「龍」と関連づけられています。特に、雄と雌の龍が交わるときに虹が現れるとも言われていました。そのため、虹は吉兆とされることもあれば、不吉な兆しと見なされることもありました。
北欧神話では、虹は「ビフレスト」と呼ばれる橋で、神々の世界アスガルドと人間界ミッドガルドをつなぐ神聖な架け橋とされています。この橋を渡れるのは神々と、選ばれし英雄たちだけだそうです。
ナバホ族など一部のアメリカ先住民にとって、虹は神の「守護の弓」とされ、人々を悪霊から守る存在でした。儀式の中にも虹が重要なモチーフとして登場します。
アイルランドの「レプラコーン」伝説は聞いたことがあるかもしれませんね。虹のふもとには妖精が隠した金の壺があると言われています。しかし、ふもとにたどり着こうとすると虹は逃げてしまうのです。
虹は、見るたびに少しずつ違います。天気や時間、見る人の位置によって、微妙に色合いや角度も変わります。
虹は自然のいたずらのように現れて、すぐに消えてしまいます。そのはかなさ、美しさ、そして捉えどころのなさ。
だからこそ、私たちは虹に魅了されるのかもしれません。
虹は
「非現実世界への入り口」
「夢への憧れ」
「オズの魔法使い」では、主人公のドロシーが竜巻に巻き込まれます。
「虹の彼方(Over the Rainbow)」にある魔法の国へと飛んでいくのです。
Somewhere over the rainbow
Way up high
山のあなたの 空遠く
「幸(さいは)ひ」住むと 人のいふ
なんのはなしだろうか?
・虹の解体: いかにして科学は驚異への扉を開いたか
リチャード ドーキンス (著), Richard Dawkins (原名), 福岡 伸一 (翻訳)
早川書房 (2001/3/31)
科学とは、限りない驚きと美に満ちた世界である。「利己的な遺伝子」で科学界を震撼させた著者が、専門領域である生物学、進化学から脳科学、ゲノムサイエンス、認知心理学、物理学、宇宙論まで縦横に援用して語る、啓蒙の書。
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)
・虹の橋―Rainbow Bridge
葉 祥明・絵 (著), 葉 祥明 (翻訳)
佼成出版社 (2007/6/30)
愛するペットとの別れは、永遠ではありません。
あの子に「また会いたい」という願いは、いつか、必ずかなうのです。
インターネット上で世界中の人々から支持されている、作者不詳の詩「虹の橋」が、葉祥明氏による絵で、美しい絵本になりました。
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