時空転送機 【せりふ三題噺】

せりふ「そこ、どこ?」
お 題 桜餅
    ダンボール
    夕暮れ

春の日の夕暮れ

俺の友人、トモヤは食べかけの桜餅を残して忽然と姿を消した

約束の時間に俺はトモヤの部屋を訪れた

玄関の鍵は開いていて、テーブルにはトモヤの携帯が置かれていた

コンビニにでも行ったのか

そう思い俺はトモヤを待った

しかし、よく見るとテーブルには携帯と一緒にトモヤがいつも使っている財布も残されていた

コンビニじゃないのか?

その時トモヤの携帯の着信音が鳴った

非通知?

とりあえず俺は電話に出た

「ケイか?」

電話の向こうでトモヤの声

「トモヤか、今何処だ?」

俺の問いかけにトモヤは答えない

「おいトモヤ、何処にいるんだよ!」

そこでやっとトモヤが口を開く

「ダンボールで作った時空転送機が作動しちまった」

話が見えない

「何を言ってるんだ?」

「だから時空転送機を作ったんだよ。それが作動して時空を飛ばされたんだけど戻れないんだ」

トモヤの話は支離滅裂だ

「何処にいるか言えよ!」

「それが分からないんだ。部屋にもう一つダンボールがあるだろ? そっちは二人乗りだから迎えに来てくれないか」

ダンボールで迎えに来いって、一体?

「こっちにあるのは一人乗りで返送装置が壊れてるんだ」

「冗談はやめろよ!」

「冗談じゃないんだ。とにかく来てくれ」

トモヤの切迫した声に只事ではないと気付かされる

俺は二人乗りの大きなダンボールに乗り込む

コックピットと思われる場所にはダンボールで作られたダイヤルが付いている

ダイヤルには沙也加の部屋とかコンビニとか押入れとか書かれている

さやかとはトモヤの彼女だ

「そこ、どこ?」

「ダイヤルを押入れに合わせてスタートボタンを押せ」

押入れ?

俺はダンボールを出て押入れの引き戸を引いた

「トモヤ!」

そこには小さめのダンボールの中で携帯を握り締めて汗だくになったトモヤの姿があった

「何やってんだお前?」

「その方法があったか、とにかく助かったよ」

照れ臭そうにトモヤが押入れから出て来た

トモヤの話によると

ダンボールで作った時空転送機が一時的に作動してトモヤを部屋から押入れに転送したのだ

押入れの中が真っ暗だったので身動き出来ず俺の来るのを待っていたらしい

トモヤは今タイムマシンの制作に取り組んでいる

今回も救助用に二台作るらしい

完成したタイムマシンが(するわけ無いが)

また作動したらどうするつもりなのだろう

次は助けに行かないよ

こちらの企画に参加させて頂きました。よろしくお願いします。

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