なぜ私は「私」なのか、更新3
第5層:意識は「私」か?
最後に、第5層(意識層)を考えよう。
意識は、1〜4層が同期したときに創発する。
朝起きてから夜寝るまで、意識は途切れない(深い眠りを除いて)。
思考は変わる。感情も変わる。でも、「意識している」という状態は続いている。
哲学者デカルトの有名な言葉。
「我思う、ゆえに我あり」
考えている、意識している、だから私は存在する。
でも、意識も途切れる。
睡眠中、意識は途切れる。全身麻酔を受けたら、意識は消える。
でも、目覚めたとき、あなたは「同じ私」だと感じる。
なぜか?
「私」とは同期パターンである
ここまで見てきて、わかることがある。
「私」は、一つの層だけでは説明できない。
体でもない。
クオリアでもない。
予測モデルでもない。
記憶でもない。
意識でもない。
「私」とは、1〜4層の同期パターンだ。
第1層(身体)からの信号が、
第2層(クオリア)で評価され、
第3層(構造)で予測と照合され、
第4層(記憶)で過去と統合される。
この4つの層が同期したとき、第5層として「私」が創発する。
「私」は、同期のパターンだ。
静的な「もの」ではなく、動的な「プロセス」だ。
なぜ「私」は他人じゃないのか
ここで新しい問いが生まれる。
なぜ私は、あなたじゃないのか?
あなたも5層構造を持っている。私も持っている。
では、なぜ私はあなたの意識を経験しないのか?
答えは、第1層(身体)が違うからだ。
私の体と、あなたの体は、物理的に分離している。
私の神経系と、あなたの神経系は、繋がっていない。
だから、同期パターンが共有されない。
私の1〜4層から始まる同期と、あなたの1〜4層から始まる同期は、独立している。
物理的な分離が、「私」の分離を作る。
同期パターンは個人ごとに違う
同じ5層構造を持っていても、同期パターンは人によって違う。
なぜか?
第2層の違い
同じリンゴを見ても、評価が違う。
ある人は「好き」、ある人は「嫌い」。
この評価の違いが、クオリアの違いを生む。
第3層の違い
同じ状況でも、予測が違う。
ある人は「危険だ」と予測し、ある人は「大丈夫だ」と予測する。
この予測モデルの違いが、世界の見え方の違いを生む。
第4層の違い
同じ経験をしても、記憶が違う。
何を覚えているか、どう解釈するか、何と結びつけるか。
この記憶の違いが、「私」の歴史の違いを生む。
同期パターンは、2〜4層の組み合わせで決まる。
この組み合わせは、人によって全く違う。
だから、「私」は唯一無二だ。
