見出し画像

街に巣食う警察👮‍♂️の天下り利権💰

街に巣食う警察👮‍♂️の天下り利権💰

特高のように再び国民を支配しようとする警察👮‍♂️や検察の
官僚組織や手口に迫っていきます。

青木理「ルポ国家権力」

青木理「ルポ国家権力」

青木理(あおき おさむ)
1966年長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
90年に慶応義塾大学卒業後、共同通信社入社。
社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、
2006年よりフリーとして活動



警察庁👮‍♂️が秘密裏に設立したダミー会社

掲載:「週刊ポスト」2012/2/10号

定款に<職業紹介事業>を追加

同社の役員は、既に退任した人物まで含め、人見氏以外も全員が警察官僚OBで占められていた
いわゆる『天下り』を中央省庁が斡旋する行為は法的に禁止されている。
でも、実際は天下りは今も続いてますから、役所としては斡旋や調整をしないわけにいかない。各省庁とも頭を悩ませたんですが、警察庁は民間のダミー会社を設立し、そこを通じて斡旋をやることにした
それが『サン綜合管理』という会社です」
言葉を変えるなら「法と秩序の番人」というべき役割を担っているにもかかわらず、その中枢である警察庁が、法で禁じられた行為をさせるためダミー会社をつくっていた、抜け穴を作る警察。

東京・千代田区の平河町は、皇居の濠や永田町にもほど近く、
大型オフィスビルや外国大使館などが林立する都心一等地のビジネス街である。
その一角に立つ、周囲の雰囲気とは少々不釣り合いな雑居ビル。
1階部分は飲食店が入居するこの小さなビルの3階に、問題の会社はあった。

<株式会社サン綜合管理>

狭い階段脇の郵便ポストには、そう記された白色プレートが貼られていた。
しかし、平日の昼間に訪ねてみても、窓にはカーテンが引かれ、人の気配は薄い
社名だけでは何を主業務とする会社か判然とせず、民間信用調査機関などにあたってみても、データらしいデータがないという返答が戻ってくるだけだった。

ところが、この会社について調べていくと、実に奇妙な実態が浮かび上がってきた
いや、奇妙などという話で済ますわけにはいかない。
日本警察の頂点に君臨し、全国の都道府県警を蹴する立場にある中央行政官庁=警察庁が、組織ぐるみで論外の所業を繰り広げるために設立したダミー会社だったのである。

私の手元に、同社の法人登記簿がある。
それによると、現在同社の代表取締役に就いているのは人見信男氏。
東大法学部を卒業して1972年に警察庁入りし、奈良県警本部長や警察庁人事課長、さらには警視庁副総監や警察庁交通局長などを歴任した人物である。
2004年に退官後は一部上場の大手スーパーの特別顧問にも就いており、
いわば「大物の警察官僚OB」といえよう。そればかりでない。
同社の役員は、既に退任した人物まで含め、人見氏以外も全員が警察官僚OBで占められていた。

すべての役員を警察官僚OBで固めた正体不明の会社――。
これだけでも十分に奇妙だが、同社にはもう1つ、奇妙な点があった。

再び登記簿をめくると、同社の設立日は2008年4月8日と記載されている。
設立時の代表取締役には別の警察官僚OBが就き、会社の目的欄は次のように雑多な項目が列挙されていた。
<不動産管理及び賃貸事業、経営コンサルティング事業、食品・酒類・書籍などの物販・・・・・・>ところが、
会社設立から半年にも満たぬ2008年9月1日、当初の警察官僚OBに代わって人見氏が代表取締役に就き、同時に登記上の目的欄に突如、次のような1項が追加された。

<職業紹介事業>

同社の設立日に加え、この登記変更がなされた日付が重要な意味を持つので記憶に留めておいてほしいが、全役員を警察官僚OBが占め、定款に<職業紹介事業>なる1項を追加した奇妙な会社の正体について、警察庁の内情に詳しい関係者が驚くべき話を聞かせてくれた。

「行政改革の必要性が訴えられて公務員批判なども高まったため、現在は国家公務員OBの再就職――いわゆる『天下り』を中央省庁が斡旋する行為は法的に禁止されています
でも、実際は天下りは今も続いてますから、役所としては斡旋や調整をしないわけにいかない。各省庁とも頭を悩ませたんですが、警察庁は民間のダミー会社を設立し、そこを通じて斡旋をやることにしたんです。
それが『サン綜合管理』という会社です」

別の警察庁関係者も、こう打ち明けた。

「もちろん実際の斡旋や調整は(警察庁の)長官官房人事課の意向に則ってやるわけだけれど、あくまでも民間の会社がやっていることだという建前を押し通せば、
違法行為ではないといいのがれることができる

人見さんは警察庁で人事課長もやっていて、天下りやOB人事のウラもオモテも知り尽くしてるからね。まさに適任だということで、(代表取締役として)白羽の矢が立ったんだろう」

私がここで記すまでもなく、警察は様々な犯罪に関する第一次捜査権を持ち、
機動隊なども擁する強大な治安組織である。
言葉を変えるなら「法と秩序の番人」というべき役割を担っているにもかかわらず、その中枢である警察庁が、法で禁じられた行為をさせるためダミー会社をつくっていた、というのである。

にわかには信じ難い話だが、取材を進めてみると、すべては事実だった。
その驚愕の内実へと分け入っていく前に、
まずは国家公務員=中央官僚の天下りをめぐる政治と法改正の動きを把握しておく必要があると思う。

青木理「ルポ国家権力」

後輩たちに再就職先を紹介

退職した官僚が傘下の公益法人や民間企業などに再就職する行為を「天下り」というのは周知の通りだが、その後もさらに公益法人や企業への再就職を繰り返して巨額の退職金を得る官僚も数多く、これを「渡り」と呼ぶ。
2008年12月のセンター設置時点から、各省庁が天下りや渡りを斡旋する行為は、最高で懲役3年の刑事罰を科される明確な違法行為となったのである。
そして人見氏が代表取締役に就き、会社の目的に<職業紹介事業>という項目が追加されたのは同年9月である。
いずれも省庁による天下り斡旋を禁ずる法改正から間もない時期にあたる。

話は2007年にさかのぼる。
当時は自民党・第1次安倍政権期だったが、この年に起きた
農水省傘下の独立行政法人・緑資源機構を舞台とする官製談合事件などを受け、
公益法人などへの中央官僚の「押しつけ的な天下り」こそが官製談合の温床になっているとの批判が高まり、安倍政権は国家公務員法の改正に乗り出した。

その際、大きな焦点の1つとなったのが、OBの「天下り」や「渡り」を各省庁が斡旋する行為だった。退職した官僚が傘下の公益法人や民間企業などに再就職する行為を「天下り」というのは周知の通りだが、その後もさらに公益法人や企業への再就職を繰り返して巨額の退職金を得る官僚も数多く、これを「渡り」と呼ぶ。
いずれも日本の官僚機構に長年蔓延った悪弊であり、従来は各省庁の人事セクションが一元的に差配してきた。

実をいえば、その悪弊は現在も根本的にはあらたまっていないのだが、
天下りや渡りを根絶すべきだという世論の高まりを受け、安倍政権下ではこの手始めとして、省庁による斡旋の規制が焦点として浮上したのである。

結果、2007年6月の通常国会で、各省庁によるOB天下りの斡旋を禁ずる改正国家公務員法が成立した。また、内閣府に「官民人材交流センター」を設置し、国家公務員の再就職斡旋をここに一元化することも決められた。
これにより、2008年12月のセンター設置時点から、各省庁が天下りや渡りを斡旋する行為は、最高で懲役3年の刑事罰を科される明確な違法行為となったのである。

さて、ここで問題の<サン綜合管理>なる会社の設立日や登記変更日などを思い返してほしい。

同社が設立されたのは2008年4月だった。
そして人見氏が代表取締役に就き、会社の目的に<職業紹介事業>という項目が追加されたのは同年9月である。
いずれも省庁による天下り斡旋を禁ずる法改正から間もない時期にあたる。

前出の警察庁関係者が苦笑しながら明かす。

「最初からそのつもりでつくった会社だったはずだけど、
しばらく経ってから定款に『職業紹介事業』と追加したのは、
さすがに警察庁側に迷いがあったんでしょう。
もしバレたら、いくら違法じゃないと言い張っても、凄まじい批判を浴びるのは必至だからね。
ただ、企業が定款にない事業をやったら、それこそ違法になってしまう。そこで人見さんが社長になって(天下り斡旋を)始めるにあたり、おそるおそる追加したんでしょう」

同社の元役員だった警察OBに接触すると、やはりこう打ち明けてくれた。
「我々は国家公務員といっても、事務やノンキャリアの警察官もたくさんいるんです。そういった後輩たちに再就職先を紹介することはできないかと、
会社の設立もそういった考えがあってのことだったけれど、
いろいろ研究してみようということで設立当初は(職業紹介事業という目的を)入れていなかった。一応は不動産管理なども行っていますしね。
でも、話し合って検討するうち、やるからには法に沿わねばいけないということになりましてね・・・・・・」

関係者が次々と認める「警察庁が設立した天下り斡旋用ダミー会社」の存在。
私と「週刊ポスト」誌取材班は、そのトップである人見信男氏を直撃した。

青木理「ルポ国家権力」

「何が問題か?えっ?」

都内の高級住宅地にある人見氏の自宅を私たちが訪ねたのは、
関東地方に雪が降った2012年1月23日の夜だった。
この日、会合があったという人見氏は、降り積もった雪で
路上が真っ白に染まった午後10時近くにタクシーで帰宅した。
酒にでも酔っていたのか、もともとがそういう人柄なのか、
ずいぶんと乱暴な「べらんめえ」口調で玄関先での取材に応じた人見氏


極めて重要な内容なので、その1問1答を、発言通り正確に紹介する。

――人見さんが代表取締役を務められているサン綜合管理という会社についてうかがいたいのですが。
「何だよ!俺があんたらにいうことないだろっ!」
―――代表取締役の人見さんをはじめ、全役員が警察OBの方々ですね。
「ああ、そうだよ。それが何か悪い?」
――いったい何をやられている会社なのですか。
「そんなもの、自分で調べろよっ!」
―――私どもの取材では、警察庁OBの天下りを斡旋している会社だと承知していますが。
「何っ?何をやろうと自由だろ、(自分は)もう警察とは関係ないんだから!
だろっ?俺が後輩のために何をやろうと自由だろっ?俺がやったら何か(問題)あるの?俺はね、自分の好きなことをやりたいんだよ、後輩のために。わかった?」

―――後輩というと、警察庁の後輩ですか。
「そうさ。警察庁のためだけじゃないけど、
(再就職などを)やりたいやつがいたら、俺がやってやる。後輩のためだ」

―――2008年9月に、会社の登記上の目的に「職業紹介事業」を追加してますね。
「当たり前だろっ。民間企業は、定款に書いてないことをやっちゃいかんよ。
俺は法律通りやってるんだ。そこをわかって(取材に)こいよ!
そういうことなんだよっ!何の問題もないだろ?何か問題か?えっ?えっ?」


最後まで乱暴な口調でまくしたてた人見氏だが、
表情と態度には明らかに動揺と狼狽の色が浮かんでいた。
そして、同社の元役員と同じく「後輩のため」という理屈を持ち出し、
「警察庁OBの天下り斡旋」を行っていると認めたのである。

青木理「ルポ国家権力」

警察は天下り利権を急拡大

法が禁じた天下り斡旋を行うためにダミー会社を設立するというのは、
限りなく違法に近い所業といわざるを得ない。控えめに評しても、国家公務員法の規定を蔑ろにする「脱法行為」との誹りは免れない
だろう。
しかも警察は「法と秩序の番人」たる存在であり、警察庁はそのトップに君臨する組織なのである。
つい先ごろは全国の都道府県に警察主導で暴力団排除条例が整備され
背後には警察OBの天下り先拡大の狙いがあるとの見方は根強い
暴力団関係者との接触に神経を尖らせる企業が、警察OBを迎え入れる動きに出ているからである。
そうした巨大な”警察利権”を維持し、これを裏支えするために限りなく違法に近い「脱法行為」を警察庁が繰り広げているなら、これは言語道断の振る舞いというほかはない。

それにしても、法が禁じた天下り斡旋を行うためにダミー会社を設立するというのは、限りなく違法に近い所業といわざるを得ない。
控えめに評しても、国家公務員法の規定を蔑ろにする「脱法行為」との誹りは免れないだろう。しかも警察は「法と秩序の番人」たる存在であり、警察庁はそのトップに君臨する組織なのである


ただ、警察庁がこうした「脱法行為」に手を染めた背後事情として、
政治の機能不全を指摘しておかねば公平性を欠く面もある。

前記した通り、2007年の国家公務員法改正で各省庁の天下り斡旋が禁じられる一方、「官民人材交流センター」がそれを一元的に担うこととなった
ところが与野党の対立や政権交代の混乱で公務員制度改革は迷走し、センターは機能停止している。つまり、天下り斡旋は禁じられたものの、それに代わる制度が未整備のままとなっているのである
そして警察庁は他省庁より大規模で、キャリア官僚のほか事務や通信関係の職員なども1000人単位で抱えている。

しかし、だからといって警察庁がダミー会社を設立し、違法な天下り斡旋を担わせていいはずはない。繰り返すが、警察は「法と秩序の番人」たる権力機関であり、
そもそも「天下り」「渡り」は日本の官僚システムに根強く蔓延った悪弊にほかならない

加えて日本の警察組織は近年、風俗やパチンコ業界といったさまざまな分野で規制権限を強め、キャリア官僚を中心とする天下り利権を急速に拡大させてきた。
つい先ごろは全国の都道府県に警察主導で暴力団排除条例が整備され、
背後には警察OBの天下り先拡大の狙いがあるとの見方は根強い
暴力団関係者との接触に神経を尖らせる企業が、警察OBを迎え入れる動きに出ているからである

そうした巨大な”警察利権”を維持し、これを裏支えするために
限りなく違法に近い「脱法行為」を警察庁が繰り広げているなら、
これは言語道断の振る舞い
というほかはない。

警察庁広報室は「週刊ポスト」誌の取材に、
「当庁はお尋ねのサン綜合管理の事業に関知しておらず、
同社が行う職業紹介事業は国家公務員法上の再就職規制に照らして
問題あるものと認識していない」
(原文ママ)
と予想通りの回答を寄せたが、警察庁の元人事課長がトップを務め、
全役員が警察OBの会社なのである。
このような言い訳が通用するはずもない

青木理「ルポ国家権力」

伊丹万作「騙されることの責任」

もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。

伊丹万作「騙されることの責任」

もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より


いいなと思ったら応援しよう!