恐るべき公安👮♂️①-01公安警察の組織機構「概要と組織機構」
恐るべき公安①-01公安警察の組織機構「概要と組織機構」
テロ組織のような悪名高い公安の
組織や手口に迫っていきます。
青木理「日本の公安警察」

青木理(あおき おさむ)
1966年長野県生まれ。ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
90年に慶応義塾大学卒業後、共同通信社入社。
社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、
2006年よりフリーとして活動
はじめに
実は、自民党だけが、国民監視し独裁政治をしてるように見えるが、
「自民、自由、公明三党の賛成多数」とわかるように、
立憲民主党なども国民監視に賛同する立場であり、
今も加担し続けていることに注視していきたい。
●はじめに
1999年8月12日午後1時59分、参議院本会議で警察など捜査機関による盗聴捜査を認める通信傍受法(盗聴法)を含む組織犯罪対策三法が自民、自由、公明三党の賛成多数により可決、成立した。
続いて同日夜、改正住民基本台帳法も採決入りし、これもやはり三党などの賛成多数で可決、成立した。
法案の本会議採決をめぐり与野党が徹夜の攻防を繰り広げたのはPKO協力法以来7年ぶりということもあり、議場内には野次と怒号が飛び交っていた。
だが、傍聴席に座って議場を眺めながら感じたのは、奇妙な倦怠感だった。
自自公という不可思議な絶対与党体制が成立して以降、為政者たちが長らく望んできた監視と管理のシステム強化作業が着実に進められてきた。
盗聴法、改正住基法の前にはガイドライン関連法、国旗・国歌法が、後にはオウム真理教対策のための団体規制法が相次いて成立し、破壊活動防止法の改正、さらには憲法改正までが視野に入りつつある。いずれも国家機能強化を図るための一種の治安法の整備作業と言ってよいであろう。
冷戦構造崩壊後、オウム真理教というカルト集団の出現や朝鮮半島を取り巻く不穏情勢など、この国の内外には確かに新たな不安定要素が浮き沈みし、
一連の法整備はこれらへの「対応策」との体裁が取られつつ進められてきた。
全てがそうではないにせよ、監視と管理機能を強化する治安法整備である以上、
その背後に見え隠れするのは警察を筆頭とする巨大な治安機関の姿である。
本来ならばその実像は、法制定の過程において情報の公開と議論の対象となるべき一大テーマでもあった。
だが治安機関を覆い隠すベールは厚く、漏れ伝わってくるデータは極めて微少で、
公刊されている記録はほとんど存在せず、結局はさほど議論も起きないままに治安法整備作業のみが着々と進められてきた。
治安機関をテーマの一つに取材を続けてきた経験則から言えば、実は「対応策」なるものは単なる名目に過ぎず、国家機能の強化自体が目的なのではないのか、そう感じることすら往々にしてあった。
なのに治安機関の姿は一向に見えないまま、その機能強化システムばかりが組み上がっていく――強く感じた倦怠感を言葉に変換するならば、こんなところだろうか。
盗聴法の採決に入る直前、反対討論を繰り広げていた野党議員に向かって与党席からこんな野次が飛んだ。「警察を信頼しろ」。
これが笑えぬ冗談に過ぎなかったことは、間もなく神奈川県警を始めとし全国の警察で次々と噴出した信じがたい不祥事によって再認識された。
無心の依存は無謀な賭け事に過ぎない。
この国の警察は概ね職務に忠実であり、多くの警察官は真面目である。
だが時にとんでもないことを平然としでかす。
公安警察においては、それは一層顕著である。
短視的とも思える「対応策」を易々と容認する前に、我々はまず、知らねばならない。公安警察を中心とする日本の治安機関が何をなし、何をなさなかったのか。
治安を名目としてどのような活動を繰り広げてきたのか、繰り広げようとしているのか。
繰り返すが、覆うベールはあまりに厚い。だからこそ密行性と閉鎖性の壁の向こう側では肥大し、制御を失いかねない。
唯一の制御法は「知る」ことしかない。
本書はそのための微弱なトライアルである。
なお、日本の警察組織においては、
機動隊運営や災害対策、警衛・警護などを包括して「警備警察」
あるいは「警備・公安警察」と総称されるのが一般的である。
本書ではこのうち、機動隊運営や警衛・警護、あるいは災害対策部門などを除き、
原則として「公安事件の捜査」および「公安情報の収集」に当たっている部門を「公安警察」、同部門に所属する警察官、捜査員を一括して「公安警察官」と呼称することとした。また本文中では原則として敬称を略させていただいたことも事前にお断りしておく。
公安警察の組織機構
治安機関の中枢
●治安機関の中枢
東京のほぼ中心に位置する官庁街・霞が関。その中でも国道1号線の虎ノ門交差点から桜田門までに至る道沿いは、日本の中枢的な中央官庁が密集する、日本官僚機構の"頭脳"とも言うべき地域である。
虎ノ門側から順に眺めるだけても、文部省、大蔵省、郵政省、通産省、外務省、農水省の建物群が大通りを両側から睨み据えるように左右に分かれ、威圧感を漂わせながらそびえ立つ。
その先端近く、裁判所合同庁舎と向かい合うように2つの巨大ビルが威容を見せている。皇居寄りのビルが警視庁本部庁舎。もう1つの地上21階建ての近代的合同庁舎ビルに入るのが、日本警察の頂点に位置する警察庁である。
かつて合同庁舎敷地内には赤茶色をした煉瓦タイル張りの重厚な建物が存在した。
1933年に竣工し、95年から取り壊しが始まったそのビルには戦前から敗戦直後にかけ、内政に強大な権勢を誇った内務省が入居していた。
その権力の強大さは現在の自治省、警察庁、厚生省、建設省、労働省、消防庁、
そして法務省の一部、農水省の一部などまでを包含する行政権を一手に司っていたことを記せば十分だろう。
国民の「揺りかごから墓場まで」を統治した内務省が戦後間もなく解体されると、
同ビルは「人事院ビル」と呼ばれるようになった。この名称を屈辱ととらえる旧内務官僚も多いと伝えられるが、同じビルに内務省の中枢機能だった警察庁、自治省が位置していたのは偶然ではあるまい。
この地に存在する警察庁警備局こそが、日本における治安機関の中枢、公安警察のトップに君臨する組織である。
警備局を頂点とする公安警察組織の巨大な機構内部に分け入っていく前に、
まずは日本の警察組織の全体像を概観しておこう。
警察庁を頂点とするピラミッド
表向きは民主警察の形をとっているが、形骸化&骨抜きになってており、
警察庁は事実上、全国の都道府県警察をリモートコントロールすることが
可能な中央集権的な仕組みになって閉まっている。
●警察庁を頂点とするピラミッド
現代日本の警察は建て前上、自治体警察を標榜している。
だが現実においてその構造は、警察庁を頂点とし、北海道から沖縄まで全国各地の都道府県警察を配下に置く巨大なピラミッドを形作っており、きわめて中央集権性の高い国家警察的機構である。
全国の警察執務は各都道府県公安委員会の管理の下で各都道府県警が行うこととされ、形式的には確かに自治体警察の形態が整えられている。
警察庁長官官房編『警察法解説』も次のように言う。
「長官は都道府県公安委員会をさしおいて、直接に警視総監や警察本部長に指揮命令することはできない。したがって正規の指揮命令は都道府県公安委員会あてになされる。ただ、実際の問題として、警察活動は敏速を要するものであり、
(略)指揮命令が執行機関になされることはあっても、指揮命令の本来の対象が都道府県公安委員会であることは変わりはない」
本音と建て前の双方が微妙に顔を覗かせるが、周知のとおり都道府県公安委員会などは”お飾り”にすぎず、自治体警察とされている都道府県警察においても、警視総監、各道府県警本部長をはじめとする警視正以上の階級の幹部警察官は国家公務員とされ、主要部門のトップは警察庁採用のキャリア官僚の指定席と化し、警察庁長官は「警察庁の所掌事務について、都道府県警察を指揮監督する」(警察法十六条)こととされている。
予算面でも選挙違反、広域犯罪などと同様、公安関係予算は国庫から支出されることになっている。
ヒトとカネ、すなわち人事と枢要な予算の双方の権限を中央が握っている以上、
警察庁は事実上、全国の都道府県警察をリモートコントロールすることが可能となる。
権力の上昇構造
品行方正な警察のイメージは幻想で、実際には悪代官のように、
年末になると全国各地から名産の"貨物"が届いて部屋に納まりきれず廊下や玄関に山となるほどの、賄賂のようなお歳暮やお中元攻勢をしているのが現実である。
また、県警が見ているのは市民ではなく、顔は県民よりも警察庁に向いており、警察庁に"お伺い"を立てて決める仕組みになっている。
●権力の上昇構造
キャリア警察官僚が占める各都道府県警本部長あるいは幹部たちは、常に警察庁幹部の顔色を窺っている。
そして都道府県警の内部においては、本部長が人事権から予算の執行権まであらゆる決裁の絶対的権力を持ち、各都道府県警の職員もまた、常に本部長の顔色を窺わざるを得ない。
結局のところ、警察機構全体が上へ上へと向かう権力の上昇構造から逃れられないシステムを呈しているのである。
警察庁取材が長かった元朝日新聞記者鈴木卓郎はこう記している。
「都内のマンションに住む(警察庁の)某首脳の家には、年末になると全国各地から名産の"貨物"が届いて部屋に納まりきれず廊下や玄関に山となり、他の居住者が歩けなくなったことがある。(略)発送人を見たら○○府県警の警備部長とか刑事部長といった役職名ばかりだった」
「本部長になって、趣味を明らかにしたら大変である。こんどの本部長は『盆栽が趣味らしい』といえば、署長たちから贈られる盆栽で庭はいっぱいとなる。庭石が好きだとわかれば、庭に石の山が築かれてしまう」
(カッコ内筆者注、いずれも「日本警察の解剖」)
都道府県警側の実態は高知県の地方紙「高知新聞」の1989年のレポートが詳しい。
「ある署が受付窓口の警察官に名札を付けようとした。市民応接を向上するためである。一応、県警本部に連絡した。ところが『待った』がかかった。
名札を付けるのが服務規律に違反しないかどうか―警察庁に"お伺い"を立てるためだった。顔は県民よりも警察庁に向いている」(同年6月10日付朝刊、連載企画「揺らぐ信頼岐路に立つ県警」)
公安警察の役割
公安警察の情報は、県警の本部長の頭越しに中央へと飛んだり、
県警の本部長の頭越しに命令が届いたりする中央集権的な仕組みになっている。
●公安警察の役割
中央集権的警察組織の中でも、本書のメインテーマとなる公安警察の中央集権制は群を抜いている。
日本の警察組織を大ざっぱに分類すると、機能別に刑事警察、交通警察、防犯警察(生活安全警察)、地域警察、警備警察などに大別される。
公安警察はこのうち、機動隊運営などの警備実施、災害・雑踏警備、警護、
警衛(皇族に対する警護)、外事警察などを包含する警備警察の一角に位置し、
「国の公安に係る犯罪」に関する情報収集、捜査を行っている。
警察法37条は、都道府県警の経費のうち、国費によって支弁するものの対象として警視正以上の警察官の給与や警察教養施設の維持管理、警察学校における教育訓練に関する経費に加え、「国の公安に係る犯罪その他特殊の犯罪の捜査に要する経費」を指定している。
刑事警察などと異なり、公安警察の活動は現実的にほぼ全てが「国の公安」に包含される。つまり公安警察の活動費は全てを中央が握り、その額は警察庁警備局と
各都道府県警警備部長との間の直結回路において決定され、警察庁から直接渡される公安関係予算は当事者以外には知りようもないシステムとなっているのである。
予算面に加え、組織機構でも公安警察の中央集権性は極度に高い。
警察法によって「国の公安に係る警察運営」に関しては国家公安委員会の管理下におかれるとされていることにより、全国の公安警察は事実上、警察庁警備局の直轄下にあり、全国に広がる警察本部、警察署でも公安警察に関しては第一線の公安警察官から警備部長、そして警備局へと1本のラインが引かれ、署長や、時には本部長を通り越して指示、指揮、指導、管理、監督、命令が発せられている。
活動費が国費から支弁されているため予算も自治体の関知外にあり、
公安警察の情報は時に本部長の頭越しに中央へと飛ぶ。情報の評価も警察庁警備局が決定し、表彰も警備局の判断によってなされる。そこに”自治体警察”が介在する余地はない。中央が一元的に指揮する以上、時には都道府県警察がその管轄外で平然と活動することもある。
後に詳述する神奈川県警警備部による共産党国際部長宅盗聴事件が、
警視庁管内である東京・町田で実行されたのも、その証左であろう。
警察庁警備局
●警察庁警備局
さて警察庁警備局の組織を簡単に検証することを手始めに、日本の公安警察の巨大な塔へと分け入っていこう。
警備局は警備局長を筆頭とし、配下に警備企画課、公安第1課、公安第2課、公安第3課、警備課、外事課の
計6課を置いている(次々ページ図参照、以下「第」を省略)。
なかでも警備企画課は
「警備警察に関する制度及び警備警察の運営に関する企画及び調査に関すること」
「局の事務の総合調整に関すること」(警察庁組織令)などを行う警備局の筆頭課であり、いわば公安警察の"中央センター"である。
以下、同等の格付け(実態は違うが)を持って、公安1課から3課、警備課、外事課が存在し、対象団体や機能別にそれぞれが各都道府県警の公安部、警備部を睥睨する体制が取られている。
公安1課は共産党を中心に、労働組合など大衆団体の情報収集を担当する、
公安警察における『花形』である。
最近では課内に特殊組織犯罪対策室と命名されたセクションが配置され、
オウム真理教に関係する情報の集約もここで行われている。
公安2課は「極端な国家主義的主張に基づく暴力主義的破壊活動に関する警備情報」(同)を担当する。
主として右翼団体に関する公安情報の収集、犯罪の取り締まりを行っているセクションだ。皇室やVIPの警護を行う警衛、警護なども同課の担当とされる。
公安3課は「極左的主張に基づく暴力主義的破壊活動に関する警備情報」(同)や取り締まりを担当。中核派や革マル派など、公安警察内で「極左暴力集団」と呼ばれる新左翼セクトを担当する。
警備課は主に機動隊などの警察部隊活動の配備計画などを統括する。
外事課はスパイ事件や海外に本拠を置く日本人のテロ組織動向、朝鮮半島情勢、
旧共産圏諸国を対象にした情報収集活動にあたっている。
警視庁・各県警の公安


●警視庁・各県警の公安
警察庁警備局が公安警察の『頭脳』とするならば、その手足となるのが、強力な中央集権性によって束ねられている全国の都道府県警察の警備部であろう。
中でも首都警察である警視庁には全国の警察で唯一「公安部」と名称を冠せられた部門がそびえ立つ。
日本の警察庁警備局組織図公安警察における実働部隊の中枢であり、公安警察の顔ともいえる組織だ。
警察庁の隣、皇居の杜を見下ろすように屹立する地上18階、地下4階建ての白亜のビルが警視庁本部庁舎である。警視庁公安部の中枢機能は同ビルの13階から15階にあり、公安部長の下に公安総務課、公安1課から4課、外事1、2課、公安機動捜査隊、外事特捜隊が置かれる体制が取られている(図参照)。
公安部の筆頭課は公安総務課である。
同課は共産党などの情報収集活動を行う一方、部内調整や法令解釈まで幅広く行うセクションであり、警察庁警備局との関連で言うならば、警備企画課と公安1課の業務を包括している。
公安総務課というどことなく平穏さを漂わせる名称とは裏腹に、
日本の公安警察における実働部隊の中枢ともいうべき部門である。
公安1課は、新左翼の各セクト、いわゆる「極左暴力集団」を担当。
少々複雑だが、警備局で言うと公安3課と連動することになる。
公安2課は革マル派や労働団体を担当。公安3課は右翼団体を対象とする。
公安4課は各団体の機関紙誌やビラ、個人データなどの資料を管理するセクションである。
警視庁を除く各道府県警には、機動隊などの運用を行う部門と1体の組織形態となる「警備部」が置かれ、公安警察部門を包括している。その規模によって配下にいくつかの課が置かれ、例えば大阪府警では警備部の下に警備総務課や公安1課から3課、外事課などがあり、山口県警を例に取れば、警備部の下には公安課、外事課などがあるだけだ。
伊丹万作「騙されることの責任」
もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。

もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない。一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない。騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より
