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牛タンを目指して戻る駅、仙台【ふエ#28】/ ふりかえりエッセイ 28

駅は目的地になることもあれば、ただ通過する場所になることもある。
好きかどうかを考える前に、拠点となった駅の存在について、書いてみようと思う。


思い出の駅を選ぶという難しさ

思い出の駅と言われてまず浮かぶのは、家の近くの駅や高校時代に通学で使っていた駅である。
ただ、あまりに身近すぎる駅は、書きにくい事情もある。
なので、今回はあえて別の駅を選ぶことにした。

私はいわゆる乗り鉄でも撮り鉄でもないが、鉄道そのものはわりと好きである。
地図を眺めながら、日本のいろいろな場所に行き、できればのんびりと列車に乗って移動してみたいなあと考えるのも好きだ。
車で回るという選択肢もあるが、それは時間がなくて、時間に決められた列車に乗っていられないときの話である。
また、車移動だと、運転がある以上、アルコールを飲むことはできない。
NHK BSで放送されている六角精児さんの「呑み鉄本線・日本旅」を見るたびに、列車旅だからこそできる楽しみ方だなあと感じることが多い。

それでも、日本中の駅の周辺に行けたら、それは日本の隅々まで行ったことになるのではないかと思い、列車に乗るかどうかに関わらず、少しずついろいろな方向へ出かけている。
日本全国制覇がいつになるのかは分からないが、生きている間には行きたいと思っている。


列車旅と「拠点駅」という考え方

車ではなく電車で旅をするとき、私はよく拠点駅を決める。
時刻表や乗り換え案内を眺めながら、その駅から出発し、最終的にそこへ戻ってくる計画を立てる。
宿泊先となっているのだから、そこに戻らなければならないのは当然と言えば然だ。
そこで、地図を見ながら、その動線を考える時間そのものが、すでに旅の一部になっている。

そんな「拠点駅」として、私の中で強く印象に残っているのが、宮城県の仙台駅である。


初めての仙台駅と学会の記憶

初めて仙台駅を訪れたのは2016年6月の中頃、今から約10年前のことだ。
それまで東京以北の駅に行ったことがなく、東北はどこかとても遠い場所のように感じていた。
(もちろん、それ以降の旅では日本の最北端や最東端にも行くことになったが。)

きっかけは、日本生活科・総合的な学習教育学会が仙台市で開催され、自由研究発表をすることになったからである。
当時、私はある学校で教頭をしており、若手の先生と関わった総合的な学習の時間の実践をまとめ、今回「発表する側」として学会に参加することにした。(この実践は、後日また総合編で連載します。)

学会は土日に行われる。
土曜の午前中には公開授業があり、午後には自由研究発表がある。
前日から移動する必要があったが、金曜の朝から休みをもらうのは難しく、結局、金曜の午後から休みをもらって移動することになった。
空港から羽田、そこから東北新幹線で仙台へ向かうという行程である。

仙台に着いた頃にはすっかり夜も深くなっていた。
ようやく着いたという安堵と同時に、でも「あれ、意外と近いな」という感覚もあった。
東北はもっと遠いと思い込んでいたからだ。

ただ、前日は遅い到着だったため、周辺を回る余裕はなく、帰りは山形市経由で山形新幹線に乗るという計画だけを立てていた。
仙台と山形を結ぶ仙山線があり、1時間ほどで行けることを知ったのもこのときだった。

到着した夜の仙台駅

この時は、残念ながら本場牛タンを食べるチャンスがなかった・・・。


2度目の仙台と牛タンを軸にした強行軍

2回目に仙台駅を訪れたのは昨年の2025年6月である。
今度は山形市で学会が行われた。 発表はしなかったが、参加することにした。

前回の反省を生かしたわけではないが、今回は前々泊を仙台にし、仙台駅を拠点に少し動いてみようと考えた。
理由は単純で、分厚い仙台の牛タンを思い切り食べたかったからである。
焼肉のタン塩は薄すぎて、どうも食べた気がしない。(笑)

今回は前々日から動き始めたのは2日間の工程が組めるからだ。
岩手にも少しだけ入ってみようと思った。

羽田から向かった東京駅から東北新幹線で一ノ関へ向かい、12時過ぎに到着。
30分ほどの乗り換え時間で、ウニメシの駅弁と銀河鉄道999ビールを買った。
ウニメシは正直なところ少しパサパサしていたが、ビールが飲めたので良しとした。

ウニメシとビール

13時前に大船渡線で気仙沼へ向かい、14時過ぎに到着。 乗り換え時間はわずかだったが、気仙沼線BRTにも乗った。
最初BRTって何と思って、思わずググってしまった。
これはバスだが、ほぼ専用道路を走り、東日本大震災後に線路の代わりとして整備された区間なのだろうと感じた。

柳津に16時過ぎに到着。
2時間のバス移動はさすがにしんどかった。
そこから再び列車に乗り、前谷地で乗り換え、17時前の石巻行きへ。
石巻から仙台までは石巻線で1時間半ほど。
仙台に着いたのは19時前だった。
かなりの強行軍で、さすがに疲れた。
もっとも、いつものことではある。

ホテルにチェックインし、夜は念願の牛タンを食べに出かけた。
事前に調べていた乗り換えと時刻通りに移動できたこと自体が、妙に楽しかった。
変なところでやり遂げた充実感を感じていた。

念願の分厚い牛タン

仙台駅から広がる時間

翌朝は6時前に起き、仙台駅へ向かった。
ホテルは素泊まりだったので、朝食は駅でざるそばといなりにした。

この日は学会前日だったが、午後から山形へ移動すればよい。
午前中は南へ行ってみようと考え、7時18分発の常磐線普通列車で福島県のいわき駅を目指した。
途中、浪江町や双葉町を通り、車窓を見ながら原発や東日本大震災のことが自然と思い出された。
10時04分にいわき駅着。
予約していた10時25分発の特急ひたち3号で、再び拠点駅の仙台へ戻った。

昼はまた牛タンにし、午後は少しだけ観光もしておこうと仙台城へ向かった。
るぷーる仙台という観光循環バスで、伊達政宗の騎馬像近くまで行った。
前回はレンタル自転車で青葉城址まで上がった記憶があるが、今回はバスにした。

るぷーる仙台乗り場

帰りは地下鉄南北線に乗り、途中で下車して北仙台駅へ戻り、仙山線で山形を目指した。
電化路線でありながら、山間部で30分ほど携帯電話がつながらない区間があり、少し驚いた。

山形に宿泊し、学会に参加し、帰りは前回と同じく山形新幹線で帰った。
特別な観光をするわけではなく、ただ電車で移動しているだけなのに、何がそんなに面白いのかと思われるかもしれない。
しかし、自分で立てた計画に沿って、各地の風景を眺めながら過ごす時間こそが、私にとっては何より贅沢な時間なのである。


ふりかえりエッセイ #28「牛タン目指して戻る駅、仙台」

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