【Casa BRUTUS掲載】建築家・秋吉浩気さんと語り合った、デジタルとアナログが交差する、常滑での特別なセッション
マガジンハウスの『Casa BRUTUS』にて、VUILD代表の建築家・秋吉浩気さんと対談をさせていただきました。
舞台は、愛知県常滑市にある「INAXライブミュージアム」。私たちLIXILデザインの源流の一つとも言える、特別な場所です。
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今回の記事に合わせて、1本のスペシャルムービーも制作されました。
これが、本当に素晴らしい仕上がりです。映像の中には、常滑の街に響く風の音や、タイルのひんやりとした質感、そして秋吉さんと僕が言葉を交わす中で生まれた熱量のようなものが、丁寧に閉じ込められています。
言葉で説明し尽くせない「空気感」こそが、実はデザインにおいて最も大切なものだったりします。常滑という土地が持つ歴史の重みと、未来に向かって開かれた視点。そのコントラストを、ぜひ映像から感じ取っていただければ嬉しいです。
煙突が教えてくれる「風景」の在り方

常滑の空には、かつて陶器を焼くために使われていた古い煙突が、今も誇らしげに立っています。この垂直なラインは、この街のアイデンティティであり、歴史が積み上げてきた「風景(Scape)」そのものです。
対談の中で、LIXILのデザイン哲学である「Shape New Scape」について深く掘り下げました。
私たちがデザインしているのは、単なる水栓金具やタイルという「モノ」ではありません。それらが空間に置かれ、誰かの日常の一部になった時に生まれる「新しい風景」そのものをデザインしたい。それが「Shape New Scape」という言葉に込めた私たちの意志です。
秋吉さんの創り出す「場」と、私たちが創り出す「プロダクト」。一見、規模や手法は違いますが、実はどちらも「人々の暮らしの景色をどう心地よく変えていけるか」という同じ目的地を目指しているのだと、対談を通じて確信しました。
5,500年前の「釘」と、デジタルな未来

秋吉さんとは以前からお世話になっており、通常LIXILで販売している「フロート トイレ」を、特別に実験的にカスタマイズしたりしていました。VUILDのデジタルファブリケーションを駆使した「これからのものづくり」の視点にはいつも刺激を受けています。そんな秋吉さんを、5,500年前のメソポタミアのタイルが並ぶ場所へお招きし、「水まわりの過去と未来」について語り合いました。

紀元前の「クレイペグ(土製の釘)」です。壁に突き刺して模様を描き出す、タイルの原点とも言えるこの小さな欠片。秋吉さんとそれを見つめながら、現代の3Dプリンティングやデジタルな構造体との共通点を見出していました。
単なる「後付けの飾り」ではない、本質的な役割が語られており、構造と一体化した意志: メソポタミアのクレイペグがそうであったように、かつて装飾は「構造の一部」であり、空間を美しく彩るという人間の根源的な意志そのものであること。
境界を作るもの: 装飾は、空間の質を変え、人との距離感を調整するための「フィルター」のような存在であること。

「ラグジュアリー」についての考え方、タイルやセラミックなど素材が持つ5,500年の歴史や、背景にあるクラフトマンシップ、思想に触れることで得られる精神的な充足感。その中で、体験の豊かさ: モノそのものよりも、それによって生まれる「心に響く豊かな時間や風景」を享受することこそが、現代のラグジュアリーであると秋吉さんから学びました。
秋吉さんから一冊おすすめの書籍を紹介いただきました。「建築のラグジュアリー: 物質と構築がつむぐ建築史」加藤 耕一 (著)
そんな実感を、博物館の静謐な空気の中で共有できたのは、僕にとっても大きな発見でした。プロダクトを「点」として作るのではなく、歴史という長い「線」の一部として捉え直す。それは、多忙な日常で見失いがちな、デザイナーとしての純粋な喜びを思い出させてくれる時間でした。

デザイナーの仕事は、どうしてもオフィスやデスクに向かう時間が長くなりがちです。けれど、こうして歴史的な場所に身を置き、異分野で活躍するクリエイターと言葉を交わすことで、僕自身のデザインの解像度もまた一段、上がったような気がします。
記事の中では、ここでは書ききれなかった具体的なデザインのこだわりや、素材への想いもたっぷりとお話ししています。
皆さんの毎日の中にある「風景」は、今どんな色をしていますか? この対談が、皆さんの暮らしの中に小さな「新しい風景」を見つけるきっかけになれば幸いです。
ぜひ、Casa BRUTUSのWebサイト、そしてスペシャルムービーをチェックしてみてください。

