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ノンフィクション・ラブストーリー『LOVE・24』


  LOVE・24…[1]

コレは、だいたい午後5時半頃から8時半くらいに起こった出来事である。


「う~ん、難解だったネ」
「ウン、でもおもしろかった。
 オシャレで斬新で」
「ゴダールの映画はファッションや芸術と同じ
 だネ。好きに捉えて好きに楽しめばいい…
 みたいな」
「うん」
「娯楽モノとは違って見る側が“楽しもう”って
 姿勢でないと、ただ見てるだけだと多分眠く
 なっちゃう」
「ホント、当たってる。
 あたし好き、こういうの」
「ホント!? よかったァ」

オレの趣味の映画にムリヤリつき合わせたかも知れないという不安が消し飛んだ。

「さて…と、お腹、空いてない?」
「うん、空いたァ」
「何食べたい? 和・洋・中、どっかその辺で…、
 それともオレの手料理…とか?」

初めて彼女をデートに誘い映画を見、そのあとオレは本気半分冗談半分な言い方で食事に誘った。すると彼女はほんの一瞬考え、

「…手料理」

と答えた。びっくりと「やった!」って気持ちが混ぜこぜの表情を隠して、

「オッケ、じゃあウチ行こう」

とオレは地下鉄の駅のほうへ向かった。

「ウン」

と言ってついて来る彼女の腰をいつのまにか自然に抱いていた。

地下鉄の中…、ピッタリ寄り添って座り、彼女の髪がオレの耳や頬に触れてくすぐり、彼女の手はオレの腕を軽くつかんでいる。なんだかもうすっかり恋人気分だ。そのまま彼女のほうに顔を向け、その頬にキスをするのはさすがにがまんした。

駅を出て、途中にある食料品店でピーマンとしめじを買った。そしてウチに着いてオレはコーヒー、彼女には紅茶を入れ、

「テレビでも見ながら待ってて」

とオレはすぐ食事の用意にとりかかった。冷凍していた鶏のもも肉を水を入れた鍋に放り込み、スープにするダシを取りつつ解凍。その肉はピーマン、しめじ、そしてネギと一緒に照り焼き風にしてどんぶり飯にのせて“鳥照り丼”に、そして鶏だしスープに味付けをして残ったネギ、しめじをちょこっと入れて完成。彼女はとても感激してくれた。

「へーえ、これが男の手料理かァ!」

“男の手料理”…あらためて聞くとなんだか妙な響きだナと思ったが、彼女の笑顔は充分オレの気を良くさせた。だが、彼女がその“男の手料理”というものを食べるのが本当に初めてなのかどうなのかはわからなかった。いや、じっさいそんなことはどうでもよかった。


  LOVE・24…[2]

コレは、だいたい午後9時から午前0時くらいに起こった出来事である。


オレの手料理“鳥照り丼”を食べながらの、そして食後の、彼女との他愛ない会話はとても楽しかった。彼女の顔はふだん、微妙に憂いを含んでいるように見え、そこがまたオレの心を惹き付けるのだが、こうして話している時の彼女の表情、笑顔もとても自然で、それはまた、笑顔があまり得意ではないと自分で思っているオレを最高に和ませ、頬を大いに緩ませてくれた。

まず彼女、次にオレ…と別々にシャワーを浴びたあと、彼女はオレのワイシャツを、オレはTシャツをパジャマ代わりに着た。

ベッドに入る前にオレたちは抱き合い、キスを交わした。その時押しつけられた彼女の胸は、それほど大きくはないが、少しヒンヤリとした感じが妙に艶かしくもあり、同時にその心臓の鼓動がオレの胸へと伝わって来る気がした。

くちびるを離した時の恥ずかし気にうつむいた彼女のまつ毛の長さ、そして洗い髪の香り…。愛しさがこみ上げ、もう一度強く抱きしめた。

二人はベッドで仰向けになり天井を見、時おり相手を見ながらおしゃべりを続けた。ふだんおとなしい彼女にしてはめずらしくよくしゃべった。それに対してオレが相槌を打ち、受け答えをするカタチだった。

オレにはわかっていた。彼女がいつになくこんなにも饒舌になっているのは、相当に緊張しているせいなのだ…と。

オレはとうとう人差し指を彼女のくちびるに垂直に当てた。すると彼女のおしゃべりはピタリと止まり、その目が大きく見開かれ、オレを見た。オレは微笑んだ。

「ごめんなさい…あたし…しゃべり過ぎ
 よね。おやすみなさい」

そう言ってそむけようとした彼女の顔をオレは優しく引き戻し、そのくちびるに口づけた。また彼女の心臓の鼓動がひときわ大きく聞こえた…ような気がした。

オレはゆっくりと彼女の口の中に舌を差し入れた。それが彼女の舌に触れた時、彼女の舌は一瞬逃げるように震えた。だが、狭い口の中では逃げられる場所はない。すぐにつかまり、絡めとられた。そして、やがて覚悟を決めたようにオレのリードにまかせ始めた。

オレと彼女の舌のソフトでテンダリーなスローダンスはとろけるような感触でしばらく続いた。そしてほんの少し強く吸うと、それは今度はオレの口の中へと移り、またそこでダンスがつづく。ここではリードは彼女がしていた。

ひとしきりのディープキスを一旦終えて、顔を離して彼女を見ると、彼女は閉じていた目を開けてオレを見、一瞬笑い、すぐに恥ずかしそうにその目をそらした。

彼女の紅潮した頬を、やがて、ひとすじの涙が濡らした。


  LOVE・24…[3]

コレは、だいたい午前0時くらいに起こった出来事である。


「どうして、泣いてるの?」
「ごめんなさい…、わかんない…。
 なんか…勝手に涙が、出て来るの…」

可愛いヤツ…。大きな愛しさの波が押し寄せて来た。片手を彼女の胸に置き、優しく愛撫した。彼女はオレのほうに向けていた顔をオレの胸に強く押し付けるようにして隠した。

「可愛いキミの顔、オレに見せて」

そう言ってちょっといじわるするように覗き込むと、

「イヤ、恥ずかしい…」

と言って彼女はキスをして来た。なるほど、見事な顔の隠し方だと思った。しかしそれでも乳房への愛撫は続けた。彼女の反応、アエぎが少しずつ大きくなるに連れてオレの手の動きもまた少しずつ大胆になっていった。

ワイシャツのボタンをはずし、直にその肌に触れ、小さなやわらかい丘を撫で、頂上の突起を指でつまんで刺激した。

完全にワイシャツの前をはだけ、彼女の華奢な両肩までムキ出しにすると、彼女は小さく笑ったような、しかし潤んだ目でオレを見た。

オレはTシャツを脱ぎ、彼女と素肌同士を重ね合わせキスをした。お互いにひとしきり吸い合うと、オレはくちびるを少しずつ下のほうへと移動させて行った。

乳房を揉みながら乳首をしゃぶり、舌でコロコロ転がすようにしたり、くちびるで強く挟んだり、時には歯を使って甘咬みした。彼女は身悶え、手をオレの頭に添えたが、それで頭を押し退けるわけでもなく、その快感に戸惑っているようだった。

さらにオレのくちびるは下へ…。そしてそれがどこへと向かっているのか、彼女には充分わかっていたはずだ。だからこそくちびるがそこに到達した時、そこはもうすっかり潤いに満ちていた。そこをおおっていたピンクの薄い布はしっとり濡れそぼっていた。

オレは彼女の腰に手をかけそれを一気に引き下げた。わずかに抵抗しようと彼女は手を伸ばして来たが、もちろんそれはムダに終わった。

パンティーを抜き取るためにすぼめた太腿だったが、取ってしまったらすぐにオレは強引にそこを開き口づけた。鼻先にサワサワと細い毛が触れた。オレのくちびるはやわらかい肉芽を捉え、吸い、舌で掃いた。あごが湧き出た愛液で濡れた。

彼女はもうオレのくちびる、舌のなすがまま、オレの頭の上方で手を胸に当て、首を左右に振って悶えヨがっていた。

「あ…もう…、お願い…」

小さな可愛いヨがり声をあげ続けていた中での数少ない言葉…、それを聞いて彼女を見ると、手をこちらに差し出し、オレの顔を、くちびるを愛し気に求めるしぐさをしていた。

オレは応じた。すると、オレが彼女の切な気な顔に自分の顔を近づけてまたキスをしに行こうとするのと同時に、オレの股間ですでに準備の整っていたモノが自然と彼女の股の潤みの中へと呑み込まれていった。

「あっ…、んんっ…」

彼女のアエぎをふさいだくちびるがさえぎった。オレは腰を送りつつ、彼女の口を吸い続けた。


  LOVE・24…[エピローグ]

コレは“彼女と二人で過ごした24時間”以降に起こった出来事である。


また電話する約束をして彼女は翌日の午後遅くに帰って行った。しかし、そのあと彼女と会うことも電話で話すことさえもなかった。オレと彼女の関係はその一度だけで終わってしまったのだ。たった一日、二人で映画を見、オレの手料理で食事をし、ベッドを共にした、長い人生の中のたった約24時間だけで。

じつはオレはその頃、前の恋人とは別れていたのだが、それはケンカなどをして決別したというわけではなく、親しい友人としての関係はまだ続いていた。もちろんセックスなどはしていない。しかしそのことをいちいちまわりに公表などするわけもなく、二人を知るものはオレたちの恋人関係はまだ良好だと思い込んでいた。もしかしたら彼女は、めぐりめぐってその噂を聞いたのかも知れない。

彼女はオレの前から姿を消した。真実の理由はわからないが、もし誤解だったとしたらそれを解きたかった。そして「キミが好きだ。愛している」と伝えたかった。

彼女が一緒に暮らしていたルームメイトの女の子に彼女の消息を尋ねたが、自分にもわからない、突然出て行った…と言う。果たしてそれが本当なのか、もしや口止めされているのでは…と感じもしたが、だとしてもオレには決して望ましいことではない。

「オレのせいだろうか…」

というオレのつぶやきにそのルームメイトの子は、

「それだけじゃなく、あの子、前にも
 なんか男にだまされたり、いろいろ
 あったみたいよ」

と言った。

「それだけじゃなく」…その言葉はやはりショックだった。つまりは、おそらくオレのせいでもあるということだ。もちろん彼女の過去をオレが知る由もない。いろいろあったのだろう、つらいことが。そしてそこにオレへの誤解が重なった。

彼女は失望したのかも知れない。だがオレに一体この時点で何が出来ただろう。とにかく彼女を捜した。まったくアテもなく。

ある時、とある街の雑踏の中に彼女らしきうしろ姿を見つけた。前に回り確認しようとオレは追いかけたが、人混みの中でもあり、その距離が一向に縮まらない。もしかして彼女なのか…? オレに気づき、避けているのか、まるで逃げて行くようにも感じられた。

とうとう駅近くのフルーツパーラーの前あたりで見失ってしまった。ビルの中に入ったのか、それとも地下への階段を下りたのか…。オレは行き交う人の中で呆然と立ち尽くした。

また、風の噂で彼女は◯◯町の方に住んでいるらしいと聞いた。オレは何度その町の駅の近辺を捜しに通ったことだろう。そこにいれば駅に入るかあるいは駅から出て来る彼女を見つけられるかも知れない…と。彼女がこの近くに住んでいるという確証はないものの、一歩間違えばストーカーだ。

しかし、そんな素人探偵の努力も虚しく、オレはとうとう二度と彼女と出会うことはなかった。


彼女との24時間よりもはるかに長い時間が過ぎた今、彼女はどこの空の下で暮らしているのだろうか。あの頃、もしも男にだまされるなどして自分を不幸だと思っていたのなら、オレとのことを最後に、どうか今は幸福にいて欲しい。

もちろんオレはだましたつもりなど毛頭ないが、そういうめぐり合わせだったのは今となってはどうしようもなく…。

そう言えば、オレの書棚には彼女から借りっ放しの本が3冊、あれから二度と開かれることなく眠っている。これはもう永遠に彼女の手に戻ることはないかも知れない。


                 End




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ロマン・ウルフ晃介 美味しいコーヒーが飲みたい・・・美味しいコーヒーが飲みたい・・・美味しいコーヒー、見つけた! ・・・チップと美味しいコーヒーがあれば、あとは何とかなる!