【古典邦画】「夕やけ雲」
未鑑賞だった木下惠介監督の、1956(昭和31)年の松竹作品「夕やけ雲」。
さすがは木下監督、主人公の少年を通して、ノスタルジックで胸がえぐられるような詩的抒情に溢れた秀作であった。
少年の姉の久我美子が、珍しく、欲望に忠実な、男にとってはイケ好かないイヤな女を演じている。木下監督の実妹が脚本を、実弟がBGMを担当。
少年の家は下町で魚屋を営む。
でも、少年は、魚屋がイヤで、二階の部屋から双眼鏡で遠くを眺めて、将来は船乗りになりたいと夢を持っていた。
しかし、父親が病に倒れて、魚屋になる決心をした。
少年を慰めてくれるのは、双眼鏡で見つけて好意を持った美容院のお姉さんだった。
ある日、少年は友人と美容院を探し当てたが、お姉さんは嫁いで行くところだった。
そして、父親の死後、幼い妹が大阪の叔父に引き取られることになって、友人の家は北海道に転任することに。
少年は、厳しい現実を前に、「さようなら、俺の好きだったみんな、美容院のお姉さんも、妹も、友達も、船乗りに憧れた夢も」と呟く…。
少年の日の大きな夢と希望が、厳しい現実を受け入れることで、大きく変わっていくのは、誰しも経験することであろう。夢を叶えられなかった多くの者が共感できたんじゃないだろうか。
が、本当の夢と希望は、それを捨てて諦めの域に達して現実を受け入れたところから始まるのだ。
一方で、久我美子演じる姉は、夢なんか見ずに、とても現実的だ。恋人の父が事業に失敗したと聞くと離れるし、好きじゃなくても金持ちの中年男の後妻になるし、その後も前の恋人とは浮気は続くし。少年と姉を対象的に描いたのはさすが、木下監督である。
コレも無常であるなぁ。







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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。