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大学通りを走りながら思い出したこと ― 「My Dream」が出た日の生徒 ― 2026/6/6(土) R8


今日はコープ久枝まで行ってみようと思い、電動三輪車で出発した。

太極拳の教室の場所を一度見ておきたかったからだ。Googleマップで経由地を入れ、山越えを避けるルートを設定して出かけた。

ところが途中で、自転車の充電が十分でないことに気がついた。

購入したのは5月だったが、そういえばまだ一度も充電していなかった。出発時には30%ほど残っていたので大丈夫だろうと思っていたが、JR松山駅付近まで来たところで20%を切り、19%、18%と減り始めた。

ふと考えた。

もし帰りにエデンの坂でバッテリーが切れたら、私はこの三輪車を押して上がれるだろうか。

答えは「無理かもしれない」だった。

一人で暮らすということは、無理をしないことでもある。余裕を残して帰れるうちに帰ろうと思い、今日はJR松山駅で引き返した。

帰宅したときの残量は13%だったので、判断は正しかったと思う。

少し残念な気持ちもあったが、道中で別の発見もあった。

松山大学や愛媛大学の前を通り、護国神社の大きな鳥居を眺めながら走っているうちに、教員時代に担当した一人の男子生徒のことを思い出したのだ。

理数コースの生徒だった。

成績は悪くなかったが、共通テストで高得点を狙うタイプではなく、新設の大学か学部を受験することになった。過去問がなく、英作文が課される入試だった。

担任の数学の先生から、「英語を見てやってほしい」と頼まれ、その生徒が私のところへ来た。

練習問題として「My Dream」というテーマで英作文を書かせてみたが、最初はほとんど書けなかった。

そこで、日本語で何を書きたいのかを整理し、構成を考え、それを英語に直していく練習を何度もした。

やがて入試が終わり、合格発表の日が来た。

後日、その生徒が報告に来た。

「受かりました」

「何が出たの?」

そう聞くと、彼は嬉しそうに答えた。

「My Dream が出ました」

「書けた?」

「書けました!」

私は「良かったね」と答えながら、心の中では少しだけ笑っていた。

それは、ほとんど私が作った作文だったからだ。

けれど、高校生というのは面白い。

教えてもらい、覚え、自分の力で書いたと思えたなら、それはもう自分の言葉なのだろう。

あれから20年近く経つ。

大学名はもう思い出せない。

けれど、「My Dream が出ました」と報告に来た彼の顔だけは、不思議と今も覚えている。

松山の大学通りを走りながら、そんな昔のことを思い出した一日だった。



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