薬屋のひとりごとに見る妊娠予防と堕胎― 女性の地位・女性の哀しさ・女性の強さ ―
薬屋のひとりごと に描かれる妊娠予防や堕胎の描写は、単なる毒や薬草の知識にとどまらない。
子翠がホオズキを好んで噛み、ふっと吹き飛ばす場面がある。
猫猫が「行儀が悪い。それに──」と言いかけると、子翠は言う。
「わかっている」
その一言が重い。
⸻
ホオズキとはそれほどのものだったのか
ホオズキ には、
• 子宮収縮を促す可能性のある成分
• 月経を促すと考えられてきた民間利用
があるとされる。
中医学では「活血」「通経」に分類され、妊娠初期には禁忌とされた植物の一つである。
しかし、噛んだだけで確実に堕胎できるほど強力なものではない。
量や体質、妊娠週数によっては何も起きない可能性も高い。
それでも、あの場面が意味深なのはなぜか。
⸻
意図という強さ
あの場面の重さは、薬効そのものではなく「意図」にある。
猫猫が言いかけたのは、
• 妊娠中には良くない
• 後宮では禁忌である
• 女にとっては特別な意味を持つ
ということだろう。
そして子翠は「わかっている」と遮る。
それは、
知らずに噛んでいるのではなく、
意味を知って噛んでいる、という宣言である。
⸻
女性の地位と身体
後宮や遊郭では、望まぬ妊娠は立場を失うことに直結した。
子の父が誰か。
身分はどうなるか。
家はどうなるか。
妊娠は祝福ではなく、時に危機であった。
だからこそ、
• 月経を促す薬草を知ること
• 妊娠しにくい身体を保とうとすること
は、生存戦略であった。
⸻
今も変わらぬもの
今の時代でも、避妊を女性側から口にすることは、決して簡単ではない。
望まぬ妊娠で身体を傷つけ、
心を傷つけるのは、昔も今も多くは女性である。
だからこそ、ありったけの知識を用いて自分を守ろうとする女性に、私は強さを感じる。
子翠のホオズキは、薬ではなく、意思の象徴である。
それは、哀しみを知った上での強さである。
⸻
#薬屋のひとりごと
#子翠
#猫猫
#女性の強さ
#妊娠予防
#堕胎
#歴史と女性
#身体の主導権
