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わたしたちは、サイゼで宮線を添ふ

忘年会が嫌いだ。そもそも、会社の飲み会が好きじゃない。
考え方が違いすぎる。いや、そういう所で働いているわたしも悪いのだが。

でも、12月は冬至の頃に結婚記念日がある。毎月家賃や生活費を払っているクレジットカードのポイントで、家族全員でご飯に行くのが通例だ。
いつの間にか、わたしはこの定例行事が、自分にとって大切な日になっているのに気がついた。

クレカで家賃が払えない家に引っ越し、かつ、食費がどんどん上がって行き、外食産業もその煽りをモロに受けても、だ。
家族向けの回転寿司や食べ放題に行っても、それなりに費用がかさむ。
子どもたちも、毎年同じような選択肢では飽きてくるし、満足感がない。

何気ない提案だった。今年はサイゼにしてみようか。
たまたま年末に普段行かないショッピングモールに行くことにしたのがきっかけだ。大学生のとき以来行っていない。「デートで使ってはいけないお店」になってから、完全に足が遠のいていた。

なんというか、そこにはクリスマスを間近に控えたワクワクやウキウキした雰囲気がそのままあった。食べ放題ではないが、圧倒的に1品1品の金額が抑えられる。気になったメニューはどんどん頼めばいい。みんなで分け合ったり、テーブルにたくさんのお皿があること自体、凄く華やかだった。

ひとりっ子のわたしが想い描いた「家族」とのたのしい時間は、きっとこういうものだったのだと思う。何か特別な話をしたわけじゃないが、とにかく楽しかったというポジティブな思い出だけが今も残っている。

サイゼリアHPより

行く前にチェックしていたメニューで、「いや、グチャグチャのままなのは品がない」と散々ディスっていたティラミスを、一口もらうやいなやすぐに自分の分も注文していた。調子に乗って「もう食べれない」と言っていた、末娘のティラミスまで食べた。

どうやら、お腹がいっぱいだったわけでなく、体調が優れなかったようで、わたしと末娘は翌日仲良く風邪を拗らせたことさえも、ポジティブに感じるほどに。

(829文字)


凛花さんの『月刊tote 12月号」への寄稿エッセイです!

1年間お疲れさまでした!!
わたしが参加させていただいたのは3月からでしたが、いつも月の中頃になると「toteの募集が始まる時期だなぁ」とそわそわし始めていました。

そして、2つ先の暦に想いを馳せて季語を調べたり、過去の写真フォルダや3年日誌をひっくり返したり。家族との時間を考える、凄く大切な自分時間になっていました。
凛花さん、本当にありがとうございました!!

プロフィール

花邑 灯火(はなむら ともしび)
 適応障害から復職したベンチャー会社員&パラレルワーカー。アートや捉え方の視点などを発信中。

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