クラブの重さが使えたら、軽く遠くへ飛ばせる
『力強くより、よく伝える』
飛ばしたい気持ちは、ゴルフをしていれば誰にでもあります。
でも不思議なことに、強く振ろうとした一打ほど、ボールは思ったほど飛んでくれないことがあります。
打席の端で、また力んでいる自分がいた
夜の練習場。
隣の打席から、パシッという小気味いい音が聞こえてくる。
思わず横を見ると、その人はそんなに大きく振っていない。
肩にも力が入っていない。
それなのに、ボールは低く、真っ直ぐ、気持ちよくネットの奥へ伸びていく。
「なんで、あんなに軽く振って飛ぶんだろう」
そう思いながら、自分はドライバーを握り直す。
今度こそ飛ばそう。
さっきより速く振ろう。
もっと強く叩こう。
そう思った瞬間、肩に力が入り、グリップを握る手も少し硬くなる。
振り下ろしたクラブは、ボールに当たった。
でも音は鈍く、球は右へ大きく曲がって、ネットの端へ消えていく。
飛ばしたくて力む。
力むほど曲がる。
そして、思ったより飛ばない。
この悔しさ、きっと一度はありますよね。
力めば力むほど、なぜ曲がるのか
ゴルフを始めた頃は、「もっと強く振れば飛ぶ」と思っていました。
体を速く回して、腕を思いきり振って、ボールに強くぶつける。
それが飛距離につながると思っていたんです。
でも実際には、力を入れすぎると体の動きがバラバラになります。
グリップが硬くなる。
手首が固まる。
インパクトの瞬間にフェースの向きが少しズレる。
ほんの少しのズレでも、ボールは右へ曲がったり、左へ引っかかったりします。
力は入っている。
でも、クラブにはうまく伝わっていない。
ただ、ボールにぶつけているだけ。
私自身も「ここで飛ばさなきゃ」と思った瞬間ほど、手に力が入ります。
体が覚えているはずのスイングが、力みひとつで別物になってしまう。
ゴルフって、本当に正直です。
こちらの焦りまで、ちゃんと球に出てしまいます。
生徒さんの「やさしいスイング」に驚いた日
以前、レッスンに来て頂ていた50代の女性の生徒さんがいました。
その方は、最初の頃よくこう言っていました。
「私、力がないから飛ばないんです」
実際、ドライバーでも100ヤードを少し超えるくらいの時期が長くありました。
でも、少しずつ構えを整えて、クラブの重さを感じながら振る練習を続けていくうちに、ある日ふっと変わったんです。
打った瞬間、その方が小さく言いました。
「なんか今日、軽かった……」
ボールはいつもより高く上がり、真っ直ぐ前へ伸びていきました。
ヘッドスピードが急に大きく上がったわけではありません。
力いっぱい振ったわけでもありません。
それなのに、150ヤードをキャリーで越える球が出た。
ご本人も「えっ」と声を上げて、笑っていました。
その表情を見たとき、私も改めて思いました。
ゴルフは、力の強さだけではない。
クラブの重さを、どれだけうまくボールに伝えられるかなんだな、と。
『力強くより、よく伝える』
この言葉は、「ただ力を抜けばいい」という意味ではありません。
大切なのは、力の入れどころです。
ゴルフクラブは、先のヘッド部分に重さがあります。
腕だけで強引に動かすより、その重さを感じながら振るほうが、クラブは自然に走ってくれます。
「伝える」というのは——
クラブの重さを感じながら振る
クラブヘッドの進行方向を打ち出したい方向に向ける
ヘッドスピードを出すために力を抜くところ
インパクトに押し負けないように力を入れるところ
うまく伝わった一打は、打ったあとに手が痛くありません。
音も軽い。
体も無理をしていない。
なのに、ボールは思ったより遠くへ飛んでいく。
逆に、強く叩いたつもりなのに手に嫌な振動が残るときは、力がうまく伝わっていないことが多いです。
今日から一つだけ試してみてください
次の練習で、ひとつだけ試してみてください。
ボールを打つ前に、クラブを軽くゆらしてみる。
そして、ヘッドの重さを手の中で感じてから構える。
そのまま「強く叩く」のではなく、クラブの重さをボールへ届けるように振ってみる。
最初は飛ばなくても大丈夫です。
むしろ、最初から飛ばそうとしなくていい。
まずは、手に残る感触を感じてみてください。
「あ、今のは軽かった」
「今のは手に響いた」
「今のはクラブが自然に抜けた」
その小さな違いに気づけるようになると、ゴルフは少しずつやさしくなります。
朝のティーグランドで、やさしく振り抜く
早朝のティーグラウンド。
夜露が残る芝の上に立つと、空気がひんやりと肌に触れます。
遠くで鳥の声がして、静かな朝の中に、自分の呼吸だけが聞こえる。
グリップをそっと握る。
クラブの重さを感じる。
飛ばそうとする気持ちを、少しだけ横に置く。
そして、ふわっと振り抜く。
カキン、という軽い音とともに、ボールが真っ直ぐ前へ飛んでいく。
飛ばそうとしなかった一打が、今日いちばん遠くへ届く。
そんなことが、ゴルフには本当にあります。
力まなくて大丈夫。
クラブに伝えるだけで、ゴルフは少しやさしくなります。⛳
あなたは力みを感じたとき、どうやって力を抜いていますか?
コメントで教えてもらえると嬉しいです。

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