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迷いをひとつ減らすだけで、朝イチの一打はやさしくなる

『迷いを減らせば芯に当たる』
朝イチのティーショットで、この言葉を思い出すことがあります。

完璧に打とうとするより、まず迷いをひとつ減らす。
それだけで、体は少しだけ動きやすくなる気がします。


朝の光と、震えるティーアップ

朝露に濡れた芝生が、朝日を浴びてキラキラと輝いています。
遠くで鳥が鳴き、カートの音が静かに近づいてくる。

本当なら、とても気持ちのいい朝です。

でも、ドライバーを握った瞬間。
急に頭の中が忙しくなることがあります。

右はOB。
左には池。
風は少し左から吹いている。
昨日の練習では、少しスライスが出ていた。

「また曲がったらどうしよう」
「ちゃんと当たるかな」
「後ろの組に迷惑をかけたら嫌だな」

そんな不安が、打つ前の数秒でどんどん膨らんでいく。

その気持ち、すごくよくわかります。


私も、迷いながらティーに立ってきた

正直に言うと、私自身もインストラクターになった今でも、頭がうるさくなる場面があります。

コンペの最終ホール。
同伴者がナイスショットを打った直後。
「よし、落ち着いて」と思っているのに、心の中ではもう一人の自分が騒いでいる。

「右は嫌だな」
「でも左も危ないな」
「ここでミスしたら流れが悪くなるな」

教える側だから迷わない、なんてことはありません。
人間ですから。
私も、しっかり迷います。

ただ、何度も失敗しながら気づいたことがあります。

迷いを全部なくそうとすると、余計に苦しくなる。
それよりも、迷いをひとつに絞るほうが、体はずっと動きやすくなるんです。


生徒さんに起きた、小さな変化

先月、コースレッスンに同行した生徒さんのことが印象に残っています。

その方は、練習場ではきれいに当たるのに、コースに出ると体が固まってしまうタイプでした。

「池に入れたらどうしよう」
「OBだけは避けたい」
「後ろの組が待っている」

そんな不安が、頭の中にいくつも並んでいたんです。

そこで、私は一つだけお願いしました。

「打つ前に、狙う場所をひとつだけ決めましょう。
あのバンカーより左、でもいいです。
あの木の右側、でもいいです。
それ以外は、いったん横に置いてください」

次のホールで、その方は少し考えてから言いました。

「あのY字の木の左にします」

そして、静かに構えてスイングしました。
ボールは高くは上がらなかったけれど、フェアウェイ方向へしっかり転がっていきました。

その方が、少し照れたように笑って言ったんです。

「なんか、今は打てた気がします」

その一言が、とてもよかった。

ナイスショットかどうかだけではなく、
「決めて振れた」
その感覚が、ちゃんと残っていたからです。


迷うな、という話ではなくて

『迷いを減らせば芯に当たる』

これは、迷うなという意味ではないと思っています。

ゴルフ場に立てば、いろいろな情報が目に入ります。
右の白杭。
左の池。
前のバンカー。
風の向き。
同伴者の視線。

何も考えずに打てる人のほうが、きっと少ないです。

でも、迷いが多すぎると、体は止まります。

「あっちも嫌」
「こっちも怖い」
「真っすぐ打たなきゃ」

そう考えているうちに、呼吸が浅くなり、グリップに力が入り、いつものテンポがどこかへ行ってしまう。

不思議なもので、狙いがぼんやりしていると、体の動きもぼんやりします。

逆に、見る場所がひとつ決まると、体は少し安心します。

「あそこへ打つ」

それだけで、心の向きが決まる。
心の向きが決まると、スイングにも小さな芯が生まれる気がするんです。


今日からできる、3秒のセットアップ

次のラウンドや練習で、ぜひ試してみてほしいことがあります。

打つ前の3秒だけ、目標を見る時間を作ることです。

「あの木の左側」
「あのバンカーの右端」
「あのフェアウェイの広いところ」

目印は、ざっくりで大丈夫です。

大切なのは、
「打ちたくない場所」ではなく、
「運びたい場所」を見ること。

池に入れたくない。
OBしたくない。
曲げたくない。

そう思うほど、なぜかそちらが気になってしまうことがあります。

だからこそ、打つ直前の3秒だけは、行きたい場所を見る。
そして、ひと呼吸してから振る。

細かいスイングの形を全部直そうとしなくて大丈夫です。

狙う場所をひとつ。
呼吸をひとつ。
振るテンポをひとつ。

そのくらいシンプルでいいと思います。


芯に当たるとは、ボールだけの話ではない

もちろん、それで毎回ナイスショットが出るわけではありません。

右に曲がる日もあります。
左に引っかける日もあります。
朝イチから「今日もゴルフは簡単じゃないな」と笑う日もあります。

でも、打つ前にひとつ決めて振れた一打は、次につながります。

「ああ、やっぱりダメだった」ではなく、
「次はもう少し右を向いてみよう」
「今のは少し力が入ったな」
「でも、決めて振れたな」

そんなふうに、ミスの受け取り方が少し変わってくる。

朝イチの一打は、完璧を証明するためのものではありません。
今日のゴルフを始めるための一打です。

迷いを全部消そうとしなくていい。
ただ、ひとつだけ決めてみる。

その小さな決断が、グリップの力を少しゆるめてくれる。
視界を少し広くしてくれる。
ティーグラウンドの景色を、少しやさしくしてくれる。

芯に当たるとは、ボールだけの話ではないのかもしれません。

心の向きが少し定まったとき、
その日のゴルフも、少し気持ちよく始まっていく。

朝露に濡れた芝の上で、深く息を吐く。
遠くの木をひとつ見つける。
そして、今日の一打を少し楽しみにしてみる。

完璧じゃなくて大丈夫です。

決めて、振れた。
それだけで、今日のゴルフにはちゃんと意味があります。⛳


あなたの「忘れられない一打」はありますか?

悔しくてたまらなかったミスショット、あるいは、 「一生の宝物」だと思えるような会心の一打。 もしよろしければ、コメント欄で聞かせてください。

同じゴルファーとして、あなたの物語を共有できたら嬉しいです。


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